動脈硬化関連因子の機能解析とその薬物キャリア応用に関する研究

奥平 桂一郎
OKUHIRA KEICHIRO

薬学部 衛生化学研究室
カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 動脈硬化性疾患の予防や治療を目的とした治療薬の開発
  • 新規動脈硬化関連因子の機能解明と治療薬開発への展開
  • 薬物送達に利用される新規脂質ナノ粒子の開発

研究の背景と概要

心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患は、血管壁にプラーク(コレステロール等の蓄積)が形成され、血管が狭く硬くなって血液の流れが悪くなることが原因で起こる。これらの病態は発症するまで症状に気がつかないことからサイレントキラーと呼ばれており、突然死を引き起こすだけでなく麻痺や言語障害などの後遺症に苦しめられるケースも多い。
我々は、血漿リポタンパク質の一つであるHDL(高密度リポタンパク質)とその関連因子を主な対象として研究を進めている。HDLは動脈硬化に対して抑制的に働くことが知られているが、創薬や治療への応用にはまだ至っておらず、HDLの生理機能についても未知な部分が多い。我々はHDLとその関連因子の機能および生理作用の詳細を明らかにすることで、動脈硬化の新しい予防・治療技術の開発を目指している。
また、HDLは生体適合性の高い脂質ナノ粒子であり、抗がん剤等の薬物キャリアとしても有用であることが明らかとなっている。そこで、がん治療などを目的とした薬物送達に利用される人工HDLの開発を行っている。

産学連携の可能性

HDLとその関連因子の機能解析を通じて、動脈硬化の新規予防薬や治療薬の開発につなげたい。また、HDLの機能を薬物キャリアとして活用した人工HDLを開発して、新規DDS製剤につなげたい。

関連論文・知財

1. 抗動脈硬化性タンパク質を利用した創薬への挑戦」, 奥平桂一郎, YAKUGAKU ZASSHI 140, 153-157, 2020
2. A photo-activatable peptide mimicking functions of apolipoprotein A-I. Kawahara H, Miyashita N, Tachibana K, Tsuda Y, Morimoto K, Tsuji K, Shigenaga A, Otaka A, Ishida T, Okuhira K. Biol Pharm Bull 42, 1019-1024, 2019
3. FTY720 Reduces Lipid Accumulation by Upregulating ABCA1 through Liver X Receptor and Sphingosine Kinase 2 Signaling in Macrophages. Tachibana K, Kusumoto K, Ogawa M, Ando H, Shimizu T, Ishima Y, Ishida T, Okuhira K. Int J Mol Sci 23, 14617, 2022