脂質代謝疾患制御と治療薬の開発

藤森 功
FUJIMORI KO

薬学部 病態生化学研究室

カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 脂質メディエーターの機能と産生制御機構の解明を目指した研究
  • 肥満、糖尿病や脂質代謝異常症の新たな制御機構の解明を目指し、新たな創薬につなげる研究
  • 標的酵素遺伝子を欠損させた遺伝子改変マウスでは肥満抑制やインスリン感受性が亢進

研究の背景と概要

肥満は多くの生活習慣病を引き起こす原因とされ、世界中で大きな問題となっている。肥満(脂肪細胞の肥大化)はホルモンや増殖因子などの制御因子により、高度に、かつ複雑に制御されている。プロスタグランジン(prostaglandin: PG)をはじめとする脂質メディエーターは、生体内で様々な生理機能を調節している。
脂質メディエーターであるエイコサノイドによる肥満をはじめとした脂質代謝異常疾患の分子レベルの制御機構を解明し、「脂質メディエーターの産生制御による肥満をはじめとした脂質代謝異常疾患制御」というこれまでにないアプローチにより薬剤(抗肥満薬など)の開発を目指している。これまでの研究において、脂質メディエーターの一つであるPGD2は脂肪細胞で産生量が増加し、さらに、PGD2合成酵素を阻害すると脂肪細胞での脂肪蓄積が抑制された。さらに、PGD2合成酵素のはたらきを脂肪細胞でのみ抑制させたマウスでは、体重増加が抑制された。以上のことから、脂肪細胞においてPGD2は脂肪蓄積を促進することが明らかとなり、本酵素の阻害は肥満を抑制することが期待され、本酵素の遺伝子改変マウスや薬剤スクリーニング系は本酵素を標的とした抗肥満薬剤開発のため有用なツールとなる。このマウスを用いた新規抗肥満薬につながる研究を進めていきたい。

産学連携の可能性

「脂質メディエーターの産生制御による肥満をはじめとした脂質代謝異常疾患制御」という新しいコンセプトでの新規抗肥満薬開発に関心を持つ企業や研究者とのコラボを求めています。

関連論文・知財

1. Leukotriene C4 synthase is a novel PPARγ target gene, and leukotriene C4 and D4 activate adipogenesis through cysteinyl LT1 receptors in adipocytes. Fujimori, K. et al. Biochim. Biophys. Acta Mol. Cell Res. 1869, 119203, 2022
2. L-PGDS-produced PGD2 in premature, but not in mature, adipocytes increases obesity and insulin resistance. Fujimori, K. et al. Sci. Rep. 9, 1931, 2019
3. Prostaglandin D2 enhances lipid accumulation through suppression of lipolysis via DP2 (CRTH2) receptors in adipocytes. Wakai, E. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 490, 393-399, 2017