薬学部薬学科 理念とポリシー

大阪医科薬科大学の理念・教育目的

建学の精神

『国際的視野に立った良質の教育、研究および医療の実践を通して至誠仁術を体現する医療人を育成する』

学是

『至誠仁術』

大学の理念

建学の精神及び学是(至誠仁術)に基づき、国際的視野に立った教育、研究或いは良質な医療の実践をとおして、人間性豊かで創造性に富み人類の福祉と文化の発展に貢献する医療人を育成する。

大学の目的

大学の理念に基づき、豊かな人間性と国際的視野を備えた次の人材を育成することを目的とする。
(1) 人類共通の課題である健康の維持増進並びに疾病の予防と克服及び苦痛の軽減に努める人材
(2) 変化する社会に対応し最新の知識と最良の技術を生涯学び続ける人材
(3) 地域医療から世界に通じる研究開発にわたる領域で探究心を持って活躍する人材

薬学部薬学科

目的

(1) 生命の尊厳と人権の尊重を基本に、人々の生き方や価値観を尊重できる豊かな人間性を育成する。
(2) 多様な人材と共同し、薬学や医療の分野で国際的に通用する新しい知識や技術を創造できる能力を育成する。
(3) 科学的知識と倫理的判断に基づき、薬学に関する専門知識、情報や技術を効果的に活用した医療が実践できる能力を育成する。
(4) 薬剤師として地域社会の特性を学び、多職種と連携し協働してさまざまな健康課題に取り組むことができる能力を育成する。
(5) 薬剤師として専門能力と教育能力を自律的に探求し、継続的に発展させる基本的姿勢を育成する。

ポリシー

薬学部薬学科 学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
※令和6年度以降入学生適用

 本学薬学部において学士(薬学)の学位を授与される者は、薬剤師としてのプロフェッショナリズムを十分に理解し、社会が求める薬剤師としての能力を将来にわたって継続的に発展させる上で基盤となる以下の内容を実践できるものとする。これらの内容に関して別途定める基準に到達している場合に学位を授与する。 
 
  1. プロフェッショナルとしての基盤
    薬剤師としての責務を認識するとともに、法令を遵守し、高い倫理観と責任感をもち、幅広い教養と豊かな人間性と国際的な視野を身に付けたうえで、患者をはじめとする他者に対して敬意をもって誠実な態度で医療に関わる。
  2. コミュニケーションと多職種連携
    多様な背景を持つ患者や地域住民、医療関係者、教育者、研究者などと良好な人間関係を築いて適切な情報の収集や提供を行い、他職種の職能や考え方を理解ならびに尊重するとともに、様々な情報を共有し、連携して医療などの職務にあたる。
  3. 社会的貢献
    薬学・医療に関する情報の収集・発信に必要な語学能力と国際的視点を持ち、研究活動や臨床現場で得られた知見を適切に利活用し、国際社会や地域社会において人々の疾病の予防、健康の回復・維持・増進、公衆衛生の向上に貢献する。
  4. 問題解決
    研究活動や臨床現場はもとより様々な局面において解決すべき課題を見出すとともに、薬学的知識・技能や経験などを統合し、先端技術や情報処理技術を適切に利活用して、根拠に基づいて解決に向けて取り組む。
  5. 薬物治療の実践
    患者の病態だけでなく、患者およびその家族の社会的背景や心理の変化にも配慮し、医薬品の特性の理解と科学的根拠に基づく総合的な評価に依拠した医薬品の供給、調剤、患者教育、処方設計の提案、患者の状態の把握を通じて、薬物治療の有効性と安全性を担保することにより患者の療養に貢献する。
  6. 自己研鑽と共育
    薬学・医療に関わる者として、自らの行動を常に省察し、能力の向上を目指して他者と共に学び高めあい、後進の育成に努める。

薬学部薬学科 アウトカムとコンピテンシー
※令和6年度以降入学生適用

DP-① プロフェッショナルとしての基盤
アウトカム
 薬剤師が命に関わる専門職であることを自覚し、薬のプロフェッショナルとしての誇りと責任をもって振舞う。(資質・能力1~10)

コンピテンシー
  1. 常に、自己の心身を健康に保ち、関連する法令や社会のルールを守り、周囲に配慮して、身なり、態度、言葉遣いなどにおいて人々の模範となるように行動し、それを省察する。
  2. 薬剤師は生命に関わる医療の専門家であることを常に意識し、高い倫理観と責任感をもって、その使命を果たす。
  3. 人文科学、社会科学、自然科学などに関心を持ち、自らの教養を深め、多様な文化や価値観を尊重し、敬意をもって他者に誠実に接する。

DP-② コミュニケーションと多職種連携
アウトカム
 医療人として、他者と適切なコミュニケーションを取り、患者や多職種などとの良好な関係を築き連携して医療に参画する。(資質・能力2,7,8,9)

コンピテンシー
  1. 人の行動や心理を理解するための基本原理とこれらに影響を与える要因を理解し、多様な背景を持つ患者や地域住民、医療関係者、教育者、研究者などと良好な人間関係を構築する。
  2. 互いに納得できる結論を導くために、他者の意見を理解するよう努め、自分の考えを相手の状況やその場に適した方法で的確に伝える。
  3. 医療・福祉に関連する様々な専門職の役割を理解し、互いの専門性を尊重しつつ協力・連携して薬剤師としての役割を果たす。

DP-③ 社会的貢献
アウトカム
 薬剤師の使命を認識し、公衆衛生の維持・向上などを通して社会に貢献する。(資質・能力2,4,7,10)

コンピテンシー
  1. 様々な言語で発信される薬学・医療に関する情報を収集、評価して提供することや、研究活動や臨床活動で得られた知見を国内外に向けて発信することで、人々の疾病の予防、健康の回復・維持、公衆衛生の向上に貢献する。
  2. 地域の人々に対して、ヘルスリテラシーの向上、疾病の予防、健康の維持・回復を目的とする情報を提供し、地域の人々とともに活動する。
  3. 貧困・災害・環境などの社会や自然に関する問題に対し、公衆衛生の維持・向上を目指して活動する。

DP-④ 問題解決
アウトカム
 臨床の場や研究の場のみならず、自身が直面する状況において幅広い視野で物事を捉え、課題を見出し、それを解決する。(資質・能力4,5,6,7)

コンピテンシー
  1. 日頃から探求心をもって物事を深く観察することにより、研究活動や臨床現場はもとより様々な局面において解決すべき問題点を見出す。
  2. 知識や技能、蓄積された経験を統合し、また、先端技術や情報処理技術を効果的に活用することにより、問題解決のための適切なプロセスを立案し、実行する。
  3. 実験・観察などにより得られたデータを後の検証に耐え得るよう適切に取り扱い、科学的な考察を加えて活用する。
  4. 問題解決のプロセス、およびそれらから導き出された結果を批判的に吟味し、さらなる問題解決に活かす。

DP-⑤ 薬物治療の実践
アウトカム
 薬剤師が人の命に関わることの責任を深く認識し、患者・家族にとってより良い薬物治療を提供する。(資質・能力4,5,6,7)

コンピテンシー
  1. 生命活動を理解した上で、各ライフステージでの心理的・社会的背景を踏まえて人の営みを多角的に捉える。
  2. 人の健康に影響を与える様々な内的、外的要因や病態の成立機序について理解した上で、患者の状態を継続的かつ的確に把握し、薬学的な視点で考察することにより、その時々に最適な薬物治療を根拠に基づき提案する。
  3. 薬物の物性、作用、体内動態、製剤学的特性に基づいて、人体に適用した際のリスク・ベネフィットを考慮し、適切に対応する。
  4. 医薬品の品質を担保し、患者が必要とする医薬品を正確かつ迅速に供給するとともに、医療安全に配慮し、危険を予測しながらその回避に努める。
  5. 患者、家族の社会的背景や心理の変化を考慮し、社会保障制度や医療経済にも配慮したうえで、納得して治療に参加できるよう、個々の患者に応じた薬物治療を提案する。
  6. 薬物治療の立案、実施、評価の各段階で、客観的事実と自らの考察・判断を医療文書として適切に記録し、伝達して共有する。

DP-⑥ 自己研鑽と共育
アウトカム
 薬剤師が医療人であることを認識して、常に研鑽するとともに、他者との共育を進める。(資質・能力3,7,8)

コンピテンシー
  1. 薬学・医療に関わる者として、自らの行動を常に省察し、能力の向上を目指して、最新の知見や技術の修得に努める。
  2. 自らの知識や技能、経験を同僚や後進と共有し、互いに成長できるように行動する。
  3. 教育理論などに基づく効果的な指導法を身に付けて後進を指導し、後進の行動に価値ある変化をもたらし、その成長に貢献する。
※「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)」では、10項目の「薬剤師として求められる基本的な資質・能力」が示されている。各アウトカムと関連する資質・能力の番号を文末の括弧内に記載している。

薬学部薬学科 教育課程編成・実施の方針
(カリキュラム・ポリシー)※令和6年度以降入学生適用

 本学薬学部のカリキュラムは、ディプロマ・ポリシーを具体化したアウトカムに達した者が示すコンピテンシーを醸成するための教育を提供することを目指す。また、本カリキュラムでは、体系的かつ段階的に学習を進めるとともに、学問領域を横断あるいは縦断した統合的な学びが行えるように授業間の連携を重視して構成する。そのため、複数の科目内容を連携させた演習を種々の学年に配置する。また、コンピテンシー醸成の基盤となる内容に関しては、その学び易さを考慮して学問領域ごとの科目配置も行う。
 以下に、ディプロマ・ポリシーの項目毎にアウトカムを提示した上で、その達成のための方針を示す。

  1. プロフェッショナルとしての基盤
     (アウトカム:薬剤師が命に関わる専門職であることを自覚し、薬のプロフェッショナルとしての誇りと責任をもって振舞う)
    深い教養を身に付けていくための科目を1年次から置くとともに、薬剤師が果たすべき責務や医療人としての倫理に基づく行動を醸成するための科目を1~6年次にわたって配置する。また、1年次を含む複数年次に社会の中で学ぶ体験型学習の機会を設ける。さらに5年次に配置する臨床実習によって、プロフェッショナルとしての姿勢を深める。
  2. コミュニケーションと多職種連携
    (アウトカム:医療人として、他者と適切なコミュニケーションを取り、患者や多職種などとの良好な関係を築き連携して医療に参画する)
    コミュニケーション能力醸成のため、初年次教育、語学教育、体験型学習、演習型学習、学部連携学習などにおいて、SGD(Small Group Discussion)やプレゼンテーション、PBL (Problem-Based Learning)、TBL (Team-Based Learning)などを取り入れる。また、4年次に薬剤師として必要なコミュニケーションスキルを学ぶ講義・演習科目を配置する。さらに、他職種の理解や他職種と良好な関係を構築するための基盤を培うため、1年次から学部連携学習科目を配置する。5年次の臨床実習では、薬局や病院において、患者やその家族に対する面談や指導に取り組むことに加え、他学部学生や多職種との連携を実践する。
  3. 社会的貢献
    (アウトカム:薬剤師の使命を認識し、公衆衛生の維持・向上などを通して社会に貢献する)
     薬剤師としての社会貢献活動を実施する能力を修得するため、医療人や患者・生活者の立場を理解し、実社会での地域貢献活動に接する体験型学習を、1年次を含む複数年次に設ける。また、国際的な視点や感覚に基づく情報の収集・発信に必要な語学能力を醸成するため、1年次から複数年次にわたって語学科目を配置する。加えて、2~4年次に公衆衛生に関する理解を深める講義・演習・実習科目を配置する。これらの段階的な学びを経て、5年次における臨床実習を通して、薬剤師の社会的役割を実践的に学ぶ。
  4. 問題解決
    (アウトカム:臨床の場や研究の場のみならず、自身が直面する状況において幅広い視野で物事を捉え、課題を見出し、それを解決する)
     課題の発見・解決における基本的な考え方や取り組み方を身に付けるために、PBLやTBLを取り入れた初年次教育やそれに続く演習を実施する。また、1~4年次に研究や臨床の場における問題解決に必要な知識やその理解を深めるための講義・演習を配置するとともに、研究における基本的手技や医療現場におけるエビデンス構築の一般的手法を身に付けるための基礎実習を配置する。さらに、統計学的手法を学ぶ科目を2年次以降に、適切に情報を収集・解析・活用できる能力を身に付けるための科目を1年次から複数年次にわたって配置する。加えて、より高度で実践的な問題解決能力を身に付けるため、4~6年次にわたって取り組む卒業研究、5年次の臨床実習を配置する。
  5. 薬物治療の実践
    (アウトカム:薬剤師が人の命に関わることの責任を深く認識し、患者・家族にとってより良い薬物治療を提供する)
     薬物治療に関連する基礎知識を修得する薬学専門科目に加えて、疾患の病態や薬理、薬物治療を統合した科目を1~4年次に配置する。また、薬事制度や社会保障制度に関する理解を深める科目を3年次から配置する。並行して基礎薬学系領域から医療・臨床薬学系領域にまたがる連携演習を設定する。5年次の臨床実習では、実際の患者などに対する実践的な薬物治療の学習を行う。また、基礎から臨床までを統合して学ぶ統合型演習を臨床実習の実施前と実施後に配置する。
  6. 自己研鑽と共育
    (アウトカム:薬剤師が医療人であることを認識し、常に研鑽し続けるとともに、他者との共育を進める)
     未知なる課題に取り組む卒業研究、正確かつ最適な情報を必要とする臨床実習を配置し、自ら積極的に学び、生涯にわたって自己研鑽する姿勢を涵養する。また、後進を育成する能力の基盤を培い、チーム医療の観点からも必要な共育という認識を養うために、薬学における教育の基礎を学ぶ機会や後輩を指導する機会を設ける。

 上記のように編成した教育課程では各科目の教育内容に応じて、アクティブラーニング、体験型学習、オンライン教育、LMS(Learning Management System)などを活用した学修を実践する。
 上記のアウトカムは、別途定める本学のアセスメント・ポリシーおよび本学薬学部のアセスメント・プランに基づき評価する。特に、科目レベルの学修成果については、その特性に応じて筆記試験、口頭試験、実地試験、レポート、ポートフォリオなどにより評価する。パフォーマンスの評価に際しては、ルーブリックを活用する。