新生児のドライテクニックに使用する用具の開発

Key Words

新生児、ドライテクニック、低刺激、水分保持素材

新生児のドライテクニック(出生時に付着した血液や羊水、胎便などを拭き、胎脂はできるだけ取り除かない方法)において、現在用いられている用具での実施では、新生児の皮膚への刺激、手技の困難さ、実施者の感染予防の点で課題がある。この課題を解決するための新たな用具の開発が求められている。

医療現場の課題

新生児の表皮は、大人に比べ角層が薄く、角層の乾燥傾向は、生後3日から少なくとも生後2週間まで続く。新生児の清潔ケアとしてドライテクニック、沐浴が実施されている。 
生後日数によるドライテクニックと沐浴の使い分けについては、出生当日のみドライテクニックを行い以降は沐浴を行う施設、生後4日目までドライテクニックを行う施設などがある。また、ドライテクニック実施部位については、新生児の負担や汚れなどを基準にして清拭部位を決定する、出生1日目は顔面や頭部、出生4日目には全身を清拭する、などがある。


●ドライテクニックのメリット・デメリット

  メリット デメリット
新生児 ・母子の愛着形成促進
・臍帯脱落促進
・皮膚トラブルの予防
・光線療法実施率の低下
・溺水の危険がない
・皮膚への刺激
・汚染の除去は困難
・環境、実施時間によっては体温低下
実施者 ・時間短縮 ・新生児に付着した血液などによる感染リスク
学 生 ・沐浴と比較すると手技が簡易で安全 ・新生児に付着した血液などによる感染リスク
・手技に時間を要し、湯温が低下

沐浴の場合、新生児の皮膚への刺激を避けるため、手でよく泡立てて洗浄することが理想的であるとされている。ドライテクニックの場合は手で実施することはできないため、用具の使用が必要である。

ドライテクニックで用いる用具について、以下の課題が生じている。

1.リネンの素材の課題:ガーゼ、綿タオル、不織布など様々な素材のリネンが用いられている。既存のものが使用され、新生児に適したものとはいえない。新生児の皮膚に刺激が少ないこと、血液や胎脂などにより汚染されるためディスポーザブルであることなどが求められる。また、実施者への感染予防対策としてプラスチック手袋などを使用した上で実施されている。統一されたものはなく、それぞれの施設で検討しながら実施されているという現状である。

2.用具の形状の課題:新生児のドライテクニックにおいては、頸部や腋下など細かい部分の清拭が必要である。現在用いられているガーゼ、綿タオル、不織布などでは、水分を含ませて絞り、細かい部分を清拭する、という行為において、実施のしづらさがある。

医療現場の課題を踏まえたニーズ

新生児のドライテクニックを実施するための新たな道具の開発が求められている。
具体的には以下の用具を開発したい。
・新生児の皮膚に刺激が少ない素材。
・湯に浸し、手を握ることで適度な水分が保持できる素材。
・湯温の低下を防げるもの。
・ディスポーザブルで使用ごとに破棄できるもの。

希望する共同研究分野 (もしくは企業)

衛生材料開発・取り扱い業者など