宮本 勝城MIYAMOTO KATSUSHIRO
薬学部 薬学教育推進センター
カテゴリー:医薬品
研究開発段階
研究のポイント
- 病原細菌の鉄取り込み機構の解明と、その機構をターゲットにした新規抗菌薬を開発する
- バイオマス資源であるキチンを有効利用するため、微生物のキチン分解機構の解明と、分解効率化の分子生物学的研究
研究の背景と概要

微生物はヒトに対して感染症を引き起こす一方、地球環境の浄化および生態系の維持に重要な役割を果たしている。病原微生物による感染症の予防および治療に関する研究ならびに環境微生物の有効利用に関する研究を行っている。
(1) 病原細菌の宿主生体中における増殖機構の解明
鉄は、すべての生物の増殖に必須の金属である。しかし、我々の生体内に存在する鉄のほとんどは、トランスフェリンなどのタンパク質に結合している。細菌は、プロテアーゼや鉄輸送キレーターであるシデロフォアなどを分泌することにより、宿主から鉄を奪い取る獲得機構を有しているが、その詳細は明らかにされていない。そこで、本機構を明らかにして阻害剤を探索することにより、新たな感染症治療薬を開発しようと研究を行っている。
(2) 海洋細菌のキチン分解機構の解明
キチンは、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)残基がβ-(1,4)結合したホモポリマーで、再利用可能なバイオマスとして注目されている。その分解産物であるキチンオリゴ糖は、免疫力増強、ガン細胞増殖抑制などの多様な生理活性を示すこと、GlcNAcは、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などの構成成分であることから、変形関節症の予防・改善効果および保湿効果を有することが報告されている。そこで、海洋細菌Pseudoalteromonas piscicida O-7株をモデル細菌として用い、キチン分解機構を分子レベルで明らかにする研究を行っている。
産学連携の可能性
分子生物学および構造生物学を基盤として、細菌に対する次世代型感染症治療薬の開発、および再利用可能なバイオマスの有効利用等への発展が期待される。
関連論文・知財
1. Iron-Utilization System in Vibrio vulnificus M2799. Miyamoto K, Kawano H, Okai N, Hiromoto T, Miyano N, Tom oo K, Tsuchiya T, Komano J, Tanabe T, Funahashi T, Tsujibo H. Mar Drugs 19, 710, 2021
2. VuuB and IutB reduce ferric-vulnibactin in Vibrio vulnificus M2799. Okai N, Miyamoto K, Tomoo K, Tsuchiya T, Komano J, Tanabe T, Funahashi T, Tsujibo H. Biometals 33, 187-200, 2020
3.Identification of the heme acquisition system in Vibrio vulnificus M2799. Kawano H, Miyamoto K, Yasunobe M, Murata M, Yamahata E, Yamaguchi R, Miyaki Y, Tsuchiya T, Tanabe T, Funahashi T, Tsujibo H. Microb Pathog 117, 100-108, 2018