本大学婦人科・腫瘍科では、初期から進行がんまで年間約 200例の婦人科悪性腫瘍症例を治療しています。婦人科癌治療においては、根治性を追求することが最も重要なことはいうまでもありません。それに加えて低侵襲手術や場合により妊孕性温存な手術が必要になります。我々は他施設にはない工夫を行っていますので、紹介したいと思います。
① 20歳以上でこの術式を希望される.
② 新FIGO分類ⅠA期まで.
③ 子宮頚部への病変の進展がない.
④ 組織型が類内膜腺癌(G1, G2)である.(特殊型を除く)
腹腔鏡下子宮体がん手術の推移
→ 腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清を臨床研究として開始
平成26年12月から先進医療で開始
広汎子宮全摘出術とは・・
骨盤の深い部分にある子宮頚部の周りを広く切除するため、出血が多くなったり排尿障害を起こすことがあります。
① 20歳以上でこの術式を希望される
② 子宮頸がんIA期~IIA1期
③ 子宮体がんIA期
ダヴィンチを用いた(準)広汎子宮全摘出術を臨床研究として開始
我々は従来から卵巣がんの手術において合併症軽減をはかる様々な工夫を行っています。
卵巣がん手術において傍大動脈リンパ節郭清は、大変重要ですが、一方で術後イレウスなどの重篤な合併症を引きおこす事が知られています。
我々は、手術時の 20 分毎の定期的な腸管圧迫の解除と生食による湿潤を行なう手技により、術後腸閉塞発生ゼロというすばらしい成果をあげ論文にも報告しております(Terai Y, Ohmichi M et al. J Obstet Gynaecol Res. 2013)。
若年者に対する卵巣がん手術における工夫の、卵巣がんに対する術中ナビゲーションシステムを用いた卵巣動脈温存術についてですが、近年、卵巣がんが増加してきており、その結果若年者で卵巣がんに罹患する方がおられます。そこで、我々は、リンパ節郭清時に傷つけやすい卵巣動脈を、術前に 3D CT で描出し、術中ナビゲーションとして、卵巣動脈の走行を確かめながら傍大動脈・骨盤リンパ節郭清を行う方法を開発いたしました(図 6)。この方法を用いた場合、根治性を損なわずに卵巣を温存し、リンパ節転移の有無を確認することにより妊孕性の温存が可能か否かを決定することができる画期的な方法です。病巣の状態や広がりによっては、子宮や対側卵巣を温存できない場合がありますので、主治医に必ず説明を受けてください。