永井 純也NAGAI JUNYA
薬学部 薬剤学研究室
カテゴリー:医薬品
研究開発段階
研究のポイント
- 生活習慣病などに伴う腎疾患時における腎機能変動とその分子機構を解明し、それを踏まえて新規分子を標的とした腎保護薬の開発につなげていくこと
- 腎障害性薬剤投与時における腎機能変動とその分子機構を解明し、それを踏まえて医薬品の副作用低減や安全性向上につなげていくこと
- 病態時や組織障害性薬剤投与時における薬物の体内動態変動を解明し、それを踏まえて薬物治療の最適化や個別化につなげていくこと
研究の背景と概要

我が国では世界に先駆けて超高齢社会を迎え、それとともに末期腎不全に至るリスク因子である慢性腎臓病を有する患者数が増加している。慢性腎臓病は腎臓自体の疾患のみならず、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、膠原病などによっても惹き起こされるため、今後その患者数はさらに増加するものと考えられる。加えて、臨床で使用されている抗がん剤や抗菌薬などの中には腎機能障害を引き起こしやすい薬物も知られている。また、近年開発されている、いわゆる切れ味が鋭い医薬品の中には投与量は微量でありながら様々な生体反応を起こすものも含まれる。
こうした背景を踏まえ、当研究室では薬物の体内動態において重要な役割を担う腎排泄挙動とその変動を生じる初発要因、さらにはその変動を分子レベルで解明していくとともに、得られた知見に基づき薬物治療の最適化ならびに個別化への展開、加えて新規治療標的分子の同定につなげていくことを目指して研究に取り組んでいる。特に、薬物の尿細管分泌や再吸収に関わる腎近位尿細管上皮細胞における薬物動態支配因子(トランスポーターや酵素など)の発現・機能とその変動に着目して分子レベルから全身レベルにわたる研究を展開している。以下の図は、我々が見い出してきた糸球体漏出に伴うアルブミン誘発尿細管HIF-1活性化の分子機構の概念図であるが、現在、さらに薬物の腎挙動に関わる分子に及ぼす影響を含めた研究を進めている。
産学連携の可能性
これまでの研究により独自に見い出した腎近位尿細管における転写因子HIF-1活性化機構に基づき、腎における組織細胞機能の変動解析を進めているが、本研究によって得られた基礎的知見を実臨床に応用する技術開発が重要な課題と考えている。
関連論文・知財
1. Biol Pharm Bull. 40(1), 82-87, 2017
2. Biochem Biophys Res Commun. 503(3), 1682-1688, 2018
3. Biochem Biophys Res Commun. 530(1), 273-277, 2020