腹圧性尿失禁の症状改善を目指した骨盤底筋群を強化できる方法の開発

二宮 早苗
NINOMIYA SANAE

看護学部 基盤看護学分野
カテゴリー:看護

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 随意収縮ができない女性でも骨盤底筋群を強化できる新たな骨盤底筋トレーニング方法を開発
  • 特別な機器など必要のない簡単なトレーニングであるが、従来の骨盤底筋訓練と同程度の効果を得られる
  • 簡単で誰でも実施しやすい

研究の背景と概要

尿失禁は生命に直接影響はしないものの生活の質を低下させ、自尊心の低下など心理面への影響も大きい。30~40歳代の女性でも約3割に症状が認められる。症状の改善には、骨盤底筋群を随意収縮させる訓練が有効であるが、骨盤底筋群は身体内部にあるため正しく収縮できているかを自己認識することは難しい。
我々は、317名の女性を対象にしたMRIによる骨盤底筋群の機能評価により、27.0%が随意収縮できないことを明らかにしてきた。本研究では、随意収縮ができない人に適した骨盤底筋群のトレーニング方法を確立することを目的とした。
股関節外旋位や臀筋の収縮のみによって骨盤底筋群の収縮にもつながる可能性が示されてきたことから、本研究では図1のようなトレーニングを開発した。腹圧性尿失禁の症状が週に1回以上ある30-50歳代の女性60名を対象に、トレーニングによる改善効果を従来の骨盤底筋訓練との無作為化比較試験により検証した。介入後の1週間当たりの尿失禁回数と1時間パッドテストがともに、介入前よりも50%以上減少した例数の割合(改善率)を主要評価項目とした。
結果、新トレーニング群の改善率は65.2%(15/23名)、従来の骨盤底筋訓練群の改善率は63.0%(17/27名)であり、両群間に有意な差はなかった。従来法より簡単な股関節外旋位や臀筋の収縮のみでも、従来の骨盤底筋訓練と同程度に尿失禁症状の改善に有用であることが示された。

産学連携の可能性

尿失禁に悩む女性の症状改善を目的としたトレーニング機器の開発、新トレーニング方法を用いたアプリやコンテンツなどの開発と実装を進めていきたいと考えている。それぞれの共同開発パートナーを求めている。

関連論文・知財

1.An assessor-blinded randomized control trial of effects for posturing of hip external rotation and posterior pelvic tilt versus conventional pelvic floor muscle training in women with symptoms of stress urinary incontinence. Ninomiya S, Okayama H, Naito K. 17th World Congress on Human Reproduction, Venezia, 2023
2.座位MRI画像を用いた骨盤底筋訓練時における随意収縮の可否とその影響要因の検討.二宮早苗,齋藤いずみ,内藤紀代子,他, 母性衛生 54(4), 571-579, 2014