臨床医学

臨床医学においては、患者さんの話をよく聞き、診察や各種検査所見から病態(なぜこのような症状を起こしているのか)を正しく診断して、治療を行うことが重要です。外科系においては、薬物療法を中心とした保存療法と手術の両方を行います。近年の手術はどの分野においても患者さんへの負担が少ない低侵襲手術が普及し、術後は早期リハビリテーションが行われています。患者さんやご家族に手術療法の長所だけでなく、手術合併症を十分説明した上で、一緒に治療法を選択します。これからの診療は医師だけでなく、看護師や薬剤師、理学療法士を中心とした多職種で治療に臨むことが重要です。そのためにも看護師として臨床医学の知識を身につけることはとても大切です。
また、生活習慣病を中心とした内科疾患も増加していく一方であり、治療も複雑化、特殊化しています。それぞれの患者さんの背景にあった治療を提供していくにあたり、特に患者側を考える視点(看護の視点)はとても重要です。色々な疾患の諸問題を研究し、多職種連携の中心となって活躍できる力の育成を目指しています。

授業科目

からだの仕組みと働きⅠ、からだの仕組みと働きⅡ、病気の成り立ち、フィジカルアセスメント、病気の診断と治療Ⅰ、病気の診断と治療Ⅱ、リハビリテーション医学

メンバー紹介

教授 | 安田 稔人

これまで運動器(身体運動に関わる骨、筋肉、腱、関節とそれを支配する神経の総称)の診療および研究を行ってきました。ADL(日常生活動作)に直接関わる運動器は看護学においても重要な領域の一つです。今後の超高齢社会により、転倒による骨折や運動器疾患が増加し、運動器障害によるADLの低下は健康寿命の短縮に直結するため注意が必要です。日本整形外科学会が2007 年に提唱したロコモティブシンドローム(以下ロコモ)は、「運動器の障害により移動能力の低下した状態」と定義されます。ロコモの予防には、適度な運動や身体活動の維持、栄養バランスの良い食事が有効であり、ロコモに対する対策はフレイルの予防や転倒予防にも繋がります。また近年、糖尿病患者の増加による糖尿病足や重度下肢虚血による足部障害も増加しており、フットケア外来も普及してきていますが、フットケアの主役は看護師です。私は大学病院で足の専門外来を週に1回行っていますので、皆さんとともにフットケアにも携わっていきたいと思っています。また、臨床研究として本学でスポーツ選手の外傷後の早期スポーツ復帰のための再生医療研究も行なっています。

教授 | 津田 泰宏

内科学、免疫学をベースに特に肝臓病をメインとして今まで診療および研究を行ってきました。白血球の一種である好中球の分画とその役割の違い、肝細胞癌患者の免疫、C型肝炎を主としたウィルス肝炎治療、肝硬変患者の栄養治療などが今までの研究のテーマです。現在は大阪医科薬科大学病院では、看護学部学校医、ウィルス肝炎対策委員会などを担当し、第一東和会病院、藤田胃腸科病院にて肝臓外来をおこなっています。生活習慣の欧米化に伴い肥満や糖尿病が増加しているため、今後はそれらが肝臓病も含め色々な疾患の中心になると考えられます。検診等で肥満や脂肪肝、糖尿病を指摘されているにもかかわらず医療機関を受診しない、もしくは受診しても生活習慣が改善できないケースにおける対応を今後のテーマに置き、特に意識調査や生活スタイルの調査の方面から研究していくことを考えております。また、ポータブル型超音波検査機器の普及に伴い、それらを看護の現場にてどのように有効利用できるかについても研究を開始しています。

研究紹介

安田稔人

スポーツ選手のアキレス腱断裂に対する早期運動療法を併用した多血小板血漿療法
科研費基盤研究(C) 2020-2024
多血小板血漿を併用したスポーツ選手のアキレス腱断裂術後のスポーツ復帰と腱長の変化
科研費基盤研究(C) 2023-2025

津田泰宏

C型肝炎患者の治療、マネージメント、抗ウィルス治療後の患者の心理的変化
肝硬変患者の栄養療法
肝細胞癌患者の細胞性免疫機能の変化
肝障害がある生活習慣病患者の生活習慣の実態
訪問看護師に対するポータブルエコーの教材の開発


社会貢献活動

  • 安田稔人:第11回大阪医科薬科大学市民看護講座「ロコモを知り、健康寿命を伸ばそう!」令和61214日(土)
  • 安田稔人:第48回日本足の外科学会学術集会会長 20231026日(木),27日(金)、グランフロント大阪コングレコンベンションセンター
  • 安田稔人:関西臨床スポーツ医科学研究会会長 2021年6月26日(土)
  • 安田稔人:大阪医科大学市民公開講座「スポーツ愛好家の足の痛み ー足首周辺の外傷と障害ー」平成27919日(土)
  • 津田泰宏:大阪医科大学市民公開講座「肝炎と肝臓がんについて」 平成26517
  • 津田泰宏:大阪医科大学市民公開講座 「C型肝炎の新展開」 平成26126
  • 津田泰宏:大阪肝臓友の会講演「ウィルス肝炎の最新治療〜肝発がん防止をめざして〜」 平成27214

これまでの卒業研究のテーマ

2024年
・看護分野における人工知能活用の現状と課題
・糖尿病患者に対するフットケアの意義と課題—下肢切断予防のために—
・高齢者の転倒に影響する要因と対策の検討-ロコモティブシンドロームに着目して-
・睡眠が糖尿病発症・悪化に与える影響とその看護(文献検討)
・若年糖尿病患者の心理状態に関する文献検討
・小児の採血、点滴時におけるプレパレーション関する文献検討

2023年
・高齢者が自立した生活を継続させるための看護支援-ロコモティブシンドロームに着目して-
・口腔機能が心身機能に及ぼす影響に関する文献検討
・多職種連携による急性期リハビリテーションにおける看護支援
・ストレスと生活習慣の関連性に関する文献検討
・思春期・青年期にクローン病を発症した患者への看護に関する文献検討
・筋萎縮性側索硬化症患者の終末期に関する文献検討

2022年
・ロコモティブシンドロームと骨粗鬆症に焦点を当てた転倒予防に必要な介入に関する文献検討
・認知症高齢者の転倒転落予防に関する文献検討
・高齢者の急性期リハビリテーションにおける看護支援
・成人期の胃がん術後患者の食生活への適応過程で生じる困難を支える看護に関する文献検討
・術前の患者が抱える不安やニーズに対する文献検討 —手術室看護師と病棟看護師の連携に関してー
・終末期がん患者の在宅移行に向けて看護師に求められる支援