晩期ぶどう膜炎の視神経・網脈絡膜循環障害に対する長期治療法の確立

小林 崇俊
KOBAYASHI TAKATOSHI


医学部 眼科学教室

カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 失明に至る可能性のある難治性眼疾患である、ぶどう膜炎に伴う視神経萎縮の機序の解明と、視神経を保護するための薬剤の開発
  • ぶどう膜炎に伴う循環障害に対する新規薬剤の開発

研究の背景と概要

ぶどう膜炎は、眼内に生じる炎症性疾患の総称であり、その内、サルコイドーシスやベーチェット病は、指定難病にも該当する難治性疾患である。しかし、ぶどう膜炎は原因不明や疾患分類不能の症例が約30%存在するなど、診断や治療に難渋するケースがあとを絶たない。炎症が遷延・長期化すると、眼球の組織障害は不可逆的で、視神経萎縮に至る。
視神経萎縮を生じる代表的な疾患は緑内障であるが、緑内障では、例えばトランスフォーミング増殖因子-β2(TGF-β2)などのサイトカインが眼内に発現していることが知られており、病態に関与していることが分かっている。同様に、ぶどう膜炎でもそのように眼内に発現している物質はいくつも知られているが、その内、ぶどう膜炎の視神経萎縮に関与する物質を同定することができ、その働きを抑える物質が分かれば、新規薬剤の開発に繋がり、多くのぶどう膜炎患者の視力予後を改善することが可能と考えられる。
また、ぶどう膜炎では網脈絡膜の循環障害を生じることがある。例えば、Vogt-小柳-原田病や、多発消失性白点症候群(MEWDS)では脈絡膜の循環障害が生じる。ぶどう膜炎における眼循環障害の詳細が解明されれば、それに対する薬剤を開発できる可能性が高く、ぶどう膜炎患者の視力予後を改善することが可能と考えられる。

産学連携の可能性

国内ではぶどう膜炎患者は年間約5万人が新たに発症すると言われ、そのうち1~5%が失明すると言われている。それらの患者の多くを失明から救い、もしくは、少なくとも視力低下から防ぐことができると考える。

関連論文・知財

Clinical features of japanese patients with ocular inflammation and their surgical procedures over the course of 20 Years. Takai N, Kobayashi T, Kida T, Ikeda T. Clin Ophthalmol, 2799-2806, 2020