医療設備

脳の検査について

最近のコンピューターや工学の発達により種々の脳の検査が行われるようになりました。
・脳の形を調べる検査
・脳血管の形を調べる検査
・脳の機能を調べる検査
に分けられると思います。

脳の形を調べる検査

頭部単純X線撮影

胸部の検診のレントゲン撮影のように行う頭部のレントゲン撮影です。CT、MRIの普及に取って代わられた感がありますが、未だに頭部外傷による骨折や骨の病変を診断するためには有用です。

CT検査

↑当院に設置されているCT(図1)↑CT検査(図2)

図1のような輪の中に頭を入れて検査します。輪の内部にはX線管球と感知器が対称的に配置されており、管球がぐるっと1回転することによって360度のデータを収集します。これをコンピューターで解析することにより脳の断面を見ることができます(図2)。 検査は全く痛みもなく時間も脳全体を調べるのに5分程度で終わります。場合によって、脳腫瘍などを染めるために、造影剤を点滴注射しながら検査することもあります(増強CT検査と言います)。 頭部CT撮影は短時間で検査が終了し、いろいろなモニターをしながらでも検査できますので、救急患者さまや重症の意識障害の患者さんでも検査できます。ただし最近より精密に検査するためにX線の量が増加し、放射線被曝が問題となっています。成人の患者さんが検査する場合は特に問題になりませんが、小児ではあまり頻回に検査すると問題になることがあります。

MRI検査

↑当院に設置されているMR(図3)↑MRI検査(図4)

図3のようにCTよりも穴が深いですが、CTと同じように痛みなく脳の断面図(図4)が得られます。CTの様にX線を使うのでなく、強力な磁石の中で検査は行われますので放射線被曝の危険はありません。ただあまりにも強力な磁場ですので、ペースメーカーや人工内耳などの埋没式の精密機械を装着されている方は、その機械が壊れる可能性がありますので検査できません。また、検査時間もCTより長く、一般的な脳の検査で約30分かかります。モニター類も検査室内に持ち込めませんから、重症患者さんにはあまりむいていません。ただ分解能が高く、CTでわからないような小さな病変でもみつけることができます。

脳血管を調べる検査

MRA (MRアンギオグラフィー) 検査

↑MRアンギオクラフィー(図5)

MRIの機械を使って、脳の血液の流れを画像化し、脳血管の形を見る検査です。当院では1.5テスラの最新式超伝導MRIを用いていますので、造影剤などの注射は必要ありません。また時間も数分で終わります。このため、脳血管の異常を疑う患者さんには通常の脳のMRIと同時に検査させていただいています。脳血管の閉塞や狭窄 (狭くなること)、脳動脈瘤や脳動静脈奇形が診断できます。ただ、簡便な分正確性に問題があり、スクリーニング (病気がないかあたりをつけること) や経過を比べるときに用いられます。MRAで発見された血管の異常はカテーテルを用いたDSA検査で確定診断を下されます。

3D-CTA (3次元CTアンギオグラフィー) 検査

↑3次元CTアンギオグラフィー(図6)

ヘリカルCTという最新式のCTを用いて、造影剤を注射しながら検査をします。頭蓋骨と造影剤の情報のみを取り出してコンピューターで再構築し、立体的な脳血管の構造を調べます。造影剤を注射するため、当院では検査前は絶食で来ていただいています。検査時間はやはり数分です。MRAとDSAの中間的な検査と考えてください。

頸部超音波エコー検査

超音波を出すプローベ (棒のようなもの) を首に当てるだけで、頸動脈の断面がわかる検査です。血管壁の内部の動脈硬化を計測することができます。また、頸部での血管の狭窄もわかります。

DSA検査

↑DSA検査(図7)↑3次元DSA(図8)↑脳動脈瘤寒栓術(図9)

前の3つの検査と異なり、入院の必要な検査です。局所麻酔をして足または腕の動脈からカテーテル (細い管) を挿入し、動脈をさかのぼって首の血管に位置させます。カテーテルが血管の中を動いても痛みはありません。動いていることすらわからないぐらいです。 そこから造影剤を注入し、連続的に写真を撮って脳血管を調べます(図7)。動脈から直接造影剤を注入して調べる方法ですので、脳血管の検査の中では最も精密で髪の毛ぐらいの太さの動脈まで写ります。脳の静脈も調べることができます。当院では最新式の3次元DSAを導入し、その精密な脳血管のデータを用いて、立体的脳血管の構造を検査しています(図8)。  またDSAは検査だけでなく、更に細く柔らかいカテーテルを用いて血管の中から脳動脈瘤を閉塞したり(図9)、脳血管を拡げたりする脳血管内治療にも用いています。

脳の機能を調べる検査

脳波検査

頭に20個の電極をつけ、脳の電気活動を心電図のように記録する検査です。脳神経外科では主にてんかんなどの診断に用いています。

脳血流SPECT検査

↑脳血流検査(図10)

微量の放射線を出す薬剤を静脈注射し、それが脳に取り込まれるのをCTの様な機械に入って検出し、脳の各部分に流れている血流の量を計測する方法です。放射性物質は物理的にだけでも6時間あるいは13時間ごとに半分になっていきますので数日以内に体から消えます。当院では、特に脳梗塞などの虚血性脳血管障害の患者さんには、残存脳血流量や脳血管の反応性を計測して、手術から内服治療までの幅広い治療法の中から適切な治療を選択しお勧めしています。

キセノンCT脳血流動態検査

これも脳血流量を計測する検査です。CTを撮りながら30%キセノンと言うガスを4分間吸ってもらいます(残りの70%は酸素です)。SPECT検査と異なり放射性物質は注射しません。SPECTより定量性に優れた正確な値が得られますが、マスクが少し苦しいです。

機能MRI (functional MRI)

↑機能性MRI(図11)

手を握ったり、言葉を考えたりするタスク (仕事) をしたり休んだりすることにより、その間の微妙な変化をMRIで検出し、そのタスクが脳のどの部分で行われているかを調べる検査です。当院では手術の危険性をあらかじめ検討するために、病変の近くあるいは病変の中に重要な働きをする脳神経細胞がないかを検討しています。