OTSUKI SYUHEI
医学部 整形外科学教室
カテゴリー:医療機器
研究開発段階
研究のポイント
- 生体吸収性高分子材料から構成される国内初の半月板scaffoldであり、動物実験にて有効性、安全性を確認し、非臨床PoCを取得した
- 探索的臨床試験を実施し、臨床使用における半月板scaffoldの安全性を確認した
- 大腿筋膜および腸脛靭帯(自家組織)を半月板scaffoldにラッピング併用することで、より効果の大きい治療法を目指す
研究の背景と概要
<研究の背景>
半月板は衝撃吸収や荷重分散、膝関節の安定性に寄与している組織である。半月板損傷に対する国内の治療法は縫合術または(部分)切除術のみで、半数以上が切除術である。切除後には変形性膝関節症(OA)のリスクが高まり、人工関節手術が必要となる。また、縫合後の再断裂リスクは20%あり、縫合困難な半月板損傷に対する機能温存治療が必要とされている。そこで、新規治療法として半月板scaffoldに着目した。
<研究の概要>
半月板scaffoldの開発に向け、生体吸収性高分子材料に着目した。基礎研究より、ポリグリコール酸(PGA)と乳酸-カプロラクトン共重合体(P(LA/CL))の組み合わせが、半月板の組織再生に有用であることを見出し(Murakami,Otsuki 2017)、大動物であるミニブタを用いた動物実験より、有効性、安全性を確認した(Otsuki 2019)。
非臨床試験を実施した後、2021年5月より探索的臨床試験を開始し、主要評価である半月板scaffoldの安全性を確認した(Otsuki 2023)。一方有効性については、より大きい治療効果を満たす余地があると判断し、患者自身の大腿筋膜および腸脛靭帯(自家組織)を半月板scaffoldにラッピングする手法を検討している。今後、自家組織ラッピング併用半月板scaffoldの効果を非臨床にて確認し、検証的治験を経て臨床応用を目指す。
産学連携の可能性
本テーマは、産学連携で進めているテーマであり、グンゼ株式会社と共同研究契約を締結している。企業主導の検証的治験に向けて準備を進めており、国内初の自己組織置換型半月板scaffoldとして臨床応用を目指す。
関連論文・知財
1. Establishment of novel meniscal scaffold structures using polyglycolic and poly-l-lactic acids. Murakami T, Otsuki S, Nakagawa K et al. J Biomater Appl 32, 150-161, 2017
2. Evaluation of meniscal regeneration in a mini pig model treated with a novel polyglycolic acid meniscal scaffold. Otsuki S, Nakagawa K, Murakami T et al. Am J Sports Med 47, 1804-1815, 2019
3. Safety and Efficacy of a Novel Polyglycolic Acid Meniscal Scaf fold for Irreparable Meniscal Tear. Otsuki S, Sezaki S, Okamoto Y et al. Cartilage, 2023
[特許] 第7142847号、第7251723号、第6920691号、第6090990号

