教室紹介

不妊症グループ

現在、不妊症グループは医師6名、培養士2名で、各曜日に専門外来を設け、チーム医療での診療を行っています。難治性である高齢不妊、内膜症性不妊、婦人科手術を要する症例、内科的疾患合併不妊症例の割合が高いのが特徴です。  

また、2015年より他科との連携によるがんセンターが設立され、若年がん患者における妊孕性温存として、化学療法前の卵子凍結・胚凍結・精子凍結保存にも積極的に関わっています。

 

当科生殖医療グループの特色

  • 一般不妊治療から高度生殖補助医療まであらゆる不妊治療に対応
  • テーラーメードな排卵誘発
    個々の患者様の卵巣機能に応じた適切な卵巣刺激法をご提案します。
  • 不妊治療としての腹腔鏡下手術
    子宮筋腫や難治性不妊の原因となる子宮内膜症などを合併した患者様に対し、腹腔鏡下手術と内科的治療を組み合わせ、最善の治療をご提案します。 また妊娠成立後、出産後も引き続き当科での一貫した管理が可能です。
  • 不育症(習慣性流産や反復流産)の検査・治療および遺伝カウンセリング
  • 婦人科悪性腫瘍術後・治療前における不妊治療
    原疾患の再発管理と並行して個々の患者様に最適な治療法をご提案します。
  • 医学的適応における妊孕能温存療法
    若年がん患者における妊孕性温存として、化学療法前の卵子凍結・胚凍結・精子凍結保存を行っています。
  • 不妊症看護相談外来
    不妊専門カウンセラーの資格を有した看護師が、精神面でのサポートを行います。

 

受診後・治療の流れ

晩婚化が進んだ近年を反映して、日本産婦人科学会では、不妊症の定義を「1年間の不妊期間を持つもの」としていますが、年齢や病気、不安要素がある場合には、1年を待たず、より早期に検査と治療を開始したほうがよいという考えが一般化しています。  

妊娠に至らない原因として、約50%が女性因子、約40%が男性因子とされ、原因検索のため双方に検査を受けて頂く必要があります。  

受診後はスクリーニング検査として、
①内診・経腟超音波検査、②血液検査、③子宮卵管造影検査、
④精液検査を行っていただき、不妊原因を検査します。
(必要な方には、⑤MRI検査や⑥腹腔鏡検査・子宮鏡検査などを行います。)  
それぞれの原因に応じた治療を行った後に、以下に示す治療法を行います。

●一般不妊治療

  • タイミング法
    最初の段階として行われる治療で、基礎体温表や超音波、尿検査により、排卵日を予測し、それに合わせて夫婦生活を営むよう指導を行います。
  • 排卵誘発剤
    クロミフェン療法:軽い視床下部性の排卵障害や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などに有効な、脳に働きかけ、卵巣を刺激するホルモン(FSH)の分泌を増加させることで卵胞発育を促す治療法です。
    ゴナドトロピン療法:卵巣を刺激するホルモン(FSH)自体を投与する治療法です。効果は非常に強力で、ほとんどのケースで排卵を起こすことができます。
  • 人工授精(AIH)
    採取した精子より密度勾配法で活発な精子を選別したのちに濃縮し、子宮の奥深くに入れます。 この作業によって、精液に混じった細菌や赤血球や白血球を取り除くことができます。

●体外受精治療

自然の妊娠は、卵巣から排卵された卵子が卵管で精子と出会い、受精して発育しながら子宮へ移動して着床することにより成立します。

  • 体外受精-胚移植法  
    受精から胚の発育までを人工的に補助することで妊娠を成立させることができる治療法です。体外受精-胚移植法では、排卵誘発剤による卵巣刺激をおこない、一度に複数の卵子を育て、体内より取り出した卵子と精子を体外で受精させ、分割を確認した胚を子宮に戻し(胚移植)ます。
  • 顕微授精法(ICSI)
    極端に精子数・運動率が悪い場合や、体外受精-胚移植法では受精しなかった場合(培精では精子が卵子にたどり着けなかった場合)を対象に、精子を直接、卵子の細胞質へ入れて受精させる方法を行います。
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