濱岡 仁美HAMAOKA HITOMI
医学部 解剖学教室
カテゴリー:医薬品
研究開発段階
研究のポイント
- 新規作製したラクトフェリンノックアウトマウスおよび抗血清を活用してラクトフェリンの機能を明らかにする
- 中枢神経系におけるラクトフェリンの分泌機構を解明し、内在性ラクトフェリンの局在を特定する
- 癌ラクトフェリンの中枢神経系への取り込み機序を解明し、正常および神経変性疾患における機能を解明する
研究の背景と概要

高親和性鉄結合タンパク質であるラクトフェリンは、哺乳動物の乳汁に豊富に含まれ、感染防御や抗腫瘍効果、抗酸化作用、抗炎症効果などを有する多機能タンパク質として知られている。中枢神経系ではアルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の病変部位や老化脳でラクトフェリンタンパク質の蓄積が報告されているが、神経系におけるラクトフェリンの局在や機能について未解明な部分が多い。先行研究で我々は新規作製したラクトフェリン抗血清を用いてラクトフェリンがマウス中枢神経系の特定神経細胞集団に局在することを明らかにした。
本研究では中枢神経系におけるラクトフェリンの機能を明らかにするためにCRISPR/Cas9によるゲノム編集技術を用いてラクトフェリン遺伝子の特定の塩基を欠損させ、フレームシフト変異によりラクトフェリンタンパク質の特定領域を欠くマウスを新規作製した。前述の様にラクトフェリンは多機能タンパク質として知られているため、新規ノックアウトマウスを神経系のみならず、全身におけるラクトフェリンの機能解明に活用していきたい。そのために、企業などの研究施設との共同研究開発体制の構築と研究資金獲得を課題としている。
産学連携の可能性
ラクトフェリンは多機能タンパク質であることから、医薬品としての開発が期待されている。新規ノックアウトマウスを神経系だけでなく、抗腫瘍効果や抗炎症作用など全身でのラクトフェリンの機能評価に活用したい。
関連論文・知財
Lactoferrin-like Immunoreactivity in Distinct Neuronal Populations in the Mouse Central Nervous System. Shimaoka S, Hamaoka H, et al. Acta medica Okayama 75(2), 153-167, 2021