加藤 巧馬KATO TAKUMA
薬学部 薬品物理学研究室
カテゴリー:医薬品
研究開発段階
研究のポイント
- 膜透過性ペプチドを構成するアミノ酸の一部分に、非天然型のアミノ酸を用いることで生体内安定性の向上が見込める
- ヘリックス構造などの二次構造がとりやすくなるので機能を持たせやすい
- 薬物を包含した膜透過性ペプチド製剤は、細胞と接触させるだけで膜を透過するため複雑な操作は必要ない
研究の背景と概要
膜透過性ペプチドは、タンパク質や薬物などを細胞内へ輸送するためのツールとして幅広く研究されているが、それらの研究は天然のタンパク質や既知のペプチド配列を参考にして天然のアミノ酸を利用したものが多い。しかし、これらは安定した二次構造を取りづらいものも多く、生体内環境において不安定である。そこで、構造学的な知見から新たな膜透過性ペプチドを開発することを目指して、特徴的なペプチド二次構造を取りやすい非天然型アミノ酸を利用することを考えた。これらをペプチド配列中に導入することにより、二次構造制御だけではなく酵素に対する安定性評価においても有利であることが報告されている。
我々はこれまで、非天然型のアミノ酸を利用した塩基性の高い親水性膜透過性ペプチドや両親媒性膜透過性ペプチドを新たに作成している。これらのペプチドは水溶液中で比較的安定な二次構造を取ることが分かり、良好な膜透過性を示した。さらにその膜透過性を活かした新規薬物キャリアとして用いることで、遺伝子の細胞内への導入も達成している。
産学連携の可能性
新規薬物キャリアとして、細胞膜透過性や生体内安定性が向上するというデータを保有している。投与したい薬物との最適な組み合わせの新規薬物キャリアの設計など、新規ペプチド医薬品の開発多様性に貢献できる。
関連論文・知財
1. Effects of Substituting Disubstituted Amino Acids into the Amphipathic Cell Penetrating Peptide Pep-1. T Kato, H Numa, M Nakamachi, A Asano, M Doi. Chem Pharm Bull 70, 812, 2022
2. Synthesis of six-membered carbocyclic ring α,α-disubstituted amino acids and arginine-rich peptides to investigate the effect of ring size on the properties of the peptide. T Kato , Y Kita, K Iwanari, A Asano, M Oba, M Tanaka, M Doi. Bioorg
Med Chem 38, 116111, 2021
3. Cell-Penetrating Peptides Using Cyclic α,α-Disubstituted α-Amino Acids with Basic Functional Groups. T Kato, M Oba, K Nishida, M Tanaka. ACS Biomater Sci Eng 4, 1368, 2018

