1. がん看護学分野
この分野では、がん医療の中でも特に発展がめざましい薬物療法や放射線療法を受けるがん患者および家族に卓越したケアを提供できるがん看護専門看護師の育成を目指している。がん医療の動向や最新のがんの診断・集学的治療の知識、そしてがん看護や緩和ケアに必要な概念および理論に関する専門知識、根拠に基づく臨床判断過程や熟練した看護ケア技術についての学びを深める。また、看護専門職としての倫理観をもち、複雑な健康課題を抱えながら療養生活しているがん患者および家族に質の高いケアを提供しうる看護実践能力を習得する。さらに、がん看護専門看護師として、看護者を含む医療者への教育や相談の役割、がん患者および家族、医療者間における調整や倫理調整の役割、研究の推進・実施などの役割を果たす能力を養う。
2. 慢性看護学分野
慢性疾患の医療費は年々増大する一方で入院期間は短縮化し、さらに地域包括ケアシステムが推進されるなど、慢性疾患への医療・看護は従来の入院・外来治療を主とした考え方を転換させる時期を迎えています。
慢性看護では、慢性病の予防から、慢性病の個人および家族の健康や生活に及ぼす影響・特徴と、それに対する人々の反応・療養行動特性を理解し、慢性病を持ちながら質の高い生活をするという視点から、専門看護師の専門性を発揮して、施設全体や地域の看護の質の向上を高めることができる人材の育成を目指しています。例えば、慢性病者の包括的アセスメント、疾病予防のための教育支援方法、医療福祉の制度や体制とその革新方策などについて学びます。そして、自分なりの「高度実践専門看護職」のイメージを具体的に描けるようにしてほしいと思います。なお、慢性疾患看護師の専門分野に関しては特に既定はしておりません。
3.精神看護学分野
国内外の精神保健医療福祉の動向、精神看護に関連する諸理論、精神看護アセスメント、看護技法等の検討を行い、高度実践看護師の役割機能に関する理解を深め、必要な能力を育みます。課題研究では、精神看護に貢献できる実践研究能力の開発を目指します。
4.老年看護学分野
高齢者の療養生活を支援するための専門的知識に基づいた高度な看護判断ができる能力を身につけ、高齢者および家族に卓越したケアを提供できる老人看護専門看護師の育成を目指しています。特に認知症老年看護、在宅における老年看護について治療法や看護技術、在宅ケアシステム等の最新のエビデンスを学び、複雑な課題を抱える認知症高齢者、あるいは在宅で療養生活を送る高齢者を支援するための高度な看護実践について学びを深めます。
5.小児看護学分野
成長発達とセルフケア看護理論および家族に関する諸理論を基盤に子どもと家族が内包する健康問題を系統的包括的にアセスメントについて学び、子どもの健康状態を捉え、環境の影響を考慮しながら健康の保持増進、疾病や障がいによる小児と家族の反応を適切に捉え支援できる専門性の高い看護実践能力、専門職との相談や調整能力、子どもの最善を目指した実践での課題を倫理的視点から調整していく能力、子どもや家族への適切な看護ケアのための実践研究を行う能力を修得します。
専門分野実習は、実習Ⅰ(小児の診断と治療)は小児科専門医から指導が受けられる附属病院において、実習Ⅱ、実習Ⅲに関しては、小児看護専門看護師から指導が受けられる病院や療育センター、訪問看護ステーションにおいて院生のニーズに合わせて行います。
高度実践看護コースは日本看護系大学協議会の38単位教育課程の認定を受けています。
6.プライマリケア看護学分野(ナースプラクティショナー)
顕在または潜在的に健康問題を有する患者にケアとキュアを統合し、自律的に治療的もしくは予防的介入を行い、疾病予防から疾病管理、健康の維持・増進からエンド・オブ・ライフケアまで直接的ケアができるプライマリケア看護のナースプラクティショナーの育成を目指しています。典型的な疾患や症状の病態、診断、治療、プライマリケア看護に必要な概念や理論についての専門的知識や技術を学び、看護の視点から包括的アセスメントし卓越した看護実践ができる能力を身につけます。