新規核酸医薬プラットホームとしての細胞内の還元的環境に応答して活性化するプロドラッグ型RNA(REDUCT RNA)の開発

浦田 秀仁
URATA HIDEHITO


薬学部 薬学教育推進センター

カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • プロドラッグの概念をRNA創薬に応用する基礎研究
  • 還元的環境応答性を有するため細胞内へ透過したのち活性化されることが特徴であるため、細胞外では天然型のRNAより安定
  • 還元的環境で活性化する核酸医薬やCaged核酸として応用可能

研究の背景と概要

RNAは、生体内の核酸分解酵素により速やかに分解を受け、in vivoにおける安定性が極めて低いことが、RNAを医薬として実用化する上で大きなハードルとなっている。このRNAの安定性を向上させる目的で、化学修飾を施すと多くの場合遺伝子発現抑制活性などのRNAの機能低下を招くため、RNAの機能保持と核酸分解酵素に対する耐性付与の両立が課題となっている。このような背景から、細胞内が還元的環境となっていることに着目し、還元的環境下で非酵素的に天然型へと変換される新規プロドラッグ型RNA『REDUCT RNA (Reducing Environ-ment-Dependent Uncatalyzed Chemical Transforming
RNA)』 を設計・合成した (図1)。
これまでにREDUCT RNAは、細胞レベルで天然型RNAと同等以上のsiRNA活性を示すことを明らかにしたが、siRNA医薬であるパチシランに一部採用されている2'-OMe修飾と比較したところ、2'-OMe修飾siRNAの活性は修飾位置や修飾数によって大きく変動し、場合によっては消失 (siRNA7) するが、REDUCT修飾siRNAは修飾位置や修飾数によらず安定した作用を発揮することを明らかにしており(図2)、様々な核酸医薬プラットホームに応用可能である。
REDUCT-RNAは合成法に改善の余地があるため、現在第二世代REDUCT-RNAの開発を行っている。

  • 図1
  • 図2

産学連携の可能性

①生体内安定性と②プロドラッグ型であるため化学修飾の位置や程度が問題とならない「新規核酸医薬プラットホームとしてのREDUCT RNA」技術に関心をお持ちの企業・研究者の方は、下記にご連絡いただきたい。

関連論文・知財

1.A post-synthetic approach for the synthesis of 2'-O-methyldithiomethyl-modified oligonucleotides responsive to a reducing environment. Y Ochi et al. Chem Commun 49, 7620-7622, 2013
2.Gene silencing by 2'-O-methyldithiomethyl-modified siRNA, a prodrug-type siRNA responsive to reducing environment. Y Ochi et al. Bioorg Med Chem Lett 26, 845-848, 2016
3.Effective gene silencing activity of prodrug-type 2'-O-methyldithiomethyl siRNA compared with non-prodrug-type 2'-O-methyl siRNA. J Hayashi et al. Bioorg Med Chem Lett 28, 2171-2174, 2018