二木 杉子FUTAKI SUGIKO
医学部 解剖学教室
カテゴリー:医療素材
研究開発段階
研究のポイント
- 基底膜蛋白質Nidogen-1に蛍光蛋白質を融合した組換え蛋白質発現系
- 培養細胞の3次元培養やオルガノイドにおける基底膜の蛍光ライブ観察
- 上皮・血管・筋線維・末梢神経などで基底膜に蛍光を有するモデルマウス
研究の背景と概要
基底膜は上皮や内皮組織を支える薄膜状の細胞外マトリックスで、細胞の生存・分化・増殖に重要な役割を果たす。基底膜の形成や分解は器官発生や創傷治癒、がん細胞の浸潤などに深く関わっている。しかし基底膜の形成・分解や構成分子のターンオーバーなどの動的変化はほとんど明らかになっていない。基底膜の動態を明らかにすることは組織の恒常性を維持するメカニズムを解明する上で有用であると考えられる。
我々は基底膜の基本的な構成蛋白質であるNidogen-1(Entactin)に蛍光蛋白質を融合させた発現系を作製し、このNidogen-1蛍光組換え蛋白質(蛍光Nid1)がin vitro, in vivoで基底膜に組み込まれることを確認した。これにより生組織や3次元培養系において基底膜の蛍光ライブ観察が可能となった。この発現系をもつ細胞やモデルマウスと疾患モデルを組み合わせることで、病態における基底膜の変化やその影響を解明するツールとなることを期待している。
-

(図1)蛍光Nid1蛋白質の模式図とマウスES細胞の三次元培養で基底膜が形成される過程:蛍光が基底膜形成領域で拡大していく様子をとらえた。
-

(図2)蛍光Nid1を発現するマウスの腎臓:蛍光Nid1マウスの胎仔と成体の腎臓で子宮体基底膜などに赤色蛍光が認められた。Lamininは基底膜全般の免疫染色を示す。
産学連携の可能性
基底膜に蛍光標識を導入した細胞やモデルマウスを用いて疾患モデルにおける基底膜動態を観察することで、病態における基底膜の変化やその影響を解明するツールとなることを期待している。
関連論文・知財
Visualization of basement membranes by a nidogen-based fluorescent reporter in mice. Futaki et al. Matrix Biol Plus, 2023