熱傷とは、皮膚に高温が作用したために起こる傷害をさします。高温の液体や固体が一定時間以上接すると生じるものです。火炎・爆発などで生じる場合もあります。また、低温熱傷と呼ばれる、比較的低い温度(44〜60度)で生じる熱傷もあります。
この他、特殊な熱傷として、薬品(酸、アルカリ溶液など)による化学熱傷、電流(家庭電源、落雷など)による電撃傷などがあります。
熱傷は深さによりI度、II度、III度に分類され、それぞれ症状が異なります。その深さは皮膚組織(表皮・真皮・皮下組織)のどの部位まで損傷されているかで決定されます。皮膚の薄い子供や老人では重症になりやすく、また体の部位によっても皮膚の厚さが異なるため重症度に違いを生じます。
熱傷の深さが表皮にとどまる熱傷で、発赤・軽度の腫脹を認めます。熱感や時に疼痛を伴います。
II度熱傷は深さによりさらに浅いものと深いものに分けられます。
浅い熱傷(浅達性II度熱傷)は真皮の上層まで熱傷が及んでいます。水泡形成(水ぶくれ)、腫脹及び疼痛を伴います。
深い熱傷(深達性II度熱傷)は真皮の深層まで熱傷が及んでいます。外見上は浅達性II度熱傷とほぼ同じですが、やや白くなります。
皮膚全層、時に皮下組織・筋肉・骨まで熱傷が及んでいます。表面は蒼白〜褐色を呈し、乾燥し徐々に炭化してきます。浅い熱傷では痛みなどの症状が強くでますが、深くなるに従い痛みは少なくなっていきます。その為、V度熱傷では痛みは感じなくなります。
軟膏処置により数日で治癒します。基本的には傷跡は残しません。
軟膏処置を行います。浅達性II度熱傷では約2週間で治癒し傷跡は残しにくいのに対し、深達性II度熱傷では治癒するのに3〜4週間要し傷跡が残りやすくなります。II度熱傷では傷が化膿するとIII度熱傷に移行します。
多くは外科的治療が必要になります。手術には植皮術・皮弁術などを行う事が多いです。