大阪医科薬科大学病院リウマチ膠原病内科

ご挨拶

科長 武内 徹からのご挨拶

槇野茂樹教授

 膠原病は、本来は生体を守るはずの免疫システムの一部が異常になり(自己免疫)、全身諸臓器を傷害する原因不明の全身性炎症性疾患で、関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの病気が含まれます。

 当院のリウマチ膠原病内科は、前任の槇野茂樹教授とともに1994年から始めた膠原病を専門とする診療科で、現在3,500人を超える膠原病患者様の診療にあたっています。まだ全国には多くの膠原病患者様がいる状況の中で膠原病を専門とする医師の不足が問題となっており、当科では若手専門医の育成にも力を入れております。また、現在および将来の患者様のためにも膠原病の病因や病態の解明、新たな診断法や治療法の開発に向けて基礎的・臨床的研究を行っています。

 近年、多くの膠原病で診断法・治療法の開発が進められている中で、特に関節リウマチの治療法の進歩は著しいものがあります。現在、関節リウマチの治療はメトトレキサートによる治療が基本で、効果が不十分な場合には他の合成抗リウマチ薬、生物学的製剤やJAK阻害剤と呼ばれる分子標的薬が併用されることで症状のほとんどない状態(寛解)を維持していくことが目標であり、当科もこの目標を目指した治療を行っています。また、新規の治療薬の臨床治験にも参加しています。関節リウマチ以外にも全身性エリテマトーデス、強皮症、血管炎、皮膚筋炎・多発性筋炎、混合性結合組織病などの膠原病の患者様の診療にあたり、最新の医療が提供できるように努力をしております。

 他施設には少ない当科の特徴としては、まず他科との連携体制が充実していることが挙げられます。例えば、関節リウマチにおいて、近隣のクリニックの連携だけでなく、当院には小児科、内科、整形外科、リハビリテーション科のすべての診療科にリウマチ専門医がおり、一人の患者様に対して各科およびクリニックが連携して診療を行っています。また、産科の協力のもと母性外来を開設し、妊娠・出産を希望される患者様や周産期の患者さんの診療にあたっています。さらに、間質性肺炎などの合併症のある膠原病患者様に対しても、病態にあった最新の治療に心がけています。例えば、当科が提唱している皮膚筋炎に合併した急速に進行する間質性肺炎に対する早期治療法は、この分野において大きく貢献しました。

 我々は常に患者様目線でより良い膠原病診療を心がけ、診療・研究・教育の充実を図り、医療へ貢献したいと考えております。

内科学講座内科学IV教室
リウマチ膠原病内科科長
武内 徹