CTを用いたCEDの薬物動態の可視化・定量化に関する検討

平松 亮
HIRAMATSU RYO


医学部 脳神経外科学教室

カテゴリー:医療機器

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 対流強化薬剤送達法(convection-enhanced delivery:CED)は脳組織間隙に広範で高濃度の薬剤分布が得られる画期的な薬物送達システム(drug delivery system:DDS)である
  • 本研究にてCEDで脳内投与した薬物動態の可視化・定量化が可能となれば、CEDの臨床応用に近づく
  • CEDの臨床応用にはカテーテルの開発が必要で、産学連携の可能性がある

研究の背景と概要

悪性神経膠腫である膠芽腫は予後不良な疾患の代表で、診断がついてからの生存中央値は1年弱である。その理由のひとつに血液脳関門(blood brain barrier: BBB)の問題がある。脳腫瘍治療では他臓器癌と同様に、治療薬剤は経口もしくは経静脈的に全身投与されるが、脳はBBBが存在するため、治療薬剤のBBBを介した透過性の問題が生じ、十分な治療薬が脳腫瘍に到達しないことがある。また脳腫瘍に効果的な薬剤濃度に到達するためには、薬剤による全身合併症の問題があり薬剤投与量が制限される問題もある。この障壁を乗り越えることが可能な新規薬剤投与法であるCEDは脳内局所微量持続投与法の一つで、薬剤を脳内に緩徐に持続投与することで、脳構造に機械的な損傷を加えることなく脳組織間隙に広範で高濃度の薬剤分布が得られる画期的なDDSである。この方法で薬剤投与を行えば、BBBの問題を解決でき、また薬剤による全身合併症も減らすことができるため、今後神経膠腫治療に大きな変化をもたらすと期待されている。
CEDには広範で高濃度の薬物分布が理論上認められるが、実際その薬物分布を測定することは困難である。そこで我々はcomputed tomography (CT)で脳内投与した薬物動態の可視化・定量化を検討する。

産学連携の可能性

CED用に開発された既存のカテーテルはなく、臨床応用するうえで緩徐な薬剤投与速度に対して閉塞しないことなど安全に薬剤を運搬するポンプにつなげるカテーテルが必要であり、この開発に産学連携の可能性がある。

関連論文・知財

CT imaging of transferrin targeting liposomes encapsulating both boron and iodine contrast agent by CED to F98 rat glioma for boron neutron capture therapy. Miyata S. et al. Neurosurgery 68(5), 1380-1387, 2011