血液脳関門機能障害を防ぐ食品由来物質に関する基礎的研究

佐久間 覚
SAKUMA SATORU

薬学部 薬学教育推進センター
カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 膠原病のモデルマウスを用いて新規治療薬候補の開発研究を継続して行っている
  • 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、ブレオマイシン誘発線維症マウスの薬効評価が可能である
  • マクロファージの分極を評価するin vitro実験系を確立している

研究の背景と概要

BBBを構成する脳毛細血管内皮細胞には、特有の密着結合(TJ)が存在し、脳への不要な物質の侵入を防いでいる。このことが、脳内に薬物を届けることを阻んでおり、脳腫瘍やアルツハイマー型認知症などの治療薬投与効果を阻んでいる側面でもある。このBBBの働きをコントロールして、脳内に必要な薬物を伝達する研究が行われているが、十分な成果が得られているわけではない。
筆者は、終末糖化生成物の1種であるMGがTJを緩め、機能性食品成分として注目されるL-テアニンがMGの影響を解除することを明らかにしている(図)。つまり、BBBの開閉をコントロールする仕組みのひとつを解明した。これらの成果は、MGが糖尿病において生じるTJ機能障害を予防する可能性を示唆している。
引き続き、酸化ストレス関連因子の変動を調べることでこの仕組みを詳細に解明していく。さらに、マウス由来脳血管内皮細胞bEND.3細胞においてMG及びL-テアニンの効果を確認後、マウスを用いて個体レベルで再現できるかをMG長期投与ならびに糖尿病動物モデルを用いて検証する。密着結合に対する外因性、内因性調節因子を網羅的に探索することにつながる。
また上記研究を、各種酸化ストレス因子と機能性食品成分について網羅的に調べていくことで、副作用が少なく、日常的に摂取することで脳機能保護、すなわち神経・精神疾患や、難治性の糖尿病原性神経変性疾患を予防する医薬品創製へのイノベーションを誘起する一助になると考えている。

産学連携の可能性

・BBBの開閉をコントロールする仕組みに関心のある製薬企業や研究者
・ストレスを含めた神経・精神疾患の予防を機能性食品や健康食品等で実験することに関心のある企業や研究者は、下記までご連絡をお待ちする。

関連論文・知財

1. Sakuma S, Yasuda K, Tsujimoto K, Yamashita K, Hoshino N, Fujimoto Y, Okuhira K. J Nutr Metab 2022, 1-8, 2022
2. Sakuma S, Ishimura M, Yuba Y, Itoh Y, Fujimoto Y. Int J Physiol Pathophysiol Pharmacol 10, 132-138, 2018