薬学研究科 薬科学専攻 博士後期課程

目的

生命科学や高度先端医療に密接に関連する薬科学研究分野において、創薬研究を通じて学問の体系的な発展及び継承を担う研究者・教育者となることができる人材を養成することを目的とする。

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

本大学院薬学研究科薬科学専攻博士後期課程の学位授与の要件は、所定の期間在学し、博士課程の教育・研究の理念に沿った教育・研究指導を受け、博士論文の審査、試験に合格し、博士課程を修了することです。授与する学位は「博士(薬科学)」とし、審査にあたり、
  • 生命科学の応用として展開される創薬科学や関連する研究領域において、新しい視点と独自の発想から課題を的確に把握し、それを解決できる高度な専門的知識と技能、倫理観を持ち、さらに指導力とリーダーシップを発揮して薬科学領域の研究に貢献できる能力を身に付けていること。

を学位授与の基準とします。

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

薬科学専攻博士後期課程(博士課程)において、学生は3つの研究領域(分子構造・機能解析学領域、創薬化学領域、生命・環境科学領域)のいずれかに所属します。研究・教育指導は、所属研究室の指導教員を中心に行うが、これに加えて当該研究領域の教員並びに領域外の教員とも連携し、学生に対して複眼的な視点からの研究・教育指導が行える体制としており、次のような方針でカリキュラムを編成し、実施しています。
  1. 専門分野に関連した他の研究領域の知識と技能を取込み、オリジナリティーの高い独自の専門分野を開発・発展させることのできる柔軟性と応用力、倫理観を備えた資質を涵養することを目的とした講義科目を配置します。
  2. 問題解決能力や課題探究能力を養成するため、特別演習、特別研究演習、及び特別研究を配置します。

アドミッション・ポリシー

博士前期(修士)課程を基礎とする博士後期課程であり、大阪医科薬科大学の理念を理解し、本大学院薬学研究科薬科学専攻博士後期課程の人材養成の目的に応えられ、柔軟な思考力と豊かな創造性を有する次のような学生を求めています。
  • 生命科学、創薬科学、高度先端医療分野に密接に関連する薬科学研究分野において、高度な専門的知識、研究技能及び倫理観を修得し、創薬研究の発展を担う研究者・技術者として活躍することに強い意欲を持つ者。

なお、外国において修士の学位を授与された者も募集対象とします。 また、入学者は、「外国語(英語)」「面接」「発表・口頭試問」により評価・判定の上、選抜します。

令和4(2022)年度 募集研究室一覧・主な研究内容

領域 (研究室)担当指導教員 研究内容











(生化学研究室)
教 授 福永 理己郎

  • サイトカインによる造血および炎症制御の分子機構の研究
  • プロテインキナーゼを介した細胞増殖・分化の分子機構の研究
  • CRISPR/Cas9 法の利用による細胞内シグナル伝達機構の系統的解析
  • リン脂質加水分解酵素の酵素機能の分子論

(薬品物理化学研究室)
准教授 友尾 幸司
准教授 尹 康子

  • タンパク質生合成開始因子の構造機能解析
  • アルツハイマー型認知症関連タンパク質tau の自己重合機構の解明と重合阻害分子の開発
  • 放線菌におけるキシロオリゴ糖細胞内輸送機構の解明
  • 病原微生物における鉄輸送機構の解明と新規抗菌薬の開発
  • 酵素阻害剤の分子設計

●(生体機能解析学研究室)
准教授 坂口 実

  • がん細胞の増殖に及ぼす薬物の効果と作用機構に関する研究
  • S9 セリンプロテアーゼの細胞生物学的機能解析とその阻害薬に関する応用研究
  • 薬物受容体刺激による細胞応答に関する研究





(有機薬化学研究室)
教 授 宇佐美 吉英

  • 抗腫瘍性海洋天然物及びその類縁体の合成と生理活性に関する研究
  • 新規複素環化合物の合成研究
  • テトラゾールからカルベンの発生機構を応用した新規合成反応の開発

(生薬科学研究室)
教 授 谷口 雅彦

  • 各種生薬成分の構造解析と生理活性に関する研究
  • サプリメントの有用性に関する研究
  • エピゲノム及びタンパク質間相互作用を制御する生薬成分の探索

(分子構造化学研究室)
教 授 土井 光暢
准教授 浅野 晶子

  • ペプチドのコンホーメーションコントロールに関する研究
  • 非天然型アミノ酸を用いた膜透過性ペプチドの開発
  • 機能性ペプチドの構造解析とデザイン

●(機能分子創製化学研究室)
教 授 浦田 秀仁
准教授 和田 俊一

  • プロドラッグ型新規修飾核酸の合成とRNA 干渉など遺伝子発現制御分子の開発
  • 細胞内移送能を有するキャリアペプチドの開発
  • 細胞膜透過性ペプチドの核酸医薬細胞内デリバリーツールとしての応用
  • がん細胞を可視化するペプチド性イメージング分子の開発
  • 金属イオン架橋型塩基対の形成を介するDNA ポリメラーゼの複製反応に関する研究
  • 鏡像体核酸の合成とその高い生体内安定性を利用した細胞内情報可視化ナノ分子の開発

●(医薬分子化学研究室)
教 授 平野 智也
准教授 山田 剛司

  • 医療への応用を志向した光機能分子の開発
  • エピジェネティクス、エピトランスクリプトームを制御、解析する分子の開発
  • 海洋生物由来菌類の産生する代謝物からの抗腫瘍性物質のシーズ探索研究
  • 創薬を目的とした天然物の生理活性及び活性機構に関する研究








(病態生化学研究室)
教 授 藤森 功

  • 脂質メディエーターとそれらの代謝物の機能と調節機構に関する研究
  • 脂質メディエーターによる疾患制御の分子機構の解明
  • 肥満制御の分子機構と新規抗肥満薬開発に関する研究

●(衛生化学研究室)
教 授 奥平 桂一郎
准教授 佐久間 覚

  • 動脈硬化関連因子の機能と生理的意義に関する研究
  • がん治療を指向した製剤開発に関する研究
  • 細胞内タンパク質分解誘導による新規抗がん剤の開発研究
  • 核酸による遺伝子発現制御機構に関する研究
  • 酸化ストレスが関与する病態発症機序と制御因子に関する研究
  • 脳血管内皮細胞のtight junction の分子機構と制御因子に関する研究
  • 医薬品による環境汚染の動態と除染技術の開発

●(感染制御学研究室)
教 授 駒野 淳
准教授 宮本 勝城

  • 感染症に対する新たな治療戦略の開発研究
  • 宿主-病原体相互作用の解析を通じた病原性発揮メカニズムの解明

●(病態分子薬理学研究室)
教 授 大喜多 守
准教授 田和 正志

  • エンドセリン及び一酸化窒素の病態生理学的役割に関する研究
  • 急性腎障害や慢性腎臓病に対する薬効評価及びその作用機序に関する研究
  • 可溶性グアニル酸シクラーゼを標的とした創薬に関する研究
  • 各種循環器疾患に対する新規治療薬の開発研究
  • 各種機能性食品の薬理学的研究

●(薬品作用解析学研究室)
教 授 大野 行弘

  • セロトニン神経系の機能解析および創薬応用研究
  • ニューロン-グリア相互作用の解析研究
  • 中枢神経作用薬の薬理研究

●(薬物治療学研究室)
准教授 幸田 祐佳

  • 耐糖能異常と生活習慣病の発症・進展機序に関する研究
  • 生体防御の視点からみた上皮膜機能に関する研究

●(薬物治療学II研究室)
教 授 福森 亮雄

  • 認知症の病態と医療応用
  • 自己免疫性脳炎の病態と医療応用
  • 非天然アミノ酸の遺伝的取り込みを用いる孤児受容体リガンドの同定
  • CRISPR/Cas9 を用いる遺伝子改変生物の作成とその病態解析への応用

●(循環病態治療学研究室)
准教授 井尻 好雄
准教授 加藤 隆児

  • 医薬品適正使用に関する研究
  • 免疫関連副作用(irAE)、SARS-CoV-2 等によるサイトカインストームに対する新たな治療戦略
  • Cancer Therapy Related Cardiac Dysfunction(Onco-cardiology)に関する研究
  • 動脈硬化・心不全の発症・進展に関する分子形態メカニズムとそれらに対するバイオマーカーの探索
  • 肺高血圧症に対する新たな治療戦略

●(生体分析学研究室)
教 授 天滿  敬

  • PET・SPECT画像診断用放射性医薬品の開発に関する研究
  • MRI・光イメージングのための分子プローブ開発に関する研究
  • がんの早期質的診断並びに治療効果判定に関する分子イメージング研究
  • 中性子捕捉療法によるがんの治療のための薬剤開発研究
  • 病態モデル動物を用いた各種疾患の診断・治療法開発に関する研究

●(薬剤学研究室)
教 授 永井 純也
准教授 本橋 秀之

  • 疾患時における組織環境変化に伴う薬物動態変動とその分子機構の解明に関する研究
  • 薬物動態の精密制御による医薬品の有効性と安全性の向上と新規投与法に関する研究
  • 脂肪幹細胞が有する組織細胞保護作用の要因解明と細胞医薬品への応用
  • 抗がん剤の体内動態に関わる生体因子の解明と抗腫瘍効果および毒性発現における役割に関する研究

●(製剤設計学研究室)
教 授 戸塚 裕一
准教授 門田 和紀

  • 難水溶性医薬品の新規可溶化技術に関する研究
  • 経肺投与・吸入用の微粒子調製に関する研究
  • 自己乳化型製剤調製に関する研究

志願者は、予め志望する研究室の責任者に、研究内容等について相談しておくこと。
●を付した研究室は、薬学専攻との兼担研究室として研究指導を受けることができる。
★を付した教員は、修了までに定年又は退職となる。