博士後期課程 研究領域

看護教育学

看護教育学は、看護学各領域に共通して存在する要素を研究対象として、看護学生を含む看護職者、看護教育者など看護を提供する側に焦点を当て、その発達支援を通して質の高い看護の提供を目指します。当該分野では、看護基礎教育および看護継続教育の実践の場で生じている教育現象、看護専門職の実践的思考の育成など、看護実践能力を高める人材育成の課題について探求します。

人文社会学

人文社会学の諸分野はさまざまな仕方で看護学と関連していますが、特に教員の専門は哲学・倫理学です。現象学的方法を含む質的方法による看護研究、看護倫理・医療倫理の諸問題に関する研究など、人文社会学の視点や知見を活かした研究を行い、自律的な教育研究者として批判的に考えながら研究する力を養うことを目指します。

移植・再生医療看護学

臨床に関する研究として移植医療とリンパ浮腫に関する研究を行っております。移植を受けることがゴールではなく、その後から始まる慢性疾患「移植病」でもあるという視点から、退院後からの自己管理に着目し、いただいた移植臓器を大事にして生を全うできるように支援する研究を行っています。2つ目は、リンパ浮腫の患者を対象にセラピストとして看護外来でケアを行いつつ,QOLの向上のための研究に取り組んでいます。
さらに、看護教育に関しても教育方法としてアクティブラーニングのIBLを用いた教育方法について、評価方法を含めて関西の看護系大学の教員と共同研究を行っています。また,継続教育として地域病院と一緒に新人看護師や中堅看護師のストレス耐性能力,バーンアウト,思考過程の向上について実践研究を行っています。
ご興味のある方はぜひ研究にご参加ください。一緒に研究成果を社会に還元していきましょう。

がん看護学

この分野では、がん看護や緩和ケアなどの分野における臨床知や国内外文献の系統的レビューを基盤として、がん看護などの教育および看護実践において取り組むべき研究課題を特定し、関心領域における概念分析、看護現象の構造の明確化や理論構築、看護ケアの評価方法の開発、看護介入モデルや看護介入プログラムの開発に関する課題を探求します。

慢性看護学

この分野においては、関心領域の国内外の文献レビューを基に病気とともに生きる人とその家族を対象に健康課題と関連要因を明らかにし、効果的な看護の方法を追究する。
さらに慢性期にある人と家族を理解するための概念や理論に裏づけられた経験から、新たな発想を加えて、患者のセルフケアやQOL向上、健康増進のための援助について探求、
新たな理論や概念を創世する。

精神看護学

全人的な視点を基盤にしながら、入学生が計画した研究テーマを精錬させ、精神保健における社会的課題の解決に向け、精神看護の発展に寄与し得る研究論文が作成できるよう研究能力の開発を目指します。

老年看護学

「老年期を生きる人」の価値観や信念を尊重し、高齢者が持てる力を発揮できるために、最新のエビデンスに基づいた高度な看護ケアの追求や、その評価方法の開発に取り組んでいます。学生は老年期における健康課題の解決に向けて、課題の明確化と共に、新たな方策を開発する力、研究成果を発信する力を培い、1人の研究者として老年看護学の知識体系の発展に貢献できる能力の修得を目指します。

臨床医学

質の高い看護を提供するにはそれぞれの疾患の病態や症状の原因、そして治療薬の使われ方や手術方法と後療法などを理解しておくことが必須です。医系の教員の視点から様々な内科系および外科系疾患の病態生理やマネージメントを学び、 診断から治療に至る流れの理解を深めます。その中で看護の視点から現状の問題点や改善点を見つけ出し、それらを研究課題として取り組むことでさらに医療の質を向上させることを目指しています。

母性看護学

母性看護学分野は、これから親になる思春期の男女、胎児、妊産婦、子どもと母親や父親、その家族、成熟期、更年期、老年期女性などを主な対象とする看護の実践領域です。研究の特徴としては、国内外のエビデンス・ガイドラインを重視しつつも日本文化を大切にした「明日から使える身近な研究成果」(micro trialing, micro evidence)をめざし取り組んでいます。その中心となる研究課題は、「親となる人々を支える看護」に関する研究です。これまでの博士後期課程学生の研究テーマでは①産後の母親の睡眠に関する研究、②高年初産婦の産後3日目から2週間健診までの睡眠状況と疲労感の実態など、臨床現場や社会への還元性の高い課題に取り組んでいます。ぜひ当領域で一緒に学んでみませんか。

小児看護学

小児看護学では、子どもの発達段階や健康障害の幅広さや子どもにかかわる家族の問題など複雑な看護現象を扱う研究に取り組んでいます。院生が取り組んできた研究や教育経験を基盤に、系統的文献レビューや討論を通して看護現象の明確化を図り、看護現象の構造の明確化や理論構築、看護ケアプログラムの開発に関する研究課題を探究します。研究を通して小児看護の知の発展に寄与することを目指しています。

地域看護学

当分野では、公衆衛生看護学・地域看護学の学問追求を基盤とし、公衆衛生看護・地域看護活動の発展に寄与することを目指した研究を行います。具体的には、現在、「地域組織活動・地域づくりの健康への効果」「母子保健活動の標準化」「保健師教育」「保健所・保健センターと大学の官学連携」などを含めた、様々な健康づくり活動・保健師活動等に関する研究を行っております。実践活動の科学的根拠創出や成果の可視化等に関する研究にご興味ある皆様のご参加をお待ちしております。

在宅看護学

実践の場での生きたデータをもとに、現象を見抜き、理論的に分析し、言語化し、エビデンスにもとづいたケアの具現化、効果的な支援システムの開発など在宅看護学の発展に資する独創性のある研究課題に取り組みます。主体的に研究をすすめながら、教育研究者として自立できる研究能力の修得をめざします。

社会医学

国民の健康の増進の総合的な推進を図るため、公衆衛生学の視点から生活習慣病の発症予防と健康寿命の延伸に関わる研究を行います。具体的には運動習慣や食習慣等に起因するがん、循環器疾患、糖尿病等の一次予防に重点を置いた研究能力を養成することを目指します。