薬学研究科 薬学専攻 博士課程

目的

臨床及び医療に密接に関連する薬学研究分野において、広い視野と高い専門性を備えて国民の健康の維持増進ならびに疾病の予防及び治療を担う優れた研究者・教育者・医療人となることができる人材を養成することを目的とする。
なお、同過程に設けるがんプロフェッショナル養成コースは、がん専門薬剤師等、がん医療分野の広範な知見と高度な技術を有する人材の養成を目的とする。

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

本大学院薬学研究科薬学専攻博士課程の学位授与の要件は、所定の期間在学し、博士課程の教育・研究の理念に沿った教育・研究指導を受け、博士論文の審査、試験に合格し、博士課程を修了することです。授与する学位は「博士(薬学)」とし、審査にあたり、
  1. 薬学研究に貢献できる十分な能力を有し、高度かつ広範で最新の知識、並びに高度かつ優れた技能・態度・倫理観・責任感等を身に付けていること。
  2. 優れた臨床的洞察力・観察力・解析力を持ち、臨床現場に精通していること。

を学位授与の基準とします。

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

本大学院薬学研究科薬学専攻博士課程において、臨床・医療薬学領域における広い視野と専門性の高い研究能力の涵養を行い、高度な知識と技能をもって国民の健康の維持増進、公衆衛生の向上並びに疾病の予防、治療等に資する優れた人材を養成するための教育研究を基本とします。そのため、
  1. 医療薬学、生物・予防薬学と創薬化学、臨床・医療の実践による薬学臨床、さらにこれらを有機的に連携させたトランスレーショナルリサーチと臨床からのフィードバックを取り入れた、総合的な臨床・医療薬学教育を行います。
  2. 科目を通じて、専門性の高い研究力、研究成果や情報の正確な伝達能力・説明能力を養成するとともに、臨床・医療の分野で求められる崇高な倫理観、使命感を涵養します。科目は講義、演習に分けて開講するとともに、特別研究を配置します。
  3. がんプロフェッショナル養成コースでは、がんに対する基礎と応用の高い研究能力を身に付けるため創薬・薬物治療研究や臨床研修を経験します。
    上記のように編成した教育課程では各科目の教育内容に応じて、アクティブラーニング、体験型学習、オンライン教 育、LMS(Learning Management System)などを活用した学修を実践します。

アドミッション・ポリシー

6年制学部を基礎とする博士課程であり、大阪医科薬科大学の理念を理解し、本大学院薬学研究科薬学専攻博士課程の人材養成の目的に応えられ、柔軟な思考力と豊かな創造性を有する次のような学生を求めています。
  1. 薬学研究者としての広い視野と高い専門性を修得し、国民の健康の維持増進に寄与することに強い意欲を持つ者。
  2. 医療人としての優れた臨床的解析力・技能・倫理観を修得し、疾患の予防及び治療に寄与することに強い意欲を持つ者。

なお、社会的な要請を考慮し、薬剤師として3 年以上の実務経験を有する旧4 年制薬学卒業者及び国内外において修士の学位を授与された者も募集対象とします。 また、入学者は、「外国語(英語)」「記述問題(専門課題)」「面接」「発表・口頭試問」により評価・判定の上、選抜します。

募集研究室一覧・主な研究内容

領域 (研究室)指導教員 研究内容





(病態分子薬理学研究室)
  教 授 大喜多 守
  准教授 田和 正志

 
  • エンドセリン及び一酸化窒素の病態生理学的役割に関する研究
  • 急性腎障害や慢性腎臓病に対する薬効評価及びその作用機序に関する研究
  • 可溶性グアニル酸シクラーゼを標的とした創薬に関する研究
  • 各種循環器疾患に対する新規治療薬の開発研究
  • 各種機能性食品の薬理学的研究
(薬品作用解析学研究室)
 ★教 授 大野 行弘
  准教授 清水 佐紀

 
  • 精神疾患(統合失調症、うつ病、不安障害など)の病態、薬理研究
  • 神経疾患(パーキンソン病、てんかん、運動障害など)の病態、薬理研究
  • 新たな神経疾患モデルの開発と治療薬探索研究
  • 中枢神経作用薬の薬理研究
(薬物治療学Ⅰ研究室)
  教 授 加藤 隆児
  准教授 幸田 祐佳  
  • 重篤副作用(肝障害、肺障害、腎障害、心筋障害等)発症機構の解明と予測マーカーの探索
  • 酸化ストレス関連疾患の病態解明と予防法に関する研究
  • 在宅医療における薬物血中濃度モニタリング(TDM)の臨床的有用性に関する研究
(薬物治療学Ⅱ研究室)
  教 授 福森 亮雄

 
  • 認知症の病態と医療応用
  • 自己免疫性脳炎の病態と医療応用
  • 非天然アミノ酸の遺伝的取り込みを用いる孤児受容体リガンドの同定
  • CRISPR/Cas9 を用いる遺伝子改変生物の作成とその病態解析への応用
(生体分析学研究室)
  教 授 天滿 敬


 
  • PET・SPECT 画像診断用放射性医薬品の開発に関する研究
  • MRI・光イメージングのための分子プローブ開発に関する研究
  • がんの早期質的診断並びに治療効果判定に関する分子イメージング研究
  • 中性子捕捉療法によるがんの治療のための薬剤開発研究
  • 病態モデル動物を用いた各種疾患の診断・治療法開発に関する研究
●(病態生化学研究室)
  教 授 藤森 功

 
  • 脂質メディエーターとそれらの代謝物の機能と調節機構に関する研究
  • 脂質メディエーターによる疾患制御の分子機構の解明
  • 肥満制御の分子機構と新規抗肥満薬開発に関する研究
  • 機能性化合物による疾患制御に関する研究





(薬剤学研究室)
  教 授 永井 純也
  准教授 本橋 秀之
 
  • 病態時における薬物動態変動の分子機構解析とそれに基づく薬物投与法の至適化に関する研究薬物動態制御分子を標的とした薬効増強および副作用低減に関する研究
  • 間葉系幹細胞を利用した医薬品の有効性・安全性の向上と細胞医薬品としての有用性評価に関する研究
  • 抗がん剤の体内動態特性と抗腫瘍効果・毒性発現との関連性に関する研究
  • 生活習慣病における薬物療法の有効性・安全性の向上に資するための薬物動態研究
(製剤設計学研究室)
  教 授 戸塚 裕一
  • 難水溶性医薬品の溶解性と吸収性改善に関する研究
  • 機能性添加剤を用いたナノ複合体形成とその応用に関する研究
  • 機能性微粒子の開発に関する研究
(社会薬学・薬局管理学研究室)
  教 授 恩田 光子
 
  • 薬局の健康サポート機能に関する疫学的研究
  • 薬物療法や薬剤師業務に関するアウトカムリサーチ・医療経済学的評価
  • 地域医療のシステムデザインに関する研究
(臨床漢方薬学研究室)
  教 授 芝野 真喜雄
 
  • 滋陰生薬の老化細胞に対する抗炎症作用に関する研究
  • 漢方生薬の修治・炮製の科学的解明に関する研究
  • 漢方薬の副作用防止に関する研究
(臨床薬学教育研究センター)
  教 授  岩永 一範
  教 授  中村 任
 ★教 授  中村 敏明
  教 授  矢野 良一
  専門教授 角山 香織
  准教授  細畑 圭子
  • Affinity Chromatographyを用いた医薬品候補化合物のADME予測に関する検討
  • 癌化学療法の有効性と安全性に対するバイオマーカーの探索と臨床評価
  • 循環器疾患薬物療法の有効性と安全性に対するバイオマーカーの探索と臨床評価
  • 医薬品情報の評価および活用に関する研究 
  • 各種医療データベース解析に基づく医薬品適正使用に関する臨床薬学研究
  • 個別化医療を目指した薬物動態制御タンパク質のファーマコゲノミクス研究
  • 薬学臨床教育の改善および教育効果の評価に関する研究








(衛生化学研究室)
  教 授 奥平 桂一郎
 准教授 佐久間 覚


 
  • 動脈硬化関連因子の機能と生理的意義に関する研究
  • がん治療を指向した製剤開発に関する研究
  • 核酸による遺伝子発現制御機構に関する研究
  • 酸化ストレスが関与する病態発症機序と制御因子に関する研究
  • 脳血管内皮細胞のtight junctionの分子機構と制御因子に関する研究
  • 医薬品による環境汚染の動態と除染技術の開発
(感染防御学研究室)
  教 授 駒野 淳
  准教授 宮本 勝城
  • 感染症に対する新たな治療戦略の開発研究
  • 宿主-病原体相互作用の解析を通じた病原性発揮メカニズムの解明
(生体機能解析学研究室)
  教 授 奥田 洋明  
  • 慢性痛の発症機序の解明と新規治療法の開発
  • 植物由来生理活性物質による抗炎症機序の解明
  • グリア細胞の機能的多様性の解明
  • 細胞増殖阻害薬の作用メカニズムの解明と細胞の増殖・分化・死の機構解明
●(生化学研究室)
 ★教 授 福永 理己郎 
  • リン脂質加水分解酵素の酵素機能の分子論
  • 組換えビブリオ菌イソコリスミ酸合成酵素とイソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼの大腸菌による発現と精製
●(薬品物理化学研究室)
  准教授 友尾 幸司
 ★准教授 尹 康子
 
  • タンパク質生合成開始因子の構造機能解析
  • アルツハイマー型認知症関連タンパク質tauの自己重合機構の解明と重合阻害分子の開発
  • 放線菌におけるキシロオリゴ糖細胞内輸送機構の解明
  • 病原微生物における鉄輸送機構の解明と新規抗菌薬の開発





(機能分子創製化学研究室)
  准教授 和田 俊一
 
  • 細胞内移送能を有するキャリアペプチドの開発
  • 細胞膜透過性ペプチドの核酸医薬細胞内デリバリーツールとしての応用
  • がん細胞を可視化するペプチド性イメージング分子の開発
(医薬分子化学研究室)
  教 授 平野 智也
  准教授 山田 剛司

 
  • 医療への応用を志向した光機能分子の開発
  • エピジェネティクス、エピトランスクリプトームを制御、解析する分子の開発
  • 海洋生物由来菌類の産生する代謝物からの抗腫瘍性物質のシーズ探索研究
  • 創薬を目的とした天然物の生理活性及び活性機構に関する研究
  • 生体防御と抗老化作用を有する化合物の創薬研究
●(有機薬化学研究室)
 ★教 授 宇佐美 吉英
 
  • カルバシュガー型天然物及びその類縁体の合成と生理活性に関する研究
  • 新規複素環化合物の合成研究
  • Vanin-1阻害剤のデザインと合成
●(生薬科学研究室)
  教 授 谷口 雅彦
 
  • 各種生薬成分の構造解析と生理活性に関する研究
  • サプリメントの有用性に関する研究
  • エピゲノム及びタンパク質間相互作用を制御する生薬成分の探索
●(分子構造化学研究室)
  准教授 浅野 晶子
 
  • ペプチドのコンホーメーションコントロールに関する研究
  • 非天然型アミノ酸を用いた膜透過性ペプチドの開発
  • 機能性ペプチドの構造解析とデザイン
志願者は、出願前に志望する研究室の責任者に研究内容等について相談しておくこと。
●を付した研究室は、薬科学専攻との兼担研究室として研究指導を受けることができる。
★を付した教員は、修了までに定年又は退職となる。