学修実態

1.建学の精神とディプロマポリシーについて

①「建学の精神」の認知

全体では約6割の学生が「建学の精神」をある程度以上に理解していると回答しています。一方、ほとんど理解していないと回答した学生も約1割います。「建学の精神」を深く理解するには時間がかかりますが、日々の学習のなかで常に意識することが求められます。

②「ディプロマポリシー」に関する認知

全体の約半数の学生が医学部のディプロマポリシーを比較的理解していると回答しています。一方で、比較的理解していないとする学生が全体の約3割となっており、さらに約2割の学生が知らないと答えています。とくに3年生では約4割の学生が知らないと回答しています。ディプロマポリシーを確認する機会を各学年で増やす必要があります。

今年度、身についた能力や態度(ディプロマポリシー項目に対する自己評価)

③高い倫理性と誇りをもって、自己管理能力とリーダーシップを有し、他者に敬意をもって接することができる。

④医学における科学的知識について十分に理解し、診療や研究に活用できる。

⑤統合された医学・科学的知識、技能に基づいて、高い倫理観を有し、患者に敬意と思いやりをもって、医療行為を実践できる。

⑥医師や医学研究者としての能力の向上を目指し、生涯にわたって自ら学習することができる

⑦他の医療職の立場や考え方を理解、尊重しながら自分の考えを伝え、チーム医療において良好な人間関係を構築することができる。

⑧医療の社会性に関する基本的な知識を身につけ、限られた資源を有効に活用しながら、適切な判断に基づく医療を実践できる。

⑨外国語表現力を身につけ、海外の医療者・研究者や患者とコミュニケーションを取ることができる。

ディプロマポリシーとして掲げられている項目に関する達成度の自己評価では、ほとんどの項目において身についたとする学生が全体で約7割となっており、とくに5・6年生ではその割合が約8割を占めています。身につかなかったとする学生の割合は1割程度にとどまっていますので、全体として学生のディプロマポリシーに関する達成の自己評価は高いと言えます。ただし、国際性に関する項目では、身についたとする学生の割合が全体で半数程度であり、まったく身につかなかったとする学生も約1割います。国際性に関しては今後も課題となります。

2.今年度の授業を振り返って

今年度のカリキュラムに関して
 1年生:総合教育(講義・演習・実習)全体 
 2年生:基礎教育(講義・演習・実習)全体
 3年生:PBL中心
 4年生:PBL中心
 5年生:臨床実習
 6年生:6年間を振り返って

①授業への積極的な参加

学生全体では、どちらかと言えば積極的に参加したとする学生が約8割です。とくに5年生では積極的に参加した学生が多いようです。これは臨床実習と関係していると考えられます。同じく臨床実習がある6年生で5年生よりも積極な参加の割合が低いのは、6年生は6年間全体を振り返っての回答のためでしょう。

②授業の満足度

③授業に満足した理由

④授業に満足しなかった理由

全体でみると、比較的授業に満足している学生が約7割で、満足していないとする学生は1割以下です。ただし、3年生の場合、比較的満足しているとする学生が約3割にとどまっており、どちらかと言えば満足していないとする学生の割合が6割以上と高くなっています。これについては、今年度の3年生では新カリキュラムが導入されたことと関係していると考えられますので、学生の声も踏まえながら検証を進めます。

臨床実習について

⑤臨床実習で患者と接した時間

⑥臨床実習での患者との積極的な関わり

⑦臨床実習での全体的な満足度

臨床実習に関しては、5年生、6年生ともに約6割の学生が実習時間は適切であったと回答しており、その他では実習時間が長すぎると感じるよりは、どちらかと言えば短いと感じる学生の割合が高くなっています。また、臨床実習における患者との関わりでは、5年生、6年生とも8割を超える学生が積極的に関わったと回答しています。臨床実習全体に対する満足度では、比較的満足しているとする学生が5年生、6年生ともに8割を超えています。こうした結果から、総合的にみると臨床実習での学習の充実ぶりが伺えます。ただし、5年生よりも6年生方が、臨床実習全体に対して「満足している」と回答した割合が低く、これが患者との接触時間や関与のあり方と関係しているのかどうか検証する必要があります。

⑧現在あるいは将来役立ちそうな授業

全体では約9割の学生が、現在あるいは将来役立ちそうな授業があったと回答しています。1年生を除くと、役立ちそうな授業がなかったとする学生の割合は2割以下です。授業の満足度が低かった3年生においても、役立つ授業が比較的あったと約8割の学生が回答しています。

今年度受講したアクティブラーニングの経験について

⑨ディスカッション、ディベート(議論・討論)

⑩グループワーク(小グループや班別授業)

⑪プレゼンテーション(個人またはグループでの発表)

⑫実習、フィールドワーク(実習・臨床実習などの授業や学外に出向く授業など)

⑬予習・復習を行うことを前提とする授業が行われる

⑭定期的に小テストやレポートが課される

⑮レポート等提出物の添削と返却が行われる(教員からのフィードバックがある授業)

アクティブラーニングについて、「レポート等提出物の添削と返却」を除くすべての項目で、経験したという学生が全体の7割~8割を占めています。ただし、3年生の場合、「プレゼンテーション」以外の項目で、「ほとんどなかった」あるいは「まったくなかった」とする回答がおよそ半数を占める結果となっています。とくに「レポート等提出物の添削と返却」では7割を超える学生が、「ほとんどなかった」あるいは「まったくなかった」と回答しています。このことが学生全体の回答結果にも影響していると考えられるため、この回答結果に関してはカリキュラム検証の際に参考とします。

3.今年度の授業外学習を振り返って

①今年度の平均的な1日あたりの予習時間(授業外学習)

②今年度の平均的な1日あたりの復習時間(授業外学習)

授業外学習については、予習では4年生以降、復習では3年生以降、学年が上がるにしたがって、1日あたりの勉強に費やす時間の割合が増えていることが確認されます。

③今年度のUNIPAの利用状況

④UNIPAの利用目的

学生支援のポータルサイト「UNIPA」を利用する学生は、全体で約7割となっています。とくに3・4年生で利用頻度が高くなっています。これはカリキュラムの内容と関連していると考えられます。また6年生の利用頻度の低さは、在学中にUNIPA導入以前の時期が多く含まれることも考慮する必要があるでしょう。

⑤ポートフォリオ「マイステップ」の利用状況

⑥臨床実習時、BML配属時のポートフォリオ「マイステップ」における教員からのコメントについて

ポートフォリオ「マイステップ」を利用する学生は、全体では2割強にとどまりますが、5年生では6割を超える学生が利用しており、6年生でも4割弱の学生が利用しています。これは臨床実習やBMLでの学習に用いているためで、5・6年生以外の学年では多くの授業でmoodleを用いた学生と教員間のコミュニケーションがとられています。

⑦今年度の担任・メンター教員との面談

⑧担任・メンター教員との面談の満足度 

今年度、担任・メンター面談したとする学生の割合は、学年によって異なっており、1年生と6年生では半数が、5年生は約9割が面談を経験しています。2~4年生で面談を行ったのは2割程度にとどまります。面談における満足度をみると、比較的満足と回答した学生は、全体では約9割、もっともその割合が低い3年生でも7割となっています。

4.総合的な学習の評価

入学してから今までに学習した成果(結果)の満足度

入学後、現在に至るまでの学習成果についての満足度は、全体では7割を超える学生が比較的満足していると回答しています。また「満足していない」とする学生の割合も各学年で1割に満たないことから、全体としては多くの学生が自分の学習成果に満足しているようです。