藤原 淳FUJIWARA ATSUSHI
医学部 麻酔科学教室
カテゴリー:医薬品
研究開発段階
研究のポイント
- 神経障害性疼痛に対するアストロサイト-ニューロン乳酸代謝経路の役割解明
- 海馬内の神経細胞新生とアストロサイトの相互作用が神経障害性疼痛に及ぼす影響の解明
- 神経障害性疼痛で生じる脳内神経回路の形態学的・機能的変化を標的とした新規治療薬の開発
研究の背景と概要
神経障害性疼痛は神経損傷後に発症する難治性疾患であり、その詳細な発症メカニズムは不明である。神経障害性疼痛の現行治療薬はすべて、脊髄神経伝達経路上にある受容体タンパクを標的にしているが、国内推定患者数約500万人のうち治療が奏功する患者は約25%にとどまること、さらに治療薬は脳にも作用するため眠気やふらつきなどの副作用が問題である。そのため長期罹患による著しいQOL低下が社会的問題であり、神経障害性疼痛の痛みを生み出す根本的原因プロセスの解明と原因の細胞および分子基盤を標的とした新規治療薬の開発が医学や社会的に切迫した課題となっている。
医療現場のニーズに対してわれわれの研究室では、神経障害性疼痛モデルマウスを用いた神経障害性疼痛発症の機序解明に着手しており、最近、疼痛発現維持機構に神経細胞のエネルギー維持に重要な乳酸代謝経路やアストロサイトの役割、さらに乳酸代謝経路の遮断により疼痛緩和が得られる化合物を見出した。
本研究は神経障害性疼痛の既存薬とは全く異なった薬理作用が期待できるため、今後さらなるシーズの蓄積により新規治療薬の開発や既存薬の適応拡大に向けた学術的および社会的波及効果があると考える。
産学連携の可能性
今後の課題として、
・神経障害性疼痛における脳内の神経細胞周辺支持組織の機能変調の解明
・安定した薬効維持と安全性の担保に向けた類縁化合物の入手
新規治療薬開発に向けて共同研究をしていただける企業・研究機関を求めている。
関連論文・知財
Stiripentol alleviates neuropathic pain in L5 spinal nerve-transected mice. Fujiwara A, Nakao K, Ueno T, Matsumura S, Ito S, Minami T. J Anesth 34(3), 373-81, 2020

