西田 圭一郎

精神科を志した理由

何点か理由はあります。ただ、ここでは、すいません、直接お会いした時に聞いてやってください()。精神科を選んだ後、一時期転科するかどうか悩んだ時期がありましたが、今は「この選択はベストだった」と胸を張って言えます。精神科医への適性というものは確かにありますが、それでも多種多様な人材にそれぞれ活躍の場がある、懐の深い診療科だと考えています。

私の仕事紹介

臨床と研究に重きをおいてやっています。研究は、神経生理学という脳波などの脳機能画像に電気・磁気刺激といった非侵襲性の脳刺激法ツールを組み合わせた研究を主に行っています。オンライン診療などと組み合わせて、患者さんの感情や認知機能の改善に繋がる新しい手法の開発に取り組んでいます。このアイデアに関して、まだ、多くの人は半信半疑ですが、患者さん−治療者双方への実用性や合理性から考えて、比較的近い将来に実現すると、私は考えています。

また、現代の精神科医にとって、薬物療法は診療の基本であり、薬理学的な知識のアップデートは必須です。症状の評価バッテリーや治療方法も常に新しいものが開発されています。最近では、遺伝子に関連した研究など生物学的な研究のバックアップや、薬剤の血中動態などの多施設共同研究を、研究医長として積極的にサポートしています。

そのような中でも、最も大事にしているのは臨床医としての矜持です。私自身は、精神療法としては、認知療法を中心にしながら、今までの本邦の先達から受け継いできた伝統的な見立てや治療なども取り入れながら、少しでもよい医療に繋がるようにと、日々研鑽しています。私は他大学の出身ですし、医師になってからも海外で5年弱滞在する機会がありました。それらの影響もあり、異文化間の教育の違い、良さといったものに、興味があります。今までの自身の知見を、カンファレンスなどを通して共有し、また他の先生方の意見や考えを柔軟に取り込むように努めています。

教室の魅力

私は、令和5年5月に、この教室の仲間に加わらせてもらいました。なので、客観的な見方ができると思います。とてもよい医局です。

当教室は、伝統的に、非定型精神病といった診断学や、遺伝学といった研究分野で日本の精神医学を引っ張ってきましたが、北摂だけでなく大阪-京都の医療圏の中核にあたる大学病院としての総合病院としての役割も非常に大きいです。「よい医療をする」という全員の意思と意欲が常に感じられます。一方、精神科の現場では、医療だけでは受け止めきれない難しさも内包しています。診療上、壁にぶち当たり、かつ矛盾を抱えざるを得ないといった時があります。当教室は、金沢教授のもと、個人ではなく、医局としてそのような課題も受け止めて行こうという姿勢があり、その点が実に素晴らしいと思います。

メッセージ

大学病院での研修に関しては様々な意見があり、意見を求められる昨今です。ただ、そこで勤務している私にすると、やりたい時期にやりたい事(or やるべき事)をするしかなくない?と答えています。性に合う、合わない、そして、何を求めるか、求められているか、人それぞれ、置かれている環境も含めて十人十色なので。ただ、いずれにせよ、現代精神医学の基礎の獲得、それから生じる自信と仲間、そして今後の羅針盤は、当教室の研修期間中に提供できるのでは、と考えています。燃えている方も、燃えたい方も、燃えていない方も、どうぞ。