女性の生涯のトータルサポート

我々の教室は、「女性のトータルサポートをめざして」を目標とし、evidence based medicine(EBM)に基づく最適の医療を第一に診療を行っております。毎週行われる医局全体の症例検討会やオンコロジーカンファレンス、周産期カンファレンスにおいて、スタッフ全体でEBMに基づく治療方針と検討を行うことで、最善の治療を患者様に受けていただけるように努力しております。
教室の特徴は、臨床・研究部門を生殖医学、周産期学、腫瘍学、内視鏡、女性予防医学・排尿・骨盤再建グループの5つのグループに分け、それぞれの分野の講師以上のスタッフの管理のもと、各種カンファレンスを行い診療・研究の指導をしており、臨床研究に関しては、論文および学会にて発表しております。

研究テーマ、得意領域

● 生殖医学
当院では一般不妊治療から高度生殖補助医療まで幅広く不妊治療を行っていますが、高齢患者や他科疾患合併患者の割合が高く、卵巣予備能低下症例や難治性不妊症例にも力を入れています。また大学病院の特色を生かし、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科合併症に対しては、内視鏡チームと連携し、手術から不妊治療までのトータルケアを行っています。
また、癌患者の妊孕能温存治療にも積極的に取り組んでおり、院内各科と協力し、若年がん患者(小児がんサバイバーを含む)に対する卵子・胚・精子凍結保存治療を行っています。今後は、多様なニーズに応えるべく、若年女性がん患者に対する卵巣凍結に向けても準備を進めています。

● 周産期学
周産期医療においては、周産期センター開設以来、地域周辺医療機関の後送病院として約25年間の実績があります。現在年間の分娩件数は500件前後で推移しており、年間約100件前後の母体搬送を受けており、地域と密着した地域周産期母子医療センターとして高度救急医療の一端を担っております。現在大阪府の母体搬送システム(OGCS)の準基幹病院、日本周産期新生児医学会研修施設基幹病院として、産婦人科の一次、二次、三次救急を受け入れています。リスクのない正常の妊産婦管理についても積極的に受け入れています。正常妊娠は自然分娩を推奨し、帝王切開後の経腟分娩や無痛分娩などの他施設では扱わない分娩も多く取り扱っています。また、平成23年9月より母体・胎児集中治療室(MFICU)を新設し、妊娠高血圧症候群、胎児異常、多胎、内科・外科合併症妊娠など、その他さまざまなハイリスク妊娠・分娩に対応しており、院内の新生児集中管理室(NICU)や他科と常に連携をはかりながら定期カンファレンスで意見交換を行い、患者様に先進医療と共に新たな学術的な知見を提供しています。

● 内視鏡(腹腔鏡・子宮鏡)
内視鏡グループでは4名の技術認定医を中心に年間約250件の腹腔鏡下手術を行っております。良性腫瘍については卵巣嚢胞腫瘍症例の約95%、子宮筋腫症例の約70%を腹腔鏡下に手術しております。悪性腫瘍については、初期子宮体癌に対する根治術を年間約60症例施行し、先進医療承認後の累積症例数は全国最多となっております。現在先進医療として承認をうけ、子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術や子宮体癌に対する腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清を行っております。子宮鏡においても検査・治療を積極的行っております。良性腫瘍、悪性腫瘍ともにより安全で低侵襲な内視鏡下手術を目指しております。

● 婦人科腫瘍学
私ども大阪医科薬科大学産婦人科腫瘍グループでは、低侵襲手術を目的とした悪性腫瘍に対する腹腔鏡下手術を積極的に取り入れており子宮体がんに対する腹腔鏡下手術は全国の大学で最も多くの症例数を施行しております。また中から高リスク子宮体がんに対しては、現在の保険適応では開腹手術で施行する必要がある傍大動脈リンパ節郭清に対して、全国に先駆けて先進医療を申請し先進医療Aとして腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術を開始しています。また、子宮頸癌に対しましても、1A2期から1B1期症例に対して、腹腔鏡下広汎子宮全摘術を先進医療のもとで開始させていただいております。開腹広汎子宮全術と比較しても術後疼痛や出血量が有意に少なく、手術合併症もなく、術後の排尿障害も軽減しており、退院までに尿意と自尿を認めることができております。今後さらに症例を重ね、腹腔鏡下広汎子宮全摘出術の標準化を目指しております。さらに、2016年からはダヴィンチによるロボット支援下手術を開始いたしました。腹腔鏡下手術以上に繊細な手術が可能となり、今後さらに普及してくると思われます。現在のところ先進医療取得のために患者様負担なし臨床研究で行っております。また、より縮小手術に向けて、子宮頸がん、子宮体がんにおけるセンチネルリンパ節生検の臨床研究を行っております。現在、乳がんでは、保険適応となり、センチネルリンパ節に転移がない場合には、それ以上のリンパ節郭清を行わないということで、リンパ節郭清による合併症の軽減を図れています。しかし、子宮頸がん、子宮体がんでは、まだ実用化されてはいません。現在我々は臨床研究として早期子宮頸癌・体癌のセンチネルリンパ節生検下のリンパ節郭清の省略を取り入れております。
また、臨床研究についてですが、昨今、新しい治療の開発やevidenceの確立のためには、単独施設での治療では不十分であり、全国的な臨床研究や治験に参加することが必要ですが、私どもは昨年から参加しております日本で最も権威のある臨床研究グループの日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG )や婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG)など全国的な臨床研究グループへの参加をしております。

● 女性予防医学・排尿・骨盤再建
日本女性の平均寿命は87歳となっている一方で、日本女性の「健康寿命」は73.62歳に留まり、平均寿命との差は14年余りになります。我々女性予防医学・排尿・骨盤再建グループはこの健康寿命をいかにして伸ばすかを目的とし女性のトータルヘルスケアに努めており更年期症状に対する治療をはじめ、骨量減少・骨粗鬆症の早期発見には腰椎、大腿骨における骨密度をDXA法で測定評価、動脈硬化早期発見には超音波による血管内皮機能の測定評価を行なっております。また閉経後女性の諸症状およびリスクに応じ、ホルモン補充療法(HRT)、低用量HRT、SERM、ビスフォスフォネート、スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)などを使い分けるテーラーメイド医療を実践しております。さらに、骨盤底外来を開設し、骨盤臓器脱、過活動膀胱に対する管理治療方法のアルゴニズムを作成し、個々の患者様にあった治療管理指針の作成に努めております。さらに婦人科悪性腫瘍患者治療患者に対して行う抗癌剤や外科的閉経によっておこる脂質代謝異常、動脈硬化および骨粗鬆症に着目し、その管理・治療を行うことを目的としたがんヘルスケア外来を立ち上げました。この外来を通じてがん治療後の患者様のヘルスケアを管理しております。

所属教員

  • 西江 瑠璃

    レジデント

  • 村上 暉

    レジデント

  • 土橋 裕允

    レジデント

  • 入江 惇太

    専攻医

  • 小川 範子

    専攻医

  • 塩見 まちこ

    専攻医

  • 福西 智美

    専攻医

  • 矢野 恵子

    専攻医

  • 和田 悠

    専攻医

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〒569-8686 大阪府高槻市大学町2-7 大阪医科薬科大学

TEL
072-683-1221
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