教室紹介

脳神経外科は脳・脊髄・末梢神経系およびその付属器官(血管、骨、筋肉など)を含めた神経疾患の中で、主に外科的治療の対象となり得る疾患について、予防・診断・急性期治療・慢性期の治療と管理、在宅医療まで幅広く対処する基本領域診療科です。

当教室では、臨床・研究・教育をバランスよく進めています。臨床では脳脊髄血管障害に対する血管内治療、脳腫瘍に対しては手術は勿論のこと中性子捕捉療法や薬剤の開発などを中心に、あらゆる領域に渡って最先端の治療を開発・導入しており、「やりがい」や「おもしろみ」が大きい仕事です。

研究においては「脳科学」はいまだ発展段階であるため数多くの研究課題があり、臨床への橋渡し研究を意識して取り組んでいます。

若手医師の教育にも教室挙げて取り組んでおり、幅広い知識と豊かな人間性、そして優れた技術の3つを併せ持つ、様々な領域に目を向けることができる視野の広い脳神経外科医を育成することを目的としています。また「日常生活を通じて豊かな人間性を養い、社会人としても成長する」ことをモットーとし、楽しく成長しながら仕事ができる職場環境を目指しています。

出身大学や学年にかかわらず、「情熱」を持った新入局員を求めています。少しでも手術や脳・神経に興味を持っておられる先生や学生の方は、随時見学を受け付けています。他大学の方であっても、どうぞお気軽に下記連絡先までご連絡ください。

また、見学・実習は関連病院でも可能ですので、合わせてご連絡お待ちしております。
 是非、一緒に脳神経外科を盛り上げていきましょう。

先輩医師からのメッセージ

江座 健一郎 先生(2020年卒)

僕は大阪医科大学卒業後、そのまま大阪医大で2年研修したのち脳神経外科医局へ入局しました。入局後は大学で8か月勤務したのち現在は関連病院で働いています。一般的に脳神経外科は手術が長い、内容が難しい、単純に忙しすぎるというイメージが強く、実際にわたしも研修時代に同じ印象を持ち入局するかを非常に悩みました。学生の頃は消化器・神経内科を考えており、外科系にはそもそも興味がなく、研修プログラムで偶然脳神経外科を選択し、いろんな魅力を感じました。それは多くの検査手技が早い段階でできること(腰椎穿刺、中心静脈カテーテル、脳血管造影検査など)、分野が広範囲であること(脳腫瘍、脳血管障害、脊椎脊髄、頭部外傷、水頭症、小児、機能外科、化学療法、BNCTなど)、疾患が多岐にわたるため全身管理ができるようになること、研修医からできる穿頭手術や若手中堅ができる手術まで難易度が段階的であるため、若手であっても手術に携わることができることだと考えています。早くからさまざまな疾患や手技/検査・手術を経験することができ、徐々にできることが増えていくところにやりがいを感じることができます。また教育熱心な先生方が多く、忙しい時も和気藹々としており居心地の良い医局だと思っています。一歩踏み出して研修で選択または入局を考えてみてください。

田邊 翔吾 先生(2020年卒)

僕は大阪医科薬科大学病院で初期研修を終えた後、4月から翌年の3月まで大学病院で後期研修生活を送りました。大学病院では、腫瘍・血管内・脊髄・小児・外傷など多岐にわたる症例を経験することができ、専門医取得にあたって必要な症例の大部分はこの1年間で得ることができました。基本的な1週間のスケジュールは火曜・木曜が手術、水曜・金曜が検査日(血管造影検査や正常圧水頭症に対するtap test)であり、緊急手術が必要な症例が搬送されれば対応します。忙しいことは否定できませんが、充実した日々を過ごしました。週3回のカンファレンスでは担当症例について立案した手術計画や術後報告を行います。大学病院では手術症例が年間600例あり、脳室ドレナージ術・穿頭血腫洗浄術・シャント術・外減圧術・開頭血腫除去術・頭蓋形成術といった比較的若手から中堅の医師が行う手術症例も多く経験することができます。頭蓋底腫瘍・脊髄腫瘍・悪性腫瘍、小児脳外科手術など市中病院では経験することが滅多にない貴重な症例を多数経験することができます。さらに、血管内治療も毎週手術症例があり、週に1回以上は上級医と2人で血管撮影を行う機会があります。中心静脈カテーテルの挿入や腰椎穿刺・動脈圧ライン留置・気管挿管など脳神経外科医にとって必須手技も多数経験することができます。最後に当教室に入局して最も良かったことは、風通しの良さ、わからないことや悩んだことはすぐに相談することができる雰囲気の良さだと思います。自分では対応できないような重症症例が搬送されてきた時でも上級医を呼べば必ず来てくれます。どんなにきつくてもこの先生方となら頑張れる!そんな雰囲気があります!!!

高木 普賢 先生(2019年卒)

大阪医科大学を卒業後、大学病院と市中病院でタスキガケの初期研修をしたのち、大阪医科薬科大学の脳神経外科教室に入局しました。10ヶ月間大学病院で働いた後、現在は関連病院で勤務しています。
弊医局の魅力としてはまず、雰囲気が誇張なしにとてもいいことです。脳外科の仕事はよくキツイ、と言われますが「この先生たちとなら多少キツイことがあってもやっていける!」、そういう雰囲気があり、まさに全員野球で一丸となって診療にあたっています。それに昔と違って家に帰れないほど忙しいということはなく休めますし、お給料もきちんともらえます(笑)。
また、大学病院では脳腫瘍の手術だけでなく脳血管障害や外傷、脊椎、小児といった症例も数多く経験することができました。このように、幅広い症例を若手のうちから経験でき、視野を広げることができることが弊医局の最大の魅力だと感じました。さらに加えるなら、関連病院の多くが大阪府内にあるため、遠方への移動が少ないことも個人的には良い点だと思っています。
最後になりましたが、皆さんと一緒に働く日が来ることを楽しみにしています。

柏木 秀基 先生(2016年卒)

脳神経外科では、腰椎穿刺や中心静脈カテーテル挿入、脳脊髄液ドレナージなどの処置や、脊髄・脳槽造影検査や脳血管造影検査などの検査手技の習得が必要です。手術についても、穿頭手術、開頭手術、脊椎脊髄手術、神経内視鏡手術、血管内カテーテル手術、機能外科手術、水頭症手術、小児手術など多岐の分野に渡る修練が必要です。当教室では幅広く症例を経験できるため、専攻医資格取得に必要な知識と技術を早期に習得可能です。実際、私は後期研修医1年目終了時点で多くの処置・検査手技は習得しており、穿頭手術および開頭手術についても多数経験しました。当研修プログラムでの研鑽を続けることが、手術手技習得・専攻医資格取得の近道であると確信し、現在も日常診療に邁進しています。また後期研修期間中には、大学院医学研究科・医学専攻博士課程への進学が可能です。臨床医療での疑問点について、指導医と共に研究を立案、実施、検証することで知見を深め、またその内容を国内・国際学会において成果発表し、国内学会発表では優秀賞を受賞することができました。当教室では臨床医療のみならず、臨床研究、基礎研究のいずれにおいても指導医による教育が行き届いており、時に厳しくも確実に、若き先生方を良き医療人へと導いてくれることでしょう。全人的な医療が求められる昨今ですが、当教室での研鑽を通して一医療人として、一社会人として共に成長できることを楽しみにしています。

金光 拓也 先生(2014年卒)

脳神経外科は病棟管理、救急外来、手術が主な業務です。患者さん毎に複数の主治医で担当するため様々な上級医とチームを組み、診療および手術を行います。また手術も開頭手術、脊椎脊髄手術、カテーテル手術などバリエーションも豊富だと思います。みなさんが持っている「難しい」「忙しい」といったイメージは間違いではありませんが、手術に関しても様々な難易度があり、研修医の先生にやってもらえる手術から若手~中堅の医師が行う手術、難易度の高い腫瘍の手術など段階的にステップアップできるところも魅力だと思います。専門医の取得は最短で卒後7年目になり、専門医取得後は上級医指導の下でこれまでより難しい手術の執刀医を任せていただく機会も増え、また違う楽しさがありさらにやりがいを感じるようになりました。また血管内治療、脊椎脊髄、小児、神経内視鏡などの専門分野も多いですが、完全に独立することなく複数の分野を得意とされる先生方も多くいます。脳神経外科医局は私も大学時代から見ていますが、鰐渕教授を含め上級医の方々もすごく話しやすいですし、面白い先生も多く仲が良い医局だと思います。手技的なことから全身管理まで色々なことが学べます!一度経験しておくだけでも良い経験になると思いますので、初期研修医の先生も気軽に選んでみてください。

留学中の先輩医師から

井畑 知大 先生(2015年卒)

2021年より米国のUniversity of California, Santa Barbara (UCSB), Materials Departmentの中村修二教授(2014年ノーベル物理学賞受賞)の下で悪性神経膠腫に対する光線力学療法用デバイス開発のため、海外出向させて頂きました。学生時代から憧れていた海外留学では、生活面で右も左も分からない状況からスタートし、語学力に自信がない状態で渡米しましたが、当教室の客員教授である中村教授の心強いサポートの下で徐々に環境に適応しました。医工連携の留学でありましたため、従来の医師の留学とは異なりましたが、世界最高峰のEngineeringのスタッフ・学生と交流でき、刺激を受けるとともに、世間知らずだと痛感することも多々ありましたが、価値のある経験であったと思います。2023年からは本プロジェクトの米国での臨床治験(clinical trial)を見据えた橋渡し研究(translational research)を行うため、New York州のNorthwell Health, The Feinstein Institute for Medical Research (FIMR)に移籍して引き続き研究しております。
私は学生臨床実習時に患者目線で診療する当教室の先輩方に憧れを抱きました。大学院在籍時から海外留学の期間を含め、研究期間が長くなっておりますが、高度な手術技能を習得するために脳神経外科医を目指した初心は今も変わっておらず、入局後より御指導して頂いた臨床医としての目線は今も失っていないように思っております。FIMRでの研究後は、当教室で脳神経外科医の手術技能習得を再開させて頂く予定です。最後になりますが、当教室は脳神経外科医の修練環境は十分に整っており、また海外留学の道もあります。是非一度、当教室の見学に来てください。

後期レジデント(脳神経外科専門研修プログラム)の特徴

日本脳神経外科学会では脳神経外科専門医に対して、脳腫瘍、脳血管障害、脳神経外傷に加え、てんかん、機能的神経疾患(三叉神経痛、顔面痙攣、パーキンソン病など)、小児神経疾患、脊椎脊髄疾患と多くの分野に関する専門的知識と診療技術を修得し、国民の健康、福祉の増進に貢献することを要求しています。そこで、当科専門研修プログラムでは大学病院で脳神経外科の基本的知識、技量を取得した後に、連携施設や関連施設でさらなる専門的知識の修得を目指します。本プログラムでは研究にも力をいれており、大阪医科薬科大学大学院で脳神経外科領域に関わる基礎研究を行い、その成果を論文発表することを重要視しています。卒後臨床研修終了後、最短4年間で脳神経外科領域すべての知識と経験を修得するための充実したプログラムを作成しています。

プログラムの組織図

研修の一例

研修内容

  • 【1年目】 初年度の6ヶ月から1年間は、脳神経外科の基本的知識の修得と一般的検査や治療の研修を行います。具体的には、各脳神経外科疾患における画像診断力を高め、脳血管撮影、脊髄穿刺などの手技を修得します。さらに外科手術においては、穿頭術の術者として、そして開頭術の助手としての技量を学びます。経験した症例を学会発表し、学術的能力を養います。
  • 【2-3年目】 大学病院での研修後、各連携施設で研修を継続します。大阪医科薬科大学の地域性を考慮し、連携施設は大阪府下を中心とし京都と阪神地域の施設としました。将来希望するサブスペシャリティの専門資格を取得することを考慮して、各学会の訓練認定施設である連携施設を選択することができます。地域医療や特定疾患の専門的知識を修得するため、関連施設を含めています。各施設の研修期間は連携施設が6ヶ月から1年、関連施設は3から6ヶ月とします。
  • 【3-4年目】 基礎研究の期間も1から2年間設けています。卒後臨床研修あるいは専門研修期間に大阪医科薬科大学大学院に入学して、基礎研究の成果を論文にまとめ筆頭著者として発表します。
  • 【4-5年目】 その後、大学病院あるいは連携施設で高度な脳神経外科臨床を研修します。外科的技能としては開頭手術や定位脳手術の術者として、そして、顕微鏡手術、血管内治療、脊椎脊髄手術、内視鏡手術の基本手技を修得します。小児脳神経、パーキンソン病等の機能的疾患の外科治療も経験して、最短4年で専門医試験資格を取得します。脳神経外科臨床研修の期間は最低3年以上必要ですので、基礎研究期間に応じて専攻医期間は延長します。

到達目標

  1. それぞれの症例を詳細に検討することによって専門的な知識および技術を習得する!
    ※手術件数は400を超えるので、豊富な臨床経験を得る事ができる。
  2. 脳腫瘍および脳血管障害を主とした脳神経/脊椎・脊髄外科手術を経験し、その中から脳神経外科領域のSubspecialtyを持とう!
    ※血管内治療専門医、脊髄外科専門医、脳卒中専門医、がん治療認定医、神経内視鏡専門医、日本小児神経外科学会認定医などの資格を取得できる。さらに、機能外科手術、定位放射線治療に携り、個々が脳神経外科医としての特徴を身につける。
  3. 研修中に芽生えたアイデアや興味を、研究テーマとして取り上げる。
    ※レジデント期間中に大学院医学研究課程への進学が可能である。

当科レジデントとしての脳神経外科の魅力

  • 穿頭、開頭の基本的技術:1年で習得
  • 脳血管撮影の基本:1年で習得
  • 全身管理の基本:1年で習得
  • 学会準備の基本:1年で習得

脳神経外科専門研修プログラムに参加する医療機関

連携施設

大阪医科薬科大学病院での研修を補完するため、13の施設を配置しました。

武田総合病院/城山病院/矢木脳神経外科病院/畷生会脳神経外科病院/西宮協立脳神経外科病院/加納総合病院/多根総合病院/みどりヶ丘病院/葛城病院/第一東和会病院/東住吉森本病院/田辺脳神経外科病院

関連施設

関連施設は、基幹施設および連携施設で不十分と判断した研修内容を補うために配置しています。特に地域医療に関しては、北海道、香川、広島、神奈川の施設を含めました。各施設、症例数は豊富で3~6ヶ月の研修で十分な脳神外科症例を経験することが可能です。

大西脳神経外科病院/梶川病院/交野病院/北大阪病院/京都リハビリテーション病院/市立ひらかた病院/東保脳神経外科病院/三島救命救急センター/大阪医科薬科大学三島南病院/シミズ病院/札幌禎心会病院/おさか脳神経外科病院/長久病院/松井病院/新百合ヶ丘総合病院

取得できる認定医・専門医

日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、がん治療認定医、日本神経内視鏡学会技術認定医、脊髄外科認定医、日本小児神経外科学会認定医 等

参加学会

日本脳神経外科学会/日本脳卒中学会/日本脳卒中の外科学会/日本脳神経外科コングレス/日本脳神経血管内治療学会/日本神経内視鏡学会/日本脳腫瘍学会/日本脳腫瘍病理学会/日本脳腫瘍の外科学会/日本小児神経外科学会/日本脳神経CI学会/日本脳神経外科救急学会 等