チアミン誘導体による酸化ストレス防御と睡眠調節メカニズムに関する研究

幸田 祐佳
KODA YUKA

薬学部 薬物治療学Ⅰ研究室
カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 肥満・糖尿病・睡眠障害は酸化ストレス疾患である
  • チアミンの新規誘導体は酸化ストレスを修飾する
  • ノイエス(新しい発見)を患者・生活者の健康維持・健康増進へ役立てる

研究の背景と概要

肥満は健康を脅かす存在として、世界的に認識されている。糖尿病は種々の合併症を伴い、個々の合併症に対して対症療法が行われているが、効果的な予防法は、薬物を含め、いまだ確立されていない現状である。チアミン輸送体を規定するSLC19A2遺伝子異常により2型糖尿病を惹起する稀な疾患があり、ヒトにおけるSLC19A2遺伝子の多形性が2型糖尿病発症に関与すると報告されている。これまでに、私たちの研究室では、チアミンが肥満を伴う糖尿病モデルラットに発症する糖脂質代謝異常の抑制に有効であることを報告している。 チアミンの新規誘導体は、酸化ストレスを修飾する可能性が考えられる。 酸化ストレスは、様々な疾患の成因となり、酸化ストレス疾患には、肥満と糖尿病のみならず睡眠障害、脳老化や脳疾患も含まれる。不安やストレスによりうつを発症する方も増えている。うつや不眠といった体調の変化は、インスリン抵抗性を増大させ、肥満や糖尿病を誘発することが報告されている。睡眠を調節することにより、うつを防ぐことが可能であるとの知見もある。私たちの研究室では、肥満を伴う糖尿病や睡眠障害の予防は、コロナパンデミックを経験した現代においてより一層、重要であると考え、酸化ストレス疾患の病態解明と予防法の開発に取り組んでいる。

産学連携の可能性

“Old and New Thiamine” チアミン新規誘導体の大量合成かつ安定供給を望む。肥満・糖尿病・睡眠障害をトライアングルと捉え、病態解明ならびに予防法の確立を目指している。

関連論文・知財

1. Role of thiamine in obesity-related diabetes: Modification of the gene expression. Kohda Y, Tanaka T, Matsumura H. Food and Nutritional Components in Focus No.4. B Vitamins and Fol ate: Chemistry, Analysis, Function and Effects. The Royal Society of Chemistry, 580-591, 2012
2. チアミン誘導体AThTPは酸化ストレスを修飾する.フリーラジカル-腎疾患との新たな関わり, 幸田祐佳, 松村人志, 腎と透析81, 東京医学社, 1003-1006, 2016
3. Thiamine prevents obesity and obesity-associated metabolic disorders in OLETF rats. Tanaka T, Kono T, Terasaki F, Yasui K, Soyama A, Otsuka K, Fujita S, Yamane K, Manabe M, Usui K, Kohda Y. J Nutr Sci Vitaminol 56(6), 335-346, 2010

[特許] 第3824604号、第3769267号