大阪医科薬科大学病院リウマチ膠原病内科

外来・入院のご案内

膠原病母性内科外来

 関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病疾患は、20代~30代の女性にも発症することが多く、これらの患者様は結婚・妊娠・出産・育児などの問題に直面することになります。特に妊娠に際しては、多くの若い女性の患者様が不安を感じることと思います。
 当外来では膠原病患者様が妊娠計画を立てられた時点から、治療方針やお薬をひとりひとりの状況に合わせて検討し、安心して妊娠、出産を迎えていただきたいと考えています。

当外来の特色

  • 妊娠をご希望される膠原病患者様に対して、妊娠前から時間をかけてカウンセリング、ケア(膠原病についてだけではなく、総合的な内科ケア)を行っています。
  • 妊娠前から産後約1年まで、時期に応じた治療、診療をいたします。
  • 妊娠された場合は、当院の産科と連携して診療を行います。

関節リウマチ Q&A

Q.関節リウマチがあっても妊娠・出産はできる?計画的に妊娠しないといけないの?
A.関節リウマチの女性であっても妊娠・出産は可能です。ただし、計画的に行いましょう。
関節リウマチは関節だけでなく全身に炎症を起こす病気ですので、病気が不安定な状態では妊娠成立そのものが困難であったり、早産や低出生体重児になることもあります。できるだけ病気の状態を安定させてから妊娠していただくことで、安心して妊娠の継続、出産の準備ができます。
Q.妊娠中にお薬を飲むことで赤ちゃんに影響はない?
A.リウマチのお薬には多くの種類があり、安全に使用できるお薬もある一方、治療内容を考え直さなければならない場合もあります。特にメトトレキサート(リウマトレックス®、メトレート®)は流産や奇形の危険性があるため、妊娠前にしっかりとお薬を中止する期間が必要です。その他のお薬に関しては患者様と充分な相談のもとに、妊娠に影響のないお薬での治療をご提案します。また、市販のお薬の中に気をつけた方がいいものがあり、当外来で詳しくお伝えしております。
Q.妊娠したらリウマチは悪くなる?
A.関節リウマチの症状は妊娠すると軽くなりますが、妊娠後期は体重の増加に伴って足への負担が大きくなるため関節痛が出ることがあります。産後は、約半数の患者様が3か月以内に悪くなると報告されています。当外来ではこのように妊娠・出産で症状が変動しやすいことを念頭に診療を行っています。
Q.妊娠中の診察は何をするの?
A.関節の触診、血液検査、関節エコー検査と、妊娠中でも体に負担のない診察です。妊娠前後にしっかりと病気の状態を評価するため、当外来では関節エコー検査を定期的に行い治療にあたっています。

 

全身性エリテマトーデス(SLE) Q&A

Q.SLEでも妊娠・出産はできる?気を付けることは?
A.SLEの女性であっても妊娠・出産は可能です。ただし、流産、死産、早産や妊娠高血圧腎症などの多くの危険性を伴うことは事実です。できるだけ病気の状態を安定させてから妊娠にのぞむことで、患者様自身と赤ちゃんへの悪影響を減らし、安心して妊娠継続・出産の準備をすることができます。妊娠は計画的に進めていきましょう。
Q.どんな状態だったら妊娠を考えてもいいの?
A.当外来での妊娠許可(比較的安全に妊娠・出産できると考えられる状態)のおおよその目安は以下の通りです。(あくまで目安です。)
 1.ステロイド薬:プレドニゾロンとして1日15mg以下で治療している
 2.約6か月の間SLEが落ち着いている(寛解)状態を保っている。
 3.重要な臓器(腎臓、心臓、肺、中枢神経)に問題がない。
 4.患者様自身ならびにご家族様が強く妊娠を希望しており、リスクを十分理解している。
 また、一般的に年齢が(特に35歳以上に)上がるほど、妊娠そのものが困難になる場合や、妊娠後に産科合併症になるリスクが増加する傾向にあります。妊娠を希望された時点でできるだけ早期に妊娠可能な状態に近づけることを目標に治療方針を調整いたします。

 

シェーグレン症候群 Q&A

Q.シェーグレン症候群(抗SS-A抗体が陽性)といわれています。妊娠で気を付けることは?
A.お母さんの抗SS-A抗体が、赤ちゃんに症状を起こすことがあります。約10%の赤ちゃんに新生児ループス(頬に赤い皮疹などの症状、数カ月で自然に治ります)や、極まれですが先天性心ブロック(不整脈)を起こすことがあります。妊娠前からリスクの評価が必要です。
Q.以前の妊娠で、赤ちゃんが先天性心ブロック(不整脈)になりました。次の妊娠でも繰り返しますか?
A.残念ながら15-20%の確率で繰り返すことがあるため、次の妊娠にむけて対策が必要です。当施設では、再発予防の臨床試験(ヒドロキシクロロキンによる抗SS-A抗体陽性女性の妊娠での先天性房室ブロックの再発抑制:J-PATCH)も行っております。妊娠前からご相談が可能です。

 

妊娠と膠原病について Q&A

Q.妊娠を考え始めて気をつけることは?
A.妊娠に向けた体づくりの指導を、プレコンセプションケアといいます。 当外来ではチェックシート(PDF:605KB)をお渡しして、個別の説明を行います。 妊娠に悪影響を与える膠原病の抗体の有無を評価いたします。また、血圧・血糖値などの評価も大切です。赤ちゃんのために、各種ワクチンの接種や妊娠初期の葉酸サプリメント服用をお勧めしています。
Q.不妊治療は行ってもいいの?
A.膠原病の病状が落ち着いてから、不妊治療を開始しましょう。しかし女性は年齢(35歳以上)を重ねると妊娠しにくくなるため、ご年齢やご希望により検査のみの先行なども相談いたします。 *抗リン脂質抗体症候群(APS)で過去に血栓症を起こした方は、不妊治療の方法によっては血栓のリスクが上がる場合があります。患者様のリスクを個別に評価し、婦人科の先生と連携しながら治療を進める必要があります。不妊治療開始前にご相談ください。
Q.流産・死産を繰り返しています。何かできることはありませんか?
A.産科の超音波検査で妊娠を確認した後に流産を2回以上繰り返した方は、不育症といいます。不育症の原因は不明なことが多いですが、膠原病の患者様では抗リン脂質抗体(APS)という、流産・死産を引き起こす抗体をお持ちの場合があります。次回の妊娠前に血液検査で確認しておきましょう。 全身性エリテマトーデス・関節リウマチの患者様は、病気が落ち着いていないと流産率が上昇することが報告されています。妊娠前にしっかり病気を安定させておくことが大切です。
Q.妊娠中にお薬を飲むのは心配…赤ちゃんに影響しない?
A.病気を安定させた状態で妊娠継続、出産を行っていただくために、多くの場合は妊娠中の内服が必要になります。一部の免疫抑制剤は妊娠中の内服については安全性が確立されていないため、妊娠前とお薬を変更しないといけない場合があります。どんなお薬を使うかは、そのリスクとベネフィットを患者様自身やご家族様にしっかりとご説明し、理解していただいた上で決定します。
Q.妊娠したら、どこでお産をしたらいいですか?
A.当院の産科・生殖医学科は膠原病合併妊娠の経験が豊富であり、連携して診療いたします。患者様の病状によりますが、他院や里帰り分娩なども可能です。ただしSLEやAPSの患者様には、安心したお産のため内科と連携できてNICU(新生児集中治療室)を併設した周産期医療センターをお勧めいたします。
Q.赤ちゃんに母乳をあげられる?
A.患者様自身が膠原病であるという理由で母乳育児を諦めることはありません。特に初乳には赤ちゃんの健康に大切な成分がたくさん含まれているため、ご希望の場合は可能な限り母乳育児を行っていただきたいと考えています。しかし内服しているお薬によっては注意が必要となりますので、ご相談ください。

 

受診に関して

当リウマチ膠原病内科に通院中の方

妊娠を考える前に相談ご希望の患者様は、当科主治医にお伝えください。

他院に通院中の方

主治医の先生に紹介状の作成と膠原病母性内科外来の初診予約をお願いしてください。患者様から直接ご予約を承ることはできません。


診療日時は毎週火曜日の午前・午後です。
予約制です。初診も受け付けております。

大阪医科薬科大学 産婦人科教室ホームページはこちら