谷口 高平TANIGUCHI KOHEI
医学部 総合医学研究センター
トランスレーショナルリサーチ部門
カテゴリー:医薬品
研究開発段階
研究のポイント
- microRNAの補充療法を実現させたい
- 生体内の核酸分解酵素によるmicroRNAの分解を回避したい
- 安全性を担保し標的臓器にmicroRNAを到達させたい
研究の背景と概要

プレシジョンメディシンの導入に伴い、分子標的治療剤の使用が進んでいるが、特に固形癌では効果や適応が不十分な場合も多く、その克服には至っていない。一方、次世代創薬として核酸医薬の臨床導出が期待されている。
私達のグループは、核酸医薬の内、発癌・進展過程で発現が低下し、その補充によって、癌を促進させる多数の遺伝子変化を体系的に調節できる癌抑制型microRNAの補充療法の研究を行ってきた。これまでの研究成果として、核酸分解酵素に耐性をもつ、化学修飾型microRNA-143が共同研究施設で作製された。現在、この化学修飾型microRNA-143を用いて、様々な癌腫の動物実験を中心に研究を進めている。
一方で、microRNA創薬の実現には、治療目的の臓器で適切に作用するためのmicroRNA輸送システムの構築が依然として重要であり、そのための検討が必要である。現在、いくつかの研究室とmicroRNAを運搬するシステムの開発を進めている。microRNAを内包するマテリアルを作製したり、microRNA自身に修飾を付加する方法などがあるが、もし共同で研究を進めていただける技術、マテリアルをお持ちの研究者の方がおられたら、是非、一緒に課題の克服を目指したいと思う。
産学連携の可能性
本研究の成果は、様々な癌腫および、microRNAの発現異常が指摘されている多くの難治性疾患に応用が可能で波及効果が高い研究である。有効な核酸輸送システムの確立は、microRNAだけでなく他の核酸医薬開発が共通に抱える課題であり、核酸創薬全体を加速化させる可能性を含んでいる。
関連論文・知財
1. Anti-tumor effects of chemically modified miR-143 lipoplexes in a colorectal cancer pelvic recurrence mouse model are mediated via downregulation of myristoylated alanine-rich C kinase substrate. Arima J, Taniguchi K, et al. Molecular Therapy
- Nucleic Acids, 2023
2. α-Aminoisobutyric Acid-Containing Amphipathic Helical Peptide-Cyclic RGD Conjugation as a Potential Drug Delivery System for MicroRNA Replacement Therapy in Vitro. Taniguchi K, Wada SI, et al. Molecular Pharmaceutics 16(11),
4542-4550, 2019
3. Anti-cancer Effects of a Chemically Modified miR-143 on Bladder Cancer by Either Systemic or Intravesical Treatment. Yoshikawa Y, Taniguchi K, et al.Molecular Therapy - Methods & Clinical Development 20:13, 290-302, 2019