研究データマネジメント

 大阪医科薬科大学は、研究活動によって得られる結果(以 下、「研究データ」という。)を適切に管理・保存し、研究データの信頼性を担保することを目的として、研究デ ータマネジメントポリシー(以下、「本ポリシー」という。)を定めました。
 
 なお、本ポリシーは研究データマネジメントに関わる本学の方針を示すものであり、研究 倫理や個人情報保護等に関する本学の個別規程の実施に制約を与えるものではありません。 
 
医療データ・ヘルスデータなどに代表されるように、対象者本人の同意を取得して初めてデータとして使用することが可能といった法的制約や様々な規程の定めがポリシーよりも優先されます。

本学はコンプライアンス向上・研究公正の観点より、研究データのマネジメントについて方針を定めました。

研究データマネジメントとは

ある研究プロジェクトにおいて使用された、あるいは生成された情報を研究の開始から終了までを通し、
「研究者が」「どんなデータを」

    ✓どのように入手・生成するか
    ✓どのように分析・解析するか
    ✓どのように共同研究者等と安全に共有するか
    ✓どのように公共の知として公開するか/安全に廃棄する

を明確にし、どのように組織化、構造化、保管・管理していくのか、を指す言葉

「研究データ」とは

研究データマネジメントにおける「研究データ」とは、

▪実験・観察等の研究活動の過程を記録した
    実験ノート等

▪論文や報告等成果発表の基となった研究資料
  (文書、数値データ、画像等)

(「大阪医科薬科大学における研究資料等の保存に関するガイドライン」適用)

なぜ、研究データマネジメントが必要か

  1. ICT進展などに伴い、様々な種類・形式の膨大な研究データが生成・流通されており、これらを適切に管理することが求められます。
  2. 研究データの管理・保管・公開は、学術のオープン化、研究成果の利活用による新たな価値を創出します。
  3. 研究の透明性確保、過度な研究重複を回避することによる研究費の効率的な活用、成果の散逸の防止を目指します。
  4. 研究成果の社会への還元や説明責任を果たす目的があります。

研究データマネジメントでのTo Do

  1. 研究データの取り扱いを定めるデータ管理計画(Data Management Plan: DMP)の策定
  2. → 本学フォーマットを作成
  3. 研究プロジェクト期間中の日々の情報の取扱い
  4. → 行ったことの記録(実験・研究ノートの記入)
  5. 研究プロジェクト終了後のデータ公開や長期的保管
  6. → 外部サーバー(GakuNinRDM/国立情報学研究所)を利用し、長期的に保管する。

研究データを構成する例

▪試験・検査への反応、応答 ▪研究の過程で獲得され、⽣成されたデジタル資料のコレクション
▪データベースのコンテンツ(ビデオ、⾳声、テキスト、画像)
▪モデル、アルゴリズム、スクリプト
▪アプリケーションソフト
▪方法論、ワークフロー
▪標準的な操作⼿順
▪⽂書ファイル、スプレッドシート
▪研究ノート、フィールドノート(野外調査の記録)、日誌
▪アンケート、転写物、コードブック
▪音声テープ、ビデオテープ
▪写真、フィルム
▪スライド、人工物、標本、サンプル
▪統計的なデータファイル

加工過程におけるタイプ 生データ、加工データ、二次データ、最終データなど
データ種別によるタイプ 数値データ、テキストデータ、画像データ、ソースコード、音声データなど
参考データ 研究ノート、メタデータ、コードブック、研究関連資料など
フォーマット デジタルデータ、アナログデータなど

「研究データマネジメントのメリット」

研究データマネジメントが必要な理由として、主に3つ

●研究倫理の確保
   ♦研究データや研究記録の正確性・完全性・真正性・信頼性の保証
   ♦研究の再現性の確立

●研究の効率化
   ♦データセキュリティの強化とデータ消失リスクの最小化
   ♦長期的に時間や資源を節約
   ♦ある時点のデータを他の時点と比較できるデータを提供することにより
      データの変化の分析を容易にする

●ポリシー
   ♦資金提供元の要求を満たす
   ♦産業界や商業界の慣行に従う

研究サイクルと研究データマネジメント

 研究サイクル  研究データマネジメントの内容
(開始前) 計画立案・調査開始(どのようにデータを取り扱うか、またはどのようなデータが生成されるか)
  • データマネジメントプラン(Data Management Plan: DMP)の策定
  • 法的、倫理的問題への対処(倫理審査等)
  • 利用可能な既存データの入手
(実施中) 研究プロジェクト実施中における日々の情報の取扱い(データ収集と生成、整理、分析)
  • データの保存とバックアップ
  • 共同研究者との共有
  • 整理とメタデータ管理
(終了後) 研究プロジェクト終了後の成果の公表、プロジェクト終了手続き(データをどこに保管するのか、どのデータを廃棄するのか)
  • リポジトリでの公開
  • 非公開での保管
  • データの破棄
  • 永続的識別子(Persistent Identifier: PID)の付与

研究データマネジメントの対象

①発表された論文にかかるデータマネジメントプラン(DMP)及び大学に保管を求めるデータ※

②公的研究費にかかるDMP


※ 大学に保管を求めるデータとは、「書き換えられる懸念があるデータ」のこと DMPにて、どこにどのようなデータがあるかを証明することができれば、 この限りではない。



研究データマネジメントは、研究者自ら行うことが求められます。

研究データが消去されることのないよう、また研究不正を指摘されないよう、研究者自身を守る研究データマネジメントをしっかり行うこと


研究データマネジメントプラン(DMP)の作成項目(本学様式)

「論文発表」の場合と「公的研究費」の場合で、DMPシートが異なります。

(共通)
1.DMP作成日
2.公的研究費の配分の有無、公的研究費の配分がある場合、その種類(配分事業名称)
3.データ情報

  • 研究データの名称
  • 研究データの説明(具体的に例示が必要)
  • 個人情報の有無
  • 研究データの作成者(Figure作成者、統計解析担当者等)
  • 研究データの管理者(Corresponding Author/責任著者、共同研究の場合は各機関における研究責任者)
  • 研究データ保存場所(本学もしくは外部リポジトリ、本学サーバー等)
  • 研究データの公開・非公開等

①論文発表の場合(追加項目)


  • 雑誌名・巻・号・頁
  • 論文タイトル
  • DOI

②公的研究費の場合(追加項目)


  • 研究分野(科研費の場合は審査区分、厚労科研費・AMED・その他省庁の場合は事業名)
  • 種目名称(科研費の場合)
  • 担当(代表・分担・協力者)
  • 課題番号
  • 課題名

研究データマネジメントは、下記URLよりダウンロードの上、ご利用ください。
OMPU_データマネジメントプラン様式_202504(科研費用)
OMPU_データマネジメントプラン様式_202504(論文用)

(1)データマネジメントプラン
(2)メタデータの作成
①「メタデータ」とは、データマネジメントプランにおけるデータの詳細内容

研究データマネジメントの流れ

1.データマネジメントプラン(DMP)を作成
  研究データにメタデータを付与、 DMPを作成
  DMPをCorresponding Author(DMP管理者)が確認する
2.大学に提出するデータを設定
3.GakuNinRDMに登録
図書館にGakuNin RDMの利用申請書(別紙1)を提出
図書館より登録完了の連絡後、GakuNinRDMに設定した研究データを保管
GakuNin RDMにデータ保管が完了したことを図書館に連絡
4.データキュレーターによるランダム確認
データキュレーターは、提出されたDMPとデータをランダムに抽出し、それらの
内容を確認し、不足があれば管理者に連絡する。

機関としてのデータマネジメント(保存期間)

本学は、研究データの保存期間を原則論文発表後少なくとも10年間と規定し、その後も可能な限り長期的に保存支援する。

帰属に関する原則(本学の役割)

本学は、研究データについてその作成者の意向を尊重し、研究実施に関わる契約の制約を考慮した上で、責任をもって管理を行う。また、本学は、その研究者が策定すべき研究データマネジメントプランの作成、研究データの適切な保管の確保を支援するとともに、本ポリシーを実現するために研究者に対する広範な啓発活動を行う。

研究者の役割(研究データの管理)

本学の研究者は、各研究分野における法令や慣習、外部の資金提供機関の研究倫理及び本ポリシーに基づく研究データマネジメントプランの作成、メタデータの作成及び研究データの適切な保管・管理を実施する。

具体的な研究の種類に応じたUploadするデータの例(参考)

DMPのGakuninRDMへのUploadは必須です!


データの種類(例) Uploadするデータ
患者カルテに含まれるデータ(診療録) 外部機関に保存されているデータ DMPのみ
NMRやHPLCのデータなど、測定器に保存されているデータ DMPに保管場所を明記の上Upload
論文に使用した棒グラフ グラフのもとになった表計算ファイルとlegend
(実験時のノートもあればUpload)
Western blot 切り抜きされていないゲル全体のイメージとlegend
(実験時のノートもあればUpload)
RNAseq NGSで得られた生データ
インタビュー 原稿に起こした文章
動画 元のファイルはアップの必要なし。
(実験時のノートもあればUpload)
顕微鏡写真 論文に使用した図の加工前のファイルとlegend
(実験時のノートもあればUpload)
実験(研究)ノート 論文に使用したデータにかかる箇所をUploadすることが望ましいが、所属研究室等において実験ノートの管理・保管が適切に行われ、DMPにおいて実験ノートの保管場所を明記してあれば認める

※「論文関係資料」等のファイルを、ある程度包括的にUploadすることも認める。
※動物実験に供する試料やその他の試薬に関する購買・搬入証明等は必須でない。
※「論文関係資料」等のファイルを、ある程度包括的にUploadすることも認める。

 

大阪医科薬科大学 研究データマネジメントポリシー

                                 令和5年8月10日 施行
 
(趣 旨)
大阪医科薬科大学(以下、「本学」という。)は、医学・薬学・看護学といった医療系分野における教育・研究・医療活動を推進し、国際的視野に立った良質の教育、研究及び医療の実践を通して至誠仁術を体現する医療人を育成することを使命とし貢献してきた。
 
このような背景を踏まえ、本学は研究活動によって得られる結果等に係る研究資料等(以下、「研究データ」という。)を適切に管理・保存し、また個別契約・法令・他の規程等に起因する制約を必要に応じて設け、研究データの信頼性を担保することを目的として、研究データマネジメントポリシー(以下、「本ポリシー」という。)を定める。
 
なお、本ポリシーは研究データマネジメントに関わる本学の方針を示すものであり、研究倫理や個人情報保護等に関する本学の個別規程の実施に制約を与えるものではない。
 
(研究データ)
1. 本ポリシーにおける研究データは、文部科学省「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日 文部大臣決定)」に則り制定した「大阪医科薬科大学における研究資料等の保存に関するガイドライン」第2条第1項第1号に定義されたものをいう。
 
(保存期間)
2. 本学は、研究データの保存期間を原則論文発表後少なくとも10年間と規定し、その後も可能な限り長期的に保存支援する。
 
(本学の役割)
3. 本学は、研究データについてその作成者の意向を尊重し、研究実施に関わる契約の制約を考慮した上で、責任をもって管理を行う。また、本学は、その研究者が策定すべき研究データマネジメントプランの作成、研究データの適切な保管の確保を支援するとともに、本ポリシーを実現するために研究者に対する広範な啓発活動を行う。
 
(研究データの管理)
4. 本学の研究者は、各研究分野における法令や慣習、外部の資金提供機関の研究倫理及び本ポリシーに基づく研究データマネジメントプランの作成、メタデータの作成及び研究データの適切な保管・管理を実施する。
 
(その他)
5. 学長は、法令、社会や学術環境の変化に応じ、本ポリシーを適宜見直す。

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