学修実態

1.建学の精神とディプロマポリシーについて

①「建学の精神」の認知

全体では7割近くの学生が「建学の精神」をある程度以上に理解していると回答しており、昨年度と比べると「建学の精神」を理解する割合が高くなっています。一方、ほとんど理解していないと回答した学生も全体で約1割います。学生には日々の学習のなかで「建学の精神」を意識することが求められます。

②「ディプロマポリシー」に関する認知

全体の約半数の学生が医学部のディプロマポリシーを比較的理解していると回答しています。昨年度と比較すると、知らないあるいはほとんど知らないとする学生が全体の約2割に減少しています。引き続き、ディプロマポリシーを確認する機会を各学年で増やす必要があります。

今年度、身についた能力や態度(ディプロマポリシー項目に対する自己評価)

③高い倫理性と誇りをもって、自己管理能力とリーダーシップを有し、他者に敬意をもって接することができる。

④医学における科学的知識について十分に理解し、診療や研究に活用できる。

⑤統合された医学・科学的知識、技能に基づいて、高い倫理観を有し、患者に敬意と思いやりをもって、医療行為を実践できる。

⑥医師や医学研究者としての能力の向上を目指し、生涯にわたって自ら学習することができる

⑦他の医療職の立場や考え方を理解、尊重しながら自分の考えを伝え、チーム医療において良好な人間関係を構築することができる。

⑧医療の社会性に関する基本的な知識を身につけ、限られた資源を有効に活用しながら、適切な判断に基づく医療を実践できる。

⑨外国語表現力を身につけ、海外の医療者・研究者や患者とコミュニケーションを取ることができる。

ディプロマポリシーとして掲げられている項目に関する達成度の自己評価では、学生全体では、身についたとする回答がほとんどの項目において約7割前後となっており、とくに5年生ではその割合が高くなっています。一方、身につかなかったとする学生の割合は全体で1割程度にとどまっています。これらは全体として学生のディプロマポリシーに関する達成の自己評価は、昨年度と比べて大きな変化はありませんが、6年生の達成の自己評価が昨年度よりも低い傾向がみられます。とくに国際性に関する項目では、3割を超える6年生が比較的身につかなかったと回答しているので、課題と言えます。

2.今年度の授業を振り返って

今年度のカリキュラムに関して
 1年生:総合教育(講義・演習・実習)全体 
 2年生:基礎教育(講義・演習・実習)全体
 3年生:PBL中心
 4年生:PBL中心
 5年生:臨床実習
 6年生:6年間を振り返って

①授業への積極的な参加

学生全体では、どちらかと言えば積極的に参加したとする学生が約8割です。とくに臨床実習がある5年生では積極的に参加した学生の割合が高くなっています。昨年度と比較すると「あてはまる」と回答した学生の割合が6年生を除いて昨年度より高くなっています。6年生の積極な参加の割合が昨年度よりも低かったのは、感染症対策のため年度前半に登校できない期間があったためで、他の学年はオンライン授業や年度後半の登校期間に授業参加の機会が多かったためだと考えられます。

②授業の満足度

③授業に満足した理由

④授業に満足しなかった理由

全体でみると比較的授業に満足している学生が約7割で、満足していないとする学生は1割以下です。この結果は昨年度とほぼ同じです。しかし学年別にみると、昨年度、比較的満足しているとする学生が約3割にとどまっていた3年生で、今年度は約7割が比較的満足していると回答しています。また、昨年度の3年生である今年度の4年生で、比較的満足しているという回答が約7割となっています。この結果は、昨年度の調査結果を受けて学生の声も踏まえながら新カリキュラム導入の検証と対策を進めていることを反映しているものだと考えられます。一方、今年度は6年生の満足度が昨年度より低くなっており、授業参加の積極性の低さとともに検証を進める必要があります。

臨床実習について

⑤臨床実習で患者と接した時間

⑥臨床実習での患者との積極的な関わり

⑦臨床実習での全体的な満足度

臨床実習に関しては、5年生、6年生ともに約4割の学生が実習時間は適切であったと回答していますが、少し足りなかった、あるいは短すぎると回答した学生が約6割いました。昨年度と比較すると実習時間が短いと感じる学生の割合が増加しています。一方、臨床実習における患者との関わりでは、5年生、6年生とも8割を超える学生が積極的に関わったと回答しており、昨年度とほぼ同じ結果です。臨床実習全体に対する満足度では、比較的満足しているとする学生が5年生、6年生ともに約7割です。昨年度、比較的満足しているという回答が8割を超えていたことと比べると、今年度の満足度はやや低くなっています。これらの結果から、新型コロナウイルスのために実習が中断したり、制限されたりした期間があったことで実習時間と満足度にその影響があったと考えられます。

⑧現在あるいは将来役立ちそうな授業

全体では約9割の学生が、現在あるいは将来役立ちそうな授業があったと回答しています。2~5年生まででは役立ちそうな授業がなかったとする学生の割合は1割以下ですが、1年生と6年生では役立ちそうな授業が比較的なかったとする学生が約2割います。1~5年生の結果は昨年度とほぼ同様の結果ですが、今年度は6年生で役立ちそうな授業があったとする学生の割合がやや低くなっています。

今年度受講したアクティブラーニングの経験について

⑨ディスカッション、ディベート(議論・討論)

⑩グループワーク(小グループや班別授業)

⑪プレゼンテーション(個人またはグループでの発表)

⑫実習、フィールドワーク(実習・臨床実習などの授業や学外に出向く授業など)

⑬予習・復習を行うことを前提とする授業が行われる

⑭定期的に小テストやレポートが課される

⑮レポート等提出物の添削と返却が行われる(教員からのフィードバックがある授業)

アクティブラーニングについて、どの項目においても経験したと回答した学生が全体で6割~7割いました。ただし、「定期的に小テストやレポートが課される」と「レポート等提出物の添削と返却が行われる」を経験した学生は、昨年度よりも今年度増えているものの、それ以外の項目では経験した割合が昨年度よりもやや低くなっています。これは、今年度、対面授業が制限され、オンラインでの遠隔授業が行われたことの影響とみるべきでしょう。

3.今年度の授業外学習を振り返って

①今年度の平均的な1日あたりの予習時間(授業外学習)

②今年度の平均的な1日あたりの復習時間(授業外学習)

授業外学習については、予習では4年生以降、復習では3年生以降、学年が上がるにしたがって、1日あたりの勉強に費やす時間の割合が増えていることが確認されます。この傾向は昨年度と同様ですが、今年度は勉強時間1時間未満の学生の割合が低くなり、勉強時間が全体として増えていることが確認されます。これは、学生生活が制限されて在宅時間が増えたことやオンデマンド授業の実施が原因として考えられます。

③今年度のUNIPAの利用状況

④UNIPAの利用目的

学生支援のポータルサイト「UNIPA」を利用する学生は、全体で約8割となっています。例年、カリキュラム上、UNIPAを利用する機会が少ない6年生を除いて、どの学年でもほぼ毎日利用すると回答した学生の割合が昨年度よりも増えたのが今年度の特徴です。UNIPAの利用目的をみると、「授業の教材や課題のため」が約7割を占めています。これらのことから、UNIPA利用の増加はオンラインでの遠隔授業が実施されたことの影響とみることができます。

⑤ポートフォリオ「マイステップ」の利用状況

⑥臨床実習時、BML配属時のポートフォリオ「マイステップ」における教員からのコメントについて

ポートフォリオ「マイステップ」については、全体では約3割、5年生では7割を超える学生が利用しています。また5・6年生の「マイステップ」における教員からのコメントに関しては約6割が臨床実習に役立てたと回答しています。これらの結果を昨年度と比較すると、「マイステップ」の利用が2割から3割へ、マイステップを通じた教員からのコメントの活用が4割から6割へと増えていることが確認されます。

⑦今年度の担任・メンター教員との面談

⑧担任・メンター教員との面談の満足度 

今年度、担任・メンター面談したとする学生の割合は学年によって異なっており、1年生と6年生では約4割が経験していますが、他の学年では2割以下の経験にとどまっています。昨年度と比較すると、昨年度は9割が面談を経験していた5年生で、今年度面談した割合がは1割に満たないことが変化として確認できます。この変化は、昨年度までは5年生全員にメンターをつけて面談を行っていましたが、今年度からは成績不振の学生と原級留置学生に特化して面談を行うというように学習支援方針が変更されたことによるものです。面談における満足度をみると、比較的満足と回答した学生は全体では約9割となっていて、昨年度と同様の結果でした。

4.総合的な学習の評価

入学してから今までに学習した成果(結果)の満足度

入学後、現在に至るまでの学習成果についての満足度は、全体では約8割の学生が比較的満足していると回答しています。また「満足していない」とする学生の割合も各学年で1割に満たないことから、全体としては多くの学生が自分の学習成果に満足しているようです。この結果は昨年度とほぼ同じです。