潰瘍性大腸炎患者における網羅的遺伝子発現データとGene Signatureを用いた創薬標的の探索

柿本 一城
KAKIMOTO KAZUKI

医学部 内科学Ⅱ教室
カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 腸管粘膜組織、血清等を用いたオミックス解析により、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)治療薬による炎症抑制の分子メカニズムを解明する
  • 網羅的遺伝子発現データとGene signatureを用いたバイオインフォマティクスにより、新たな創薬標的を探索する
  • UCモデル(in vitro、in vivo)を用いて、創薬ターゲット候補の検証試験を行い、新規薬剤を開発する

研究の背景と概要

UCは、大腸粘膜に炎症をきたす原因不明の慢性炎症性腸疾患であり、指定難病97に指定されている。近年、UCに対して多くの分子標的薬が登場し、腸管炎症をコントロールすることができる様になってきたが、一旦寛解を得たとしても、その後に再燃する患者が多い。炎症を抑制しても腸上皮のクリプト構造に異常が残っている場合に再燃しやすいなど、様々な可能性が報告されているが、その分子メカニズムの全容は解明されていない。そのため、UCの再燃をきたさず、根本的な治療法となる様な薬剤の開発が望まれている。
我々は既存の分子標的薬では改善しきれていない病態のメカニズムを解明し、新たな創薬ターゲットの探索を試みている。分子標的薬による治療前後のUC患者および健常人の腸粘膜組織、血清等を用いてオミックス解析を行い、網羅的遺伝子発現データとGene signatureにてバイオインフォマティクスの手法を駆使することにより、新たな創薬標的を見出す。最終的には、in vitro、in vivoにおけるUCモデルを用いて、創薬ターゲット候補の検証試験を行い、新規薬剤の開発に繋げたい。

産学連携の可能性

既存のUC治療薬では抑制できていない病態分子メカニズムを解明することにより、新たな創薬標的を探索し、新規治療薬の開発に繋げたい。共同研究開発・普及に関心のある企業や研究者との協働を求めている。

関連論文・知財

1.Biomarkers for Monitoring of Changes in Disease Activity in Ulcerative Colitis.Tatsumi Y, Kakimoto K, et al. J Clin Med 12 (22), 7165, 2023
2.Serum IL-13 Predicts Response to Golimumab in Bio-Naïve Ulcerative Colitis. Kinoshita N, Kakimoto K, et al. J Clin Med 11 (17), 4952, 2022
3.Therapeutic Drug Monitoring of Golimumab for the Prediction of Long-Term Clinical Remission in Patients with Ulcerative Colitis. Tawa H, Kakimoto K, et al. Digestion 103(5), 329-338, 2022