閉校にあたって

『育み継なぐ』

大阪医科大学附属看護専門学校は平成22年4月の大阪医科大学看護学部開設に伴い、 平成24年3月をもって閉校することになりました。

本校は、昭和4年大阪高等医学専門学校附属看護婦学校として開設され、 今日まで83年の長きにわたり、4千人余の有能な卒業生を社会に送り出してきました。 隣接しています大阪医科大学附属病院とその前身である大阪高等医学専門学校附属病院(三島病院) で臨床実習を行い、最先端の医学・医療を学ぶ環境に恵まれ、 高度医療を受けられる患者様への看護を経験することができました。 また、60余年の全寮制生活では、学業のみならず人間としての豊かさを身に付けるための教育を行い、 医療従事者として社会人として必要な躾やマナーなど多くの学びの場を与えました。 本校は「看護師として必要な専門知識と実践力を修得させ、よき社会人としての人格形成に努めるとともに、 保健・医療・福祉の分野はいうまでもなく、広く社会に貢献できる看護師を育成する」のもとに教育を行い、 その卒業生の多くは保健・医療・福祉の看護実践活動ならびに教育の各分野で活躍し大きな役割を果たしています。 昨今の社会・医療は数々の問題を抱え、看護に求められることも多岐に亘り、看護職者の自律が求められています。 本校で看護の原点を学んだ卒業生の皆様が今後さらに活躍されることを願っています。

本校の看護基礎教育の場は、昭和4年に大阪の地「梅田病院」よりスタートし、 その後大阪医科大学構内の生理学研究棟そして恩賜館での学び舎を経て昭和39年看護婦学校の 校舎が竣工するまで移転を重ねてきました。平成17年大学化を見据えた新校舎の完成は、 看護基礎教育の歴史の継承と今後一層の発展を祈念するものであります。

私も本校の卒業生でありこのたび母校がなくなることには、一抹の寂しさを禁じえません。 看護師教育課程の背景は異なっていても、卒業生としての誇りと自信は一人ひとりの大きな礎になっているものと 確信しています。そして医療の発展のため患者様のために職務に精進して頂くことを心から期待しています。 ここ北摂の地にしっかり根づいた看護のこころ、人が人を育てる、そしてその環境づくりは これからも育み継ないでいかれることでしょう。

最後になりましたが、これまで本校の運営に携わって下さいました多くの方々、 ご指導・ご支援を賜りました皆様に心より感謝申し上げます。

平成24年3月31日
大阪医科大学附属看護専門学校長 神谷 美佐子