斯波 真理子SHIBA MARIKO
循環器センター
カテゴリー:医薬品
研究開発段階
研究のポイント
- 指定難病である原発性高カイロミクロン血症を対象疾患として、アポリポプロテインC3を標的としたアンチセンス薬を開発する
研究の背景と概要
発性高カイロミクロン血症は、血中トリグリセリド値が1,000mg/dL以上、時には3,000mg/dL以上を示し、急性膵炎を繰り返す重篤な疾患である。現在、トリグリセリド値を低下するためには、ω3脂肪酸やフィブラートが処方されているが、これらの薬剤は、本疾患にはほとんど効果がない。我々は、本疾患を対象疾患として、独自に開発してきたアンチセンス薬を用いて、アポリポタンパクC3を標的とした薬剤開発を行っている。in vitroおよびin vivoスクリーニング法を確立した。毒性低減のためには肝臓へのターゲティングの重要性に気づき、これまでの肝臓ターゲティング技術より高い効果を持つ独自のGalNAcの開発に成功した。それらの技術を用いて、AMED橋渡しシーズA、Bのサポートのもとに、ヒトアポリポプロテインC3に対するアンチセンス配列を選択、GalNAc修飾を加えて、カニクイザルを用いた治療実験を行った。アンチセンス薬0.5、1、3、20mg/kgの単回投与にて、血中アポリポプロテインC3値、トリグリセリド値は用量依存的に低下を認めた。また、単回投与2か月後の肝臓でのアポリポプロテインC3 mRNAの発現量の低下を認めた。AMEDシーズFの支援を得て、前臨床試験を実施した。
産学連携の可能性
本薬剤は、原発性高カイロミクロン血症を対象としているが、臨床的には治療に難渋する重症高トリグリセリド血症にも適応拡大が可能である。また、本技術は、他の標的分子にも適応可能である。
関連論文・知財
1. Dynamic and static control of the off-target interactions of antisense oligonucleotides using toehold chemistry. Terada C, et al. Nat Commun 14(1), 7972, 2023
2. Drug discovery and development scheme for liver-targeting bridged nucleic acid antisense oligonucleotides. Wada F, et al. Mol Ther Nucleic Acids 26, 957-969, 2021
3. Serial incorporation of a monovalent GalNAc phosphoramidite unit into hepatocyte-targeting antisense oligonucleotides. Yamamoto T, et al. Bioorg Med Chem 24(1), 26-32, 2016