老年看護学実習Ⅱ

この実習は、①老年期にある健康課題をもつ人とその家族を身体的・精神的・社会的側面から総合的に理解し、対象者の個別性や健康レベルに応じて看護活動を実践できる基礎的能力を養うこと、②高齢者の生活を支える保健・医療・福祉職についての理解を深め、多職種との連携・協働や看護の役割について学ぶことを目的に、介護老人保健施設や大阪医科薬科大学 三島南病院で実習を行っています。
学生には、受け持つ方の価値観や思いを尊重し総合的な理解を深めるとともに、看護実践を通して老年期における看護師の役割を理解してもらいたいと思っています。

【学生の声】

・高齢患者さんとのコミュニケーションは簡単ではありませんでしたが、患者さんの特徴やこれまでの生活背景を捉え、「患者を知る」ことでその患者さんに適したコミュニケーション方法を見出すことができました。
良い意味で人生の最終過程にある高齢患者の退院への意向を捉える中で、自宅や施設が最終目標なのではなく、患者さんがその人らしさを持って生活することが最終目標であり、患者さんが出来ることは何か、さらに出来るようになりたいことは何なのかを考えることが重要であるのだと学ぶことができました。

・高齢者の方との関わりやコミュニケーション、ケアを通して、退院後を見据えた援助の実際や重要性を学ぶことができました。
指導者さんが親身になって看護課題や看護計画、目標についてアドバイスしてくれ、講義のペーパーペイシェントと、臨床という実際における患者さんの違いを学び、これまでの学びとリンクしながら、看護実践に取り組むことができました。

・老人介護保健施設と病院の2つの場所で実習を経験したことで、地域がどのようにして高齢者を支えているのかを学ぶことができました。
実際に高齢者の方とお話したり、一緒にレクリエーションを行ったりして、高齢者の生活を知る機会になりました。
今まで高齢者の方と関わる機会が少なく不安でしたが、施設や病院のスタッフ、先生方が丁寧にご指導下さり、たくさんの学びある実習になりました。

・三島南病院の回復期リハビリテーション病棟では、退院後の生活を見据えた看護の提供を行っており、入院前から退院後までの継続看護の必要性を学ぶことができました。高齢者の身体的、精神的、社会的特徴を捉えるだけでなく、多種多様な個別性を考慮して、その人らしい人生をサポートすることが、看護師の役割であることを改めて再認識できた実習でした。
高齢者との関わりの中には倫理的課題が多くあり、それが老年看護の難しさだと感じました。しかし、そういった課題に直面したときこそ立ち止まって、「果たしてこのままでいいのか」「今その人にとって最も必要な配慮は何か」と自問自答したり、チームで協力連携して課題を乗り越えることが老年看護のやりがいにも繋がっているのではないかと感じました。