看護学生にとって臨床実習は、看護の奥深さに触れると共に自分と向き合うことで目覚ましく成長する機会となります。
実習中の夕方、学生が泣きながら相談に来ました。「お話好きな患者さんの話を遮らないようにしているので、大事なことを全く質問できないでいる。」と悩んでいたのです。その日は二人で会話内容を整理しました。やがて患者さんの人柄がみえてくると、学生は「質問しなくても患者さんを理解できる」と感じたようです。
翌日からは、患者さんが沢山話される理由を考えながら話を聴き、心の奥に抱える不安や葛藤に気づけるようになりました。自分の知りたいことを聞く姿勢から看護師として傾聴する姿勢に変わっていったのです。看護計画はその人の気持ちを尊重した内容に修正されました。“目の前にいる患者さんのために”、この思いが、成長へと導いてくれます。
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EPISODEエピソード
聞く姿勢から、傾聴する姿勢への変化
看護学部 慢性期成人看護学 助教
柴田 佳純しばた かすみ
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EPISODEエピソード
「なんだかわからない…」から「おもしろい!」へ
保健師は、地域や企業などで幅広い年代・様々な健康レベルの方を対象とする健康支援が仕事です。個人だけでなく地域全体の健康レベルを上げる仕事、集団の力を活かした健康づくりを支援する仕事が特徴的です。
それがゆえに、抽象度が高くわかりにくいことが多々あります。まだ現場に出る前の学内での演習では、統計データと格闘し、いやになってくることも…。
その苦労を乗り越え、4年生の実習に出てやっと、保健師の仕事、地域の力・住民さんの力を実感し、自分の言葉で説明できるようになります。そして、「おもしろい!やはり保健師になりたい!」と言ってくれる瞬間は学生が成長したと思う瞬間であり、教員冥利に尽きる時です。
最近は実習施設等で保健師として活躍する卒業生と出会うことも…。明るい笑顔で住民の方とお話する姿をみて、成長したなぁと感激することは言うまでもありません。看護学部 公衆衛生看護学 教授
草野 恵美子くさの えみこ
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医療人として成長した卒業生との手術
私は2020年4月から看護学部に着任しましたが、それまでは医学部で運動器を専門とする整形外科医として勤務し、現在も大学病院での診療を継続しています。皆さんは、“運動器”という言葉をご存知でしょうか?運動器とは身体運動に関わる骨、筋肉、腱、関節とそれを支配する神経の総称です。介護が必要になる原因の4分の1は運動器の障害です。これから迎える超高齢社会における健康寿命の延伸のために、看護学においても運動器は重要な分野です。ぜひ運動器を学び、皆さんの力を健康寿命の延伸に役立ててください。先日、1年前に卒業論文を指導した本学卒業生が、大学病院で私が執刀する手術の直接介助をしてくれました。手術室に入るなり、すぐに挨拶に来てくれて、手術中の介助や回りへの気配りも申し分なく、私との息もぴったりでした。卒業生の1年間の成長を驚くとともに、大変嬉しく思いました。これからも、良き医療人の育成に力を注ぎたいと思えた瞬間でした。
看護学部 臨床医学 教授
安田 稔人やすだ としと
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話を聞くだけでもそれは立派な看護
2年生の老年看護学実習で、老人保健センターにお邪魔させて頂く機会があったのですが、自分は保健センターに来ている高齢者の方のお話を聞かせて頂くだけで、本当にこれで良いのかと少し不安になっていました。
しかし、実習中に指導して頂いている先生から「話を聞くだけでもそれは立派な看護であるし、ここに来ている高齢者の方々にとってはとても刺激になることだよ。」と助言を頂きました。これを聞いて、自分がそこに行って話をする事が、その人の役に立っているという事にとても感動しました。実習最終日にはお話させて頂いていた高齢者の方から「ありがとう。またおいでね。」と笑顔で言って頂き、心から嬉しかったです。
多分、この学部に入ってなければ、自分の祖父母以外の高齢者の方とお話しする機会はなかったと思います。看護師を目指し、この学部に入学したことで、たくさんの高齢者の方とお話をすることができ、また、話を聞くという事の大切さ、ありがとうと言って貰った時の感動などを実感することができました。
看護学部(2019年度入学)
井土 彰啓いづち あきひろ
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EPISODEエピソード
この学部を選んで良かったと思った瞬間
『これまでにない新しい見方が生まれ、物事を捉える視野が広がる』
この学部を選んで良かったと思える瞬間です。
「看護学」という学問的な学びだけではなく、この2 年間での「出会い」もまた私を成長させてくれました。
同じ夢を持った仲間、実習で関わった患者さん、臨床で働く看護師さんたち…様々な人との出会いを通して自分の考え方に多様性が生まれたと実感しています。
実習での看護師の視点から、演習での患者役を通して実際にケアを受ける立場の視点から、「最良の看護とは何か」を考えることができました。
ケアの対象は子どもから高齢者までさまざまで、それぞれが生きている環境も価値感も異なります。
看護に正解はありません。
ケアを受ける人にとっての最善を考える上で「多面的に捉える視点」はとても大切で必要不可欠です。
私はその大切な視点をこの学部での「出会い」を通して学ぶことができました。看護学部(2020年度入学)
石田 和歌子いしだ わかこ
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EPISODEエピソード
最善の看護とは何か
わたしがこの看護学部を選んでよかったと思える瞬間は、『人との繋がりを通して様々な視点から「最善の看護とは何か」を考え共有し学びへ繋げることができる』と感じた時です。
わたしが入学してすぐの頃は、新型コロナウイルスにより思うように登校できず自宅で個人で学ぶという時間が多くありました。もちろん個人での学習で学んだことも多くありますが、徐々に登校できる機会が増え人との関わりが深くなるにつれ、自宅で自分1人で学んでいた時には気づかなかった視点や考え方・看護のあり方について多く触れることができました。そして同時に、人との関わりの重要性や一緒に学び考える仲間の存在の大切さを知ることができました。
看護を学ぶ上で「最善の看護」というワードは多く出てきますが、この「最善の看護」とは考える人によって様々です。自分の考え、仲間の考え、先生の考え、色んな人の考える「最善の看護」があり、それらを共有して本当の「最善の看護」とは何かを考える、そういった経験ができるのがこの学部です。ですから、わたしはこの学部を選んでよかったと心から感じています。看護学部(2021年度入学)
五十棲 朱里いそずみ あかり
看護師の活躍の場は、医療資源の不足とともに広がっています。
そのためこれからの看護師に求められるのは様々な現場への適応力。
大阪医科薬科大学では、日々の学びの中で基礎力を高めるのはもちろんのこと、
医学部・薬学部との多職種連携を学内や地域・僻地での実習という形で経験を重ね、
どのような現場でも対応ができる力を身に着けていきます。
NEWS
看護学部のお知らせを見る未来に届く学びがある
学びの特徴
人を知り学びを積む
4年間の実習
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第1
学年1年生では、「地域・在宅ケア実習」と「基礎看護学実習Ⅰ」を行います。「地域・在宅ケア実習」では、地域で生活する多様なライフステージや健康状態にある人々と関わり、様々な場で展開される健康づくりのための活動とケアの実際を学びます。「基礎看護学実習Ⅰ」では、外来の患者さんに付き添ったり、グループごとに病棟に配置され、看護師の実際の仕事内容を見学したり、ベッドメイキングなどの看護技術を学びます。
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第2
学年「基礎看護学実習Ⅱ」のカリキュラムでは、年2回、各1週間の実習が行われます。実際の患者さんを受け持ち、担当看護師の指導の下、清拭や洗髪などの看護技術を経験しながら具体的な看護方法を学びます。前半は患者さんの病歴や治療内容を調べ、どのような治療や看護が行われているのか、患者さんの状態などを観察・学習。後半は別の患者さんを担当して、看護計画の立案・実施までを経験します。
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第3
学年3年生の学びの柱となる「領域実習」。一部を除き、ほとんどの実習が大学病院で実施されます。10人程度のグループで、「母性」「小児」「急性期」「慢性期」「精神」「老年」「在宅」など各領域を2〜3週間ずつ、半年間にわたって実習します。原則、2領域終了ごとに1週間のインターバルがあります。その間にも終了した実習のまとめや次の実習の準備を進める必要があり、気を緩めず緊張感をもって取り組みます。
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第4
学年目指す資格に応じて、「看護実践発展実習」「公衆衛生看護学実習Ⅰ・Ⅱ」「助産学実習」「広域統合看護学実習」など、総仕上げの専門的な実習が行われます。主に大学病院での実習になりますが、離島やへき地、緩和ケアセンター、精神保健福祉センター、公衆衛生看護では保健所等に赴くなど、他施設での実習も行っており、視野を広げる機会になります。4年生の実習は国家資格取得や卒業後の仕事に直結するものが多く、実践的で貴重な経験です。