今川 彰久IMAGAWA AKIHISA
医学部 内科学Ⅰ教室
カテゴリー:医療機器
研究開発段階
研究のポイント
- ELISPOT法は抗酸菌の検出にはすでに広く用いられている
- GAD、インスリンなどのペプチドに対するELISPOT法も論文化されている
- 検査会社などで繰り返し利用できる測定システムを開発してほしい
研究の背景と概要

1型糖尿病は自己反応性のT細胞による膵β細胞傷害が原因である。その結果、絶対的インスリン欠乏にいたり、高血糖が生じる。インスリンを注射することが今日の標準的な治療であるが、免疫反応を抑制し、β細胞破壊を予防できれば、疾患の根治につながる。β細胞への免疫反応は現在の臨床では自己抗体の測定により評価されている。しかし、β細胞を障害するのは自己抗体(液性免疫)ではなく、T細胞(細胞性免疫)である。特に日本では、自己抗体が検出されずに、細胞性免疫が優位となるサブタイプが多数存在する(劇症1型糖尿病)。 最近、抗CD3抗体薬を用いたβ細胞に対する免疫抑制療法が欧米で実用化されつつあり、日本でも期待されているが、上記のように日本ではより正確に、細胞性免疫を検出する必要がある。ELISPOT法は抗酸菌の検出にはすでに用いられているが、1型糖尿病でも同じ方法が有効とされ、研
究室レベルではいくつかの施設から報告されている。これを検査会社と共同して、全国の施設で実施可能な検査として社会実装する。実現すれば、日常診療における1型糖尿病の診断に貢献するだけでなく、新規治療の開発の基盤ともなる。
(図)写真中央に存在するβ細胞を含む膵島(ランゲルハンス島)を標的として浸潤しているTリンパ球(CD3陽性細胞、茶色に染色されたリング状の細胞)。その一部は末梢血中でも検出できる。
産学連携の可能性
1型糖尿病の新規治療が実用化されようとしている今が新しい検査法を提供する絶好の機会である。本学病院では対象となる患者を多数診療しており、また全国からの問い合わせも絶えない。
関連論文・知財
1. Detection of GAD65-reactive T-Cells in type 1 diabetes by immunoglobulin-free ELISPOT assays. Kotani R, et al. Diabetes Care 25(8), 1390-7, 2002
2. Anti-CD3 monoclonal antibody in new-onset type 1 diabetes mel litus. Herold KC, et al. N Engl J Med 346(22), 1692-8, 2002
3. Fulminant Type 1 Diabetes-East and West. Imagawa A, Hanafusa T. J Clin Endocrinol Metab 108(12), e1473-e1478, 2023