ごあいさつ

はじめまして。大阪医科薬科大学精神神経科教授の金沢と申します。2020年(令和2年)4月に主任教授として、大阪医科薬科大学神経精神医学教室を主宰することになりました。

私は経歴にあるように、本学を2000年(平成12年)に卒業しています。私立の医科大学である大阪医科薬科大学に入学した当初はその雰囲気に違和感を覚えていたのを思い出します。高校生まで大阪の公立校を卒業してきた自分は精神科医としての原点となる体験をしてきました。中学校時代には同じクラスに皆んなと同じように勉強することが難しい同級生がいました。体が大きかったため学級委員などを当たっていた私は、「どうやったらこの同級生が皆んなと仲良く過ごせるようになるのか」を真剣に考えていました。突然大声を出す、癇癪を起こす、クラスを飛び出すといった行動を観察していく中で、パターンを見つけて皆んなでそうならないように受け入れていく活動をしたことを覚えています。ニコニコと笑顔が増えていく彼を見て、クラス全員がまとまっていくことを実感することとなりました。

人は生きていると様々な困難に直面します。相手がある事柄であればその相手の気持ちになろうとしますし、自分だけではどうにもならない事柄であれば誰かを頼りにするでしょう。しかしながら、例えば私達が診療の対象とするうつ病は、その対応を間違えるとかなり深刻となることのある病気です。思考内容が不自然に狭小化し、身体症状に固執したり、周囲への不信感や、死に対する憧れなどを口にしたりすることも多いです。しっかりとした治療を経たあとには、その状態がこれまでの自分とは違っていた、あれは病気だったと認識してもらえることになります。当教室は光トポグラフィー検査やrTMS治療など世界でも先端を行く研究結果を発表し続けており、十分な薬物療法に対する経験を含めて安心できる医療環境を提供し続けています。

認知症の重要性については日々のメディアに出ないことがないほどに重要性が増しています。これは日本だけではなく、世界的な問題となっています。当教室は脳血流画像検査や認知機能を含む心理検査を行える地域の基幹病院で、毎年多くの認知症疑いの患者さんが来院されています。また、我々は高度先進医療を担う特定機能病院の精神科医として、手術後などに発生したせん妄などの状態を多職種で連携しながらマネージメントする業務も行っています。入院患者さんの高齢化によりこの業務はますます重要性を増しており、他科からの多くの期待に応えるよう精神科医が全ての病棟を忙しく走り回っています。この業務は精神科病棟のナースとも共同で展開しており、職種間や医局員間の風通しの良さが当教室の大きな戦力になっています。

さらに同門の病院との風通しの良さにも触れておきます。すでに多くの専門医研修施設があり、その数は年々増加していっています。大阪北部を中心とする同門の、またそれに準じた施設の先生方とは年に2回行われる同門会で頻繁に顔を合わせる仲間です。すでに200名以上の会員とクリニックを含めた関連の施設は70以上に上ります。ぜひ一緒に新しい精神科医療を展開していきましょう。

大阪医科薬科大学 総合医学講座 神経精神医学教室
教授 金沢 徹文

経歴と資格

【経歴】
大阪府堺市出身、府立三国丘高校卒
平成12年(2000年) 3月 大阪医科大学卒業
平成12年(2000年) 4月 大阪医科大学 一般消化器外科入局
平成14年(2002年) 5月 大阪医科大学 専攻医 (専攻 神経精神医学教室)
平成15年(2003年) 4月 大阪医科大学大学院医学研究科博士課程 入学
平成17年(2005年) 9月 Research Fellow, Department of Psychiatry,University of California, San Diego (USA)
平成19年(2007年)1月 医療法人豊済会小曽根病院
平成22年(2010年)6月 大阪医科大学助教 (神経精神医学教室)
平成25年(2013年)4月 大阪医科大学講師 (神経精神医学教室)
平成29年(2017年)3月 Principle Fellow with the title of Associate Professor,The University of Melbourne (Australia)
Honorary Associate Professor,The Florey Institute of Neuroscience and Mental Health (Australia)
令和2年(2020年)4月  大阪医科大学主任教授 (神経精神医学教室)
令和4年(2022年)4月  大阪医科薬科大学病院 副院長

【資格】
精神保健指定医、精神科専門医・指導医、精神保健判定医、日本総合病院精神医学会特定指導医