小児外科

ごあいさつ

小児外科は0歳から15歳までの子供の外科疾患を専門に治療する診療科です.その対象とする疾患は新生児期の先天的な消化管奇形から虫垂炎や鼠径ヘルニアといった比較的よく見られるものまで様々です.子供は小さな大人ではない,とよくいわれますが実際成人と比べて同じような疾患であっても治療法や手術手技は異なることもありますし,その後の経過もまた長いものです.

平成27年4月より当院でも小児外科の診療がスタートしました.当グループでは小児科とも連携し,小さな子どもたちの診療と治療を行っています.患児本人はもとよりご家族にも安心して治療を任して頂けるよう,また疾患によっては腹腔鏡手術など先端の医療技術を提供できるよう努力してまいります.

小児でよく見られる外科疾患

鼠径ヘルニア(陰嚢水腫,ヌック水腫)

小児で一番良く見られる外科疾患の1つです.足の付根から陰部(陰嚢)にかけて膨らみが見られるもので腹腔内から鼠径部の皮下に飛び出した薄い袋(ヘルニアサック)を通じて腸管などの臓器が脱出してくるものです.不快感や痛みを伴うことが多く,時として脱出した臓器が戻らなくなり(嵌頓といいます)血流障害から緊急手術が必要となることもあります.内部に水分のみが貯留する場合,男児では陰嚢水腫,女児ではヌック水腫と呼ばれます.

停留精巣

出生直後から片方もしくは両方の精巣(睾丸)が陰嚢内に触れず,鼠径部や腹腔内など異所性に認められるものです.新生児検診などで指摘されることが多く,まずは経過を見ることが多いのですが一歳頃までに充分陰嚢内まで下降してこない場合,将来的な不妊や悪性化の危険性を避けるために手術をして固定する必要があります.

急性虫垂炎

右の下腹部にある大腸(盲腸)に付属している虫垂と呼ばれる部分の炎症で放置すると穿孔,腹膜炎の恐れがあり,手術的に治療します.大人でも比較的よく見られる疾患ですが特に小さい小児の場合,重症化することも少なくありません.まずは抗生剤での保存的治療を先に行って後日改めて虫垂を取る手術を行うこともあります.

臍ヘルニア

俗にいう出ベソです.出生直後には大きく目立つことが多いのですが一歳頃までに大半が自然治癒します.嵌頓などの危険性は少ないのですが外見が目立つことから手術的に形を整えることが必要な場合があります.
最近は生後2-3ヶ月頃より飛び出した部分を圧迫固定する保存的治療も積極的に行っています.

便秘症

小児科の一過性の便秘症はありふれた病態ですが時として難治性の便秘で長期に渡ることもあります.そのような場合外科的な疾患が原因のこともあり消化管機能や造影検査にて原因を検索することも必要です.

その他の主な疾患として以下のようなものがあります.

耳前瘻孔,正中頸嚢胞
異所性乳腺,漏斗胸,横隔膜ヘルニア,
食道閉鎖症,肥厚性幽門狭窄症,消化管閉鎖症,腸回転異常症,直腸肛門奇形,ヒルシュスプルング病
胃食道逆流症,消化管異物,腸重積
胆道閉鎖症,胆道拡張症

 

小児外科担当

毎週水曜日午前に小児外科外来を行っています.