エナメル上皮腫の外科療法以外での新規診断法・治療法確立に向けたリン脂質の質量分析イメージングによる解析法

濵田 渉
HAMADA WATARU

医学部 口腔外科学教室

カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • エナメル上皮腫は歯原性腫瘍の中でも発生頻度が高いが、外科治療が困難な患者がおり、新たな低侵襲治療法の確立を目指す
  • エナメル上皮腫の病態とリン脂質の発現分布や種類の違いなどの関係を調査する
  • 質量分析イメージング(Imaging mass spectrometry:IMS)を活用して、エナメル上皮腫に発現したリン脂質の発現分布を調査する

研究の背景と概要

エナメル上皮腫の病態に関与するリン脂質の解明

近年、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法を用いた質量分析イメージング(MALDI-IMS)により脂質の生体内局在情報が得られるようになり、各種疾患への脂質代謝変動の関与が示唆されている。エナメル上皮腫においてもその病態に関与するリン脂質が存在すると考え、MALDI-IMSにより組織におけるリン脂質の発現局在を可視化する。そして腫瘍実質に特徴的に発現する候補リン脂質を見出すことによりエナメル上皮腫の病態におけるリン脂質の関与を検討する。
エナメル上皮腫は歯原性腫瘍の中で発生頻度が高く、良性腫瘍であるが骨を浸潤性に破壊して増殖する。再発が多く、ときに悪性転化をすることがある。エナメル上皮腫の治療法は、顎骨切除を行わずに腫瘍の根治を目指す顎骨保存外科療法と、腫瘍と共に一定の健常組織を含めて顎骨を切除する顎骨切除法に大別される。しかし、顎骨保存外科療法は再発率が問題となり、顎骨切除法は口腔機能の低下が問題となる。
本研究では外科侵襲以外の治療法を確立することで、従来の外科治療が困難な患者への治療を提示することができるものと考える。

産学連携の可能性

良性腫瘍であるにも関わらず、その局所浸潤性や再発の問題から悪性腫瘍に準じた治療が行われる疾患に対し、患者のQOLが大きく損なわれない、外科療法以外での企業や他大学との連携可能な新規治療法の確立が期待される。

関連論文・知財

Short communication: Distribution of phospholipids in parotid cancer by matrix-assisted laser desorption/ionization imaging mass spectrometry. Kanetake H, et al. PLoS one 16(12), e0261491, 2021