安田 大輔YASUDA DAISUKE
薬学部 医薬分子化学研究室
カテゴリー:医薬品
研究開発段階
研究のポイント
- 生体防御因子Nrf2を新たなメカニズムで活性化する新規薬剤の開発
- 探索した基盤化合物に対して、有機合成力を活かした迅速な類縁化合物群の提供(動物実験への提供スケール)
- Nrf2活性化薬の多様な難治性疾患治療薬への応用
研究の背景と概要
Nrf2-Keap1システムは、生体の恒常性維持において特筆すべき役割を担っている。Nrf2は酸化ストレスや炎症などから生体を防御する種々の遺伝子群を誘導するマスターレギュレーターであり、普段はKeap1というタンパク質によってその誘導能を制御されている。Keap1は各種ストレス刺激を感知するとNrf2から離れるというメカニズムでNrf2機能を活性化する。これまでにさまざまなNrf2活性化剤が開発され臨床試験にも上がってきたが、それらの多くはKeap1-Nrf2システム以外にも作用することで副作用の発現が懸念されてきた。
私はそういった既存のNrf2活性化剤とは異なり、Keap1とNrf2のタンパク質間相互作用 (PPI) を阻害することでNrf2を活性化するユニークかつドラッグライクな低~中分子化合物群を保有している。そのようなPPI阻害剤は副作用発現のリスクが従来品に比べて低いと考えられており、より有用なNrf2活性化剤として用いることができる。既に動物モデルを用いた試験も始めているが、Nrf2活性化剤はさまざまな難治性疾患の治療に応用できると考えられ、応用の幅を模索している最中になる。また、これまで培ってきた有機合成力を活かし、幅広い共同研究者のニーズに合わせてさまざまな構造展開を迅速に行うことも可能である。
産学連携の可能性
私の開発したNrf2活性化薬は、がん、パーキンソン病、アルツハイマー病などの難治性疾患に対する治療薬候補として有望と考えられる。多くの製薬企業や臨床研究者との共同研究を求めている。
関連論文・知財
1. Development of p62-Keap1 protein‒protein interaction inhibitors as doxorubicin-sensitizers against non-small cell lung cancer. Yasuda D, et al. Results Chem 4, 100609, 2022
2. Inhibitors of the protein‒protein interaction between phospho rylated p62 and Keap1 attenuate chemoresistance in a human hepatocellular carcinoma cell line. Yasuda D, et al. Free Radic Res 11-12, 859-871, 2020
3. Synthesis of Keap1-phosphorylated p62 and Keap1-Nrf2 protein-protein interaction inhibitors and their inhibitory activity. Yasuda D, et al. Bioorg Med Chem. Lett 26, 5956-5959, 2016