自己組織化するハイブリッドシートを用いた弁付き心外導管の開発

根本 慎太郎
NEMOTO SHINTARO


医学部 胸部外科学教室

カテゴリー:医療機器

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 薬事承認を得た自己組織化を誘導する独自の新規材料を応用する
  • 世界初のコンセプトによる弁尖開発である
  • 既製品を一掃するポテンシャルを有する開発である

研究の背景と概要

小児先天性心疾患において右心室と肺動脈の連続性を再建するために用いられる“弁付き心外導管”の既製品は、石灰化を代表とする材料劣化と偽性内膜の過剰増生による弁機能不全や導管狭窄が起こるため、術後5~7年で約半数が再手術による交換が必要との課題が残存する。これは患者とその家族にとって大きな身体的、経済的負担をもたらす。これら課題の解決によって再手術リスクの低減を目的に、本開発研究では長期に渡り機能を維持する弁付き心外導管を独自の自己組織化技術を応用して開発する。
先行研究として、製造販売承認の取得実績を持つ心臓・血管修復パッチであるシンフォリウム®を応用する。生分解性部分が耐劣化性に優れる自己組織に置換される特徴を有する。非分解性部分は強度保持に寄与する。このパッチ材を弁尖および外筒(導管)へ適合する技術改良を加えることで既製品の課題を解決する新たなコンセプトによる製品が期待できる。
実験評価系としてin vitro試験(耐久試験等) およびin vivo試験(埋植試験)が先行する研究で確立され、その結果として弁尖部コーティングと導管の物性確保が次なる技術課題として抽出された。継続する研究ではこれら課題の技術的解決と製品仕様確立を目標とし、RS戦略相談(対面助言)を通じてGLP準拠非臨床試験パッケージを確定することを直近の課題としている。その後に薬事承認を見据えた臨床試験に展開する計画である。強力な産学官連携による開発が必要である。

産学連携の可能性

シンフォリウム®を共同開発した帝人株式会社、福井経編興業株式会社と共に、本開発もコンソーシアムを組んでいる。しかしながら開発を加速する技術を有する企業がコンソーシアムに参加頂けることを歓迎する。

関連論文・知財

1. Nemoto S, et al. Eur J Cardiothorac Surg 54(2), 318-327, 2018
2. Nemoto S, et al. Interactive CardioVascular and Thoracic Surgery 33, 165-172, 2021
3. Nemoto S, et al. Circulation 146, Abstract 10935, 2022

[特許] WO2017/122795(移行国10ヵ国、第6310167号)、第6537656号