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手先の先天異常

手足の先天性疾患は比較的頻度が高く、様々なものがあります。大抵は手足の形態異常のみで遺伝することはほとんどありません。ここでは代表的な疾患について説明します。

多指(趾)症とは

正常より指の数が多い状態です。手の場合は母指、足の場合は5趾に良く認められます。過剰指(趾)の程度も様々で、指の付け根から完全に分離しているものもあれば、イボのように皮膚だけでくっついているものもあります。

治療法

通常は、レントゲンでしっかり骨の確認できるようになる1歳前後で手術をします。足の場合は歩行するようになる少し前(7,8ヶ月から10ヶ月程度)に手術を行います。どちらの指(趾)を切除するかは、指の大きさやレントゲンで骨の状態を確認して決定します。手術は指のひきつれが出来にくい部分にキズあとが残るように切開し、骨の軸を矯正し、過剰指(趾)から腱を残す方の指(趾)に移動させる必要があります。また、見た目、指や爪の大きさ、機能ができるだけ正常な指と同じになるように治療を行います。骨の軸を矯正したり、関節を修復した場合、1週間から2週間、ギプスで固定を行います。

合指(趾)症とは

指(趾)が隣り合う指(趾)とくっついている状態です。皮膚だけの場合(皮膚性合指)と骨までくっついている骨性合指に分けられます。手の場合は中指と薬指、足の場合は2−3趾に多く認められます。

治療法

手術年齢は多指(趾)症と同じです。手術でくっついた指を切り離し、良い位置に水かきを作ります。切り離した部分の皮膚が足りなくなるため、足のくるぶし部分などから皮膚移植をする必要があります。その場合、指(趾)を1週間から2週間、ギプス固定を行います。皮膚性合指(趾)の場合は手術後の機能は良好ですが、骨性合指(趾)の場合は変形や機能障害が残る事があります。

多合趾症とは

正常より足の趾の数が多い状態で、さらに趾が隣り合う趾とくっついている状態です。足の先天異常の中で最も頻度の高い疾患で、5趾によく認められます。

治療法

手術年齢は多趾症と同じです。レントゲンで骨の状態、趾の大きさを確認して切除する趾を決定します。残す趾や合趾症の部位によって、血流不全が予測される場合は、2回に分けて手術を行うこともあります。皮膚が足りない場合は足のくるぶし部分などから皮膚移植を行います。1週間から2週間のギプス固定を行います。

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