基本理念・特色

当科は、日本脳神経外科学会のA項専門医訓練施設に指定されています。 病院理念を反映した基本診療および臨床教育指針として、二つの基本理念を定めています。(2004年9月2日改変)

基本理念

鰐渕昌彦
教授 鰐渕昌彦
基本理念

「患者さんに安全で、より優しい最新の脳神経外科医療を提供する」
「神経学を基本に、脳神経外科の幅広い研修を通じて、社会的責任を果たせる外科医を育成する」

特色

我々は最先端の設備と技術を駆使して、多くの選択肢の中から、より患者さんに適したテーラーメイド治療を行うよう心がけています。(→入院診療に関する特色もご参照ください

①悪性脳腫瘍

悪性脳腫瘍の手術では、腫瘍の摘出度を高めるため、当科独自に開発した蛍光色素を観察できる手術顕微鏡や手術支援 (ナビゲーション)装置を用いています。一方、手術の安全性を高めるため、運動野、言語野の腫瘍に対しては、誘発電位モニタリング、硬膜下電極による脳機能マッピング、覚醒下の開頭術を行い、神経機能の温存にも最大限の注意を払っています。術後は、従来の放射線治療、化学療法に加えて、適応がある症例では、世界に先駆けて熱外中性子を用いた中性子補捉療法(BNCT)を導入しており、欧米からも患者さんを紹介していただいています。 転移性脳腫瘍に対する定位放射線治療( Xナイフ)にも、放射線科と協力しながら積極的に取り組んでいいます。

②良性脳腫瘍

良性脳腫瘍では、開頭による腫瘍摘出術以外に、低侵襲な神経内視鏡手術、定位的放射線治療 (X-ナイフ)も行っています。下垂体腫瘍、頭蓋底腫瘍の治療においても、高い評価を得ています。

③脳卒中

脳卒中(クモ膜下出血、脳出血、脳梗塞)を24時間体制で受け入れています。脳外科医と脳血管内治療医がチームとして治療にあたり、開頭術(顕微鏡下手術)または血管内手術を選択しています。重症例では、低体温手術、低体温療法も行います。クリニカルパスを導入し、早期離床、早期リハビリテーションを図っています。未破裂脳動脈瘤、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻にも血管内手術を行っています。2003年10月より脳ドックを開設し、無症候性病変の早期診断・治療、予防医学に力を入れています 。

④難治性水頭症

難治性水頭症では、頭蓋内圧に基づいた短絡管 (シャント)の圧設定を行い、合併症の少ない安全な手術で水頭症治療でも全国をリードしてきました。神経内視鏡による手術にも積極的に取り組んでいます。

⑤脊髄疾患

変形性脊椎症から脊髄内病変(腫瘍・血管障害、脊髄動静脈奇形、脊髄動静脈瘻など)まで幅広く手術を行っています。外傷についても積極的に治療を行っています。脳脊髄神経疾患を疑う症状の患者さんがおられましたら、お気軽にご紹介ください。必要に応じて脳神経内科など他科との連携を図りながら、適切な診断および治療を行います。

⑥小児脳神経外科疾患

小児脳神経外科では、新生児から成人期を迎えるまでのお子さんを主たる治療対象としています。小児脳神経外科診療においては、関係各科との連携が非常に重要になります。たとえば、生後まもないタイミングで手術が必要となる脊髄髄膜瘤では、産まれる前の段階から、産科・新生児科をはじめとする関係各科と協力しながら対応しております。また、赤ちゃんの頭の形に関して、手術加療はもちろん、適応診断をクリアするものに対する非手術加療も含め提示可能です。加えて、大学病院の特徴を活かす形で、小児期に脳神経外科で治療を受けたことのある成人患者さんの移行期医療についても対応しております。

⑦その他

その他、機能的疾患(パーキンソン病や難治性疼痛に対する深部脳刺激)、末梢神経疾患まで幅広く診療しています。