センター長挨拶
「大阪医科薬科大学病院 脳・脊髄腫瘍センター」開設にあたって
このたび、大阪医科薬科大学病院において「脳・脊髄腫瘍センター」が開設される運びとなりました。
脳および脊髄をはじめとする中枢神経系の腫瘍は、解剖学的にきわめて複雑かつ繊細な領域に発生し、患者様の生命に関わるのみならず、運動・感覚機能や高次脳機能など、生活の質(QOL)に直結する非常に重要な疾患群です。そのため、単一の診療科にとどまらない、高度かつ多角的な医療アプローチが不可欠とされてきました。新たに発足する「脳・脊髄腫瘍センター」では、脳神経外科、腫瘍内科、放射線科、病理診断科、さらにはリハビリテーション部門や看護・緩和ケアチームに至るまで、領域を超えた多職種のエキスパートが密接に連携する体制を構築いたします。
当センターの活動として、以下の3つの柱を掲げます。
1.集学的かつ最適な治療の提供
2.機能温存とQOLの追求
3.地域医療連携と先端研究の推進
脳・脊髄腫瘍と診断された患者様とそのご家族が、安心して治療に専念できるよう、センター員一丸となって誠心誠意、質の高い医療の提供に尽力してまいります。今後とも皆様の温かいご支援とご指導を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
センター長
高見俊宏
脳・脊髄腫瘍センターについて
患者さん一人ひとりに最適な治療を
当センターでは、患者さん一人ひとりの病状を詳細に検討し、手術、放射線治療、薬物療法などの治療方法を適切に組み合わせた治療方針を提案します。
治療内容について十分な説明を行い、患者さんとご家族の希望を尊重しながら、納得して治療を受けていただける医療を目指します。
センターの特徴
① 脳腫瘍から脊髄腫瘍まで一貫した診療
脳・脊髄腫瘍には、良性腫瘍から悪性腫瘍まで多くの種類があり、腫瘍の発生部位や大きさ、病理学的特徴によって必要となる治療は大きく異なります。
当センターでは、脳腫瘍から脊髄・脊椎腫瘍まで幅広い疾患を対象とし、診断、治療方針の決定、手術、術後治療、リハビリテーション、長期的な経過観察まで、一貫した診療を行います。
② 高度な手術技術と低侵襲治療
脳・脊髄腫瘍の手術では、腫瘍を最大限に摘出すると同時に、正常な脳、脊髄、神経、血管などを可能な限り温存することが重要です。
当センターでは、手術用顕微鏡や神経内視鏡を用いた高度な手術技術に加え、術中神経モニタリング、術中画像診断、ナビゲーションシステムなどの手術支援技術を活用し、安全性と治療効果の両立を目指します。
また、患者さんの年齢や病状に応じて低侵襲手術を取り入れ、身体への負担を軽減した治療にも積極的に取り組んでいます。
③ 機能温存を重視した治療
脳や脊髄は、運動、感覚、言語、視覚など、人が生活するうえで重要な機能を担っています。そのため、脳・脊髄腫瘍の治療では、単に腫瘍を摘出するだけではなく、神経機能を可能な限り温存することが重要です。
当センターでは、腫瘍の位置や性質、患者さんの年齢や全身状態などを詳細に評価し、手術、放射線治療、薬物療法などを適切に組み合わせることで、腫瘍の制御と神経機能の温存の両立を目指します。
④ 多診療科による集学的治療
脳・脊髄腫瘍の治療は、手術だけで完結するものではありません。腫瘍の種類や悪性度、病理学的・分子生物学的特徴、患者さんの年齢や全身状態などに応じて、手術、放射線治療、薬物療法などを適切に組み合わせた集学的治療が必要となります。
当センターでは、脳神経外科・脳血管内治療科を中心に、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、形成外科、眼科、糖尿病代謝・内分泌内科、血液内科、腫瘍内科、整形外科、放射線診断・IVR科、放射線腫瘍科、病理診断科、小児科、リハビリテーション科などの関連診療科と連携し、患者さん一人ひとりに適した治療方針を検討します。
放射線治療が必要な患者さんについては、放射線腫瘍科と緊密に連携し、腫瘍の種類や病状に応じた治療を行います。当院で実施可能な治療に加え、陽子線治療や重粒子線治療をはじめとする専門的な治療が患者さんにとってより適切であると判断した場合には、他の専門医療機関とも連携して治療を行います。
悪性脳腫瘍や原発性中枢神経系悪性リンパ腫など、薬物療法を必要とする疾患については、血液内科、腫瘍内科、化学療法センターなどと連携し、診断から薬物療法、治療効果判定、その後の経過観察まで継続した診療を行います。
⑤ 多職種による包括的な患者支援
脳・脊髄腫瘍の診療では、腫瘍そのものに対する治療だけでなく、治療によって生じる身体機能や高次脳機能の変化、日常生活への影響、退院後の療養環境、復学・復職、経済的・社会的な問題など、患者さんとご家族が抱えるさまざまな課題に対応することが重要です。
当センターでは、医師や看護師に加え、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーションスタッフ、薬剤師、医療ソーシャルワーカー、地域医療連携を担当するスタッフなど、多職種がそれぞれの専門性を生かして連携し、患者さんとご家族を支援します。
リハビリテーション科およびリハビリテーションスタッフと連携し、患者さんの状態に応じて治療前から機能評価を行い、術後早期から適切なリハビリテーションを開始します。機能回復だけでなく、残存機能を生かした日常生活動作の獲得や社会復帰、復学・復職までを見据え、患者さん一人ひとりの病状や生活背景に応じた継続的な支援を行います。
治療後も継続したリハビリテーションや療養、医療的支援が必要な患者さんについては、地域医療連携を担当する部門や医療ソーシャルワーカーと協力し、患者さんの病状や生活環境、ご家族の状況などを考慮しながら、適切な回復期リハビリテーション病院、療養施設、地域の医療機関、在宅医療機関などとの連携を行います。また、医療費や社会保障制度、介護・福祉サービス、就労や復職、療養先の選択などについても、必要に応じて専門スタッフが相談や支援を行います。
当センターでの専門的な治療と地域での継続的な医療・療養支援を円滑につなぎ、診断から治療、リハビリテーション、退院後の生活、社会復帰、長期的な経過観察まで、患者さんとご家族を継続的に支え、安心して生活できる診療体制診療体制の構築を目指します。
対象疾患
● 脳腫瘍
神経膠腫(グリオーマ)、髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腫瘍、頭蓋底腫瘍、原発性中枢神経系悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍、その他の原発性・続発性脳腫瘍
● 脊髄・脊椎腫瘍
神経鞘腫、髄膜腫、上衣腫、星細胞腫、血管芽腫、その他の髄内腫瘍・髄外腫瘍
脊椎原発腫瘍、転移性脊椎腫瘍
患者さんへ
脳や脊髄に腫瘍が見つかった場合、「どのような病気なのか」「手術が必要なのか」「治療によって神経機能が低下しないか」など、多くの不安を感じられることと思います。
当センターでは、専門的な知識と豊富な経験を有する医療スタッフが、患者さん一人ひとりの病状を詳細に評価し、最適と考えられる治療方法をご提案します。
他の医療機関で診断を受けられた患者さんの診療やセカンドオピニオンにも対応しています。
脳・脊髄腫瘍の診断や治療についてお困りのことがございましたら、ご相談ください。
医療関係者の皆様へ
大阪医科薬科大学病院「脳・脊髄腫瘍センター」では、脳腫瘍および脊髄腫瘍の患者さんを幅広く受け入れています。治療方針の決定が困難な症例、頭蓋底腫瘍や脊髄腫瘍など手術難易度の高い症例、複数の診療科による治療が必要な症例についても、関連診療科と連携して治療方針を検討します。
画像診断や治療方針ついてのご相談、手術適応に関するご相談、患者さんのご紹介にも対応いたします。
緊急症例については当院の脳卒中ホットラインに直接ご連絡ください。脳神経外科専門医により対応させていただきます。
予定受診の場合は、当院の医療連携室にご連絡ください。受診予約や検査予約など可能な限り迅速に対応させていただきます。
地域の医療機関の先生方と緊密に連携し、脳・脊髄腫瘍診療の向上に貢献してまいります。


