膵癌予後マーカーadipophilinの発現機序に基づく新規創薬の探索

石田 光明
ISHIDA MITSUAKI

医学部 病理学教室
カテゴリー:医薬品 

研究開発段階

 

研究のポイント

  • 脂質関連タンパク質であるadipophilinの発現は膵癌の予後不良因子である
  • 脂肪・アミノ酸代謝酵素は癌治療の有望な新規ターゲットである
  • adipophilinの検出は様々な癌腫の有用な予後マーカーである

研究の背景と概要

膵癌は5年生存率が10%に満たない難治癌で、新規予後マーカーや治療法の開発が急務である。細胞質内脂肪滴に存在する脂質関連タンパク質であるadipophilin (ADP)の発現が、膵癌の独立した予後不良因子であることを見出した。ADPの発現は膵癌細胞内でのエネルギー代謝の変化を反映していると考えられる。ADPは癌細胞のエネルギー代謝状態を汎用的な免疫組織化学染色で可視化できる今までにない予後マーカーである。ADP陽性予後不良膵癌では、脂質・アミノ酸代謝酵素やアミノ酸輸送体の発現がADP陰性膵癌と比較し、大きく変化していることを既に見出している。これらの脂質・アミノ酸酵素やアミノ酸輸送体は、予後不良ADP陽性膵癌の新規治療ターゲットとして有望であると考えられる。また、膵癌以外の様々な癌腫においてもADPの発現が予後マーカーとなる可能性がある。ADPは簡便な免疫組織化学染色において、その発現を検出することが可能であり、膵癌を含む様々な癌腫の予後予想マーカーとして、さらにADP発現に関わる新規ターゲットである脂質・アミノ酸代謝酵素やアミノ酸輸送体をターゲットとした治療の可否についての検査としてADP検出キットの開発が望まれる。

産学連携の可能性

ADPの発現に関与する脂質・アミノ酸代謝酵素やアミノ酸輸送体をターゲットとした新規創薬と、様々な癌腫に対するADP検出キットの共同開発を希望する。

関連論文・知財

Adipophilin expression is an indicator of poor prognosis in patients with pancreatic ductal adenocarcinoma: An immunohistochemical analysis. Hashimoto Y, Ishida M, et al. Pancreatology 19, 443-448, 2019

[特許] 第7280628号